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私立明倫学園高校 あとがき

「私立明倫学園高校」を最後までお読みいただきありがとうございました。

最初は、たった一枚のキャプション写真からインスパイアされて書き出した小説だったのですが、思いの外、長編になってしまいました。
最初からおつき合い頂いた方は、読み疲れてしまったのではないかとお察しいたします。

自分としてはそれなりのストーリー展開ができたとは思っていたのですが、残念ながら皆さんのテイストとはあまり合わなかったようですね。
終盤に向かうにつれ、拍手の数も減っていき、ブログランキングも急降下していきましたので、そのへんは実感していたのですが、なにぶん途中でストーリー展開を変えるような器用さを持ち合わせていないもので、今回は最後まで押し切らせて頂きました(汗)

次回どのような作品を発表できるかわかりませんが、皆さんからの共感を頂けるようなものになればと思っています。
今後ともおつき合いのほど、よろしくお願いします。

 サテンドール 
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私立明倫学園高校 最終章-3 〔完結〕

 暗転したモニターの横に立つ兵藤良介が、微笑みを浮かべながら口を開いた。
「みなさん、いかがでしたでしょうか? 性転換した息子、いや娘の実の父親によるロストバージンショーは? ご堪能いただけたでしょうか?」
 一瞬の沈黙の後、一人の中年男性が感想の口火を切った。
「ああ。確かに面白いショーだったよ。ただ、明菜があまりにも美しすぎて元男だったと思えなかったのが玉に瑕かな?」
「う~ん、なるほど・・・しかし、それは難しい問題ですね。美しすぎるとリアリティがなくなるというのは・・・。わかりました。次回の参考にさせて頂きます。」
 別の男から声が掛かった。
「いや、私は十分堪能させてもらったよ。あの明菜って子は本当にすばらしい。今度プライベートでビデオ撮影させてもらえんかね? 金なら糸目はつけないよ。ハハハ」
「ご堪能いただけてよかったです。まあ、プライベートでの件は後日またお話させていただきます。決してご期待を裏切ることはございませんので。」
 ホストを横に侍らした女性客がたばこを片手に口を開いた。
「それにしても、最初、あの父親なかなか手を出さなかったでしょ。このまま何も起きないじゃないかって、私、気が気じゃなかったわ。」
「だが、息子の、いや娘のバージンを奪ってからは人が変わったように、荒々しくなったじゃないか。」
「ああ、確かに。二回戦でのイラマチオは壮絶だったな。明菜の喉奥までつっこんで、明菜も今にも戻しそうだったではないか。」
「そうそう、それに三回戦での顔面シャワーもすごかったな。さすがにあの年齢ではザーメンの量はたいしたことはなかったが、明菜の瞼を開かせて、わざとそこに射精するとはかなりの鬼畜な男だよ。まあ、あまり人のことは言えんがね。ハハハ・・・」
「でもそんなひどい目にあいながらも、明菜はまったく抵抗するそぶりも見せなかったわ。しかも、口元にはいつも笑みを浮かべて。いくら諭されているとは言っても、健気なものだわ。」
「おや、珍しい、Sで有名な女社長さんが、同情ですか?」
「フフフ・・違うわよ。健気だからよけい苛めたくなっちゃうってことじゃない。でしょ?」

「ところで、明菜はほとんどずっと涙を流していたね? あれはやはり君の言ったように、その・・・『明彦』とやらの意識が常にあったと言うことかね?」
 一人の落ちついた初老の男が、他の客の話が途切れたのを見計らって、良介に問いかけた。
「はい、おっしゃる通りです。常に『明彦』としての意識があったということです。涙はそれを物語っています。」
「と言うことは、自分が今父親に犯されているんだと気づいているということだね?」
「ええ、そういうことです。父親のペニスに貫かれる瞬間も、その熱いザーメンを受け止めた瞬間も、しっかりと意識の中にあるはずです。」
「う~む、何とも壮絶な近親相姦図だなぁ。」
 初老男の言葉を受けて、別の男が口を挟んだ。
「いや、壮絶なんてものではないですね。考えてみてください。『明彦』は父親に犯されていることがわかっているだけでなく、表面上はそれを喜んで受け入れている自分自身をも意識しているわけでしょ?しかもそれに抗うこともできない。これはもう壮絶というよりはあまりに残酷なことですよ。」
「うむ、確かに君の言う通りだ。だが、悪いことに我々はその残酷極まりないシーンを目にするのがたまらなく好きときている。性癖ってやつはどうにもならんもんだ。ねえ、皆さん?ハハハ・・・」
 初老男の言葉に客たちは笑い声を出すと、お互いを見て頷きあった。

「そうだ、今思い出したが、君は先ほどの説明で、明菜のロストバージンが終わった後で、父親に明菜の正体を知らせるというようなことを言っていたと思うが・・・。」
「そうそう、私も思い出したわ。ねえ、どうするの?直接言ってしまうの? 明菜は実は『明彦』だと。」
「うわぁ、それは残酷だわ。でも、父親がどんな顔するか見物だけど。」
「いや、わしはそういうやり方より、明菜に告白させる方が面白いと思うがなぁ。」
「いやいや、いっそのこと、これまでの映像記録を父親に見せるというのはどうでしょう?」

「ちょ、ちょっと・・・皆さん、お待ちください。」
 会場に思い思いの意見が飛び交う中、良介が口を挟んだ。
「皆さん、それぞれにお考えもおありでしょうが、ここはこちらにお任せいただけないでしょうか? いや、実は私もどのような展開になるかわかっていないのです。ここから先の展開は妻にすべて任せようと思っています。皆さんのご期待に応えられるかどうかはわかりませんけど、妻もそれなりに考えていると思いますので。」
 会場にいくぶん不満げな空気が流れたが、最終的には先ほどの初老男の「まあ、ここは若いオーナーに任せようじゃないか。」という言葉に皆同意した。


 それから約30分後、良介の呼びかけに客たちは皆席に戻り、モニター画面に注目した。
 程なく画面が明転すると、先ほどまで凄惨な「父子近親相姦ショー」の舞台となっていた部屋が、がらりと雰囲気を変えて画面に現れた。
 もちろん部屋の模様替えなどがなされたわけではない。映し出された人物の雰囲気が様変わりしていたのである。
 恐らくシャワーでも浴びた後なのだろう、こざっぱりとした明正が来室した際の服装に戻り、椅子に腰掛けている。
 その向かいにはチャコールグレーのパンツスーツを着た美穂が座っている。
 そしてその美穂に寄り添うように座っている明菜。
 白い花柄のチュールワンピースと頭につけたオレンジピンクのリボンがとてもガーリーな雰囲気を醸し出している。

 画像の中の美穂がまるで合図を待っていたかのように口を開いた。
「山本様、本当に今日はありがとうございました。明菜もとても喜んでいると思います。」
「あ、は、はい・・・そう言ってもらえれば、お引き受けした甲斐があるというものです。」
「で、いかがでした?山本様はご満足いただけました?」
「そ、それは、ちょっと、ここでは申し上げにくいですね。アハハ」
 明正は美穂の肩に頭を凭せ掛けている明菜を見て言った。
「ああ、大丈夫です。気になさらなくても。明菜はこういう子ですから、何を言われているのかわかりませんから。ね、明菜?」
 美穂は明菜の頭を優しく撫でながら明正に微笑みかけた。
「じゃ、遠慮なく言いますが、もう最高に興奮しましたよ。実は恥ずかしながら、年甲斐もなく3回も・・・ハハハ。」
「まあ、お元気なんですね。フフフ・・・・」
「最初は芝居のつもりでやってたんですけど、この子を見てるとなぜか段々本気になってしまうと言うか、本気でレイプしているような気になってくるんですよ。不思議なものですね。」
「フフフ・・もしかしたら、山本様はサディストなのかもしれませんね。マゾの明菜にはピッタリだわ。これからもよろしかったら時々お相手してくださいね。姉の私からもお願いします。」
「そ、それはもう喜んで。またこの子のすばらしい身体を抱けると思うと、こんばんは眠れそうもありませんよ。ハハハ」
「まあ、それじゃ今晩は、奥様も大変ですね。フフフ・・・。」
「いやぁ、もう妻とは・・・すっかりご無沙汰で・・・」
「ええ?ではそういう時はお一人で? まあ、それはお気の毒に・・・・。そうだわ。山本様ちょっとお待ちください。」
 美穂はそう言うと、ゆっくりと立ち上がり部屋を出て行った。
 立ち上がる際、明菜を驚かせないよう頭を軽くポンポンと叩いて合図した。
 
 戻ってきた美穂の手にはピンク色の布きれと数枚の写真が握られていた。
 美穂はそれらをこれ見よがしに広げて見せた。
 それがモニターカメラに捉えられることを意識した動作であることは明正の角度からはわからなかっただろう。
「こ、これは?」
「フフフ・・見覚えありません? 先ほどまでこの子が身につけていたショーツですわ。それから、写真はこの子の全身と顔のアップ、ちょっと過激なのもありますけど、どうぞお持ち帰りになってください。今日のお礼の代わりです。眠れない夜にでもお使いください。フフフ・・・」
「い、いや・・・これは・・・では、まあ、遠慮なくちょうだいしておきます。しかし自分の子供のような年齢、いやそれよりも下か。そんな娘さんの下着と写真をおかずにオナニーをするなんてちょっと気が引けますねぇ、ハハハ」
「フフフ・・そんなこと、気になさらずに。そりゃ、本当に『自分の娘さん』の下着や写真をお使いになったら、とんでもない変態ですけど、明菜と山本様は『アカの他人』なんですから。フフフ」
美穂はあえて、『自分の娘さん』と『アカの他人』を強調するように言った。
「アハハ・・私だって、そこまで変態ではないですよ。まあ、幸い私には息子しかおりませんしね。」
「あら、息子さんがいらっしゃるんですか? おいくつです? きっとお父様に似てハンサムな方なんでしょうね。」
「あ、いや、いるにはいるんですが・・・・、齢はだいたいあなたと同じくらいでしょうかね。実は今私の家にはいないのですよ。」
「ご結婚されて独立されたのでしょう?」
「いえ、そうではなくて・・・。他家に養子に入っておりまして。」
「あら、そうでしたか。婿養子さんになられたんですね。でも、ご長男では?」
「はい、おっしゃる通り長男です。ただ婿養子ではなく、普通の養子、つまり他家の子供になっております。」
「そうでしたか。何か事情がありそうですね。山本様、折角のご縁です。よろしかったらお話いただけませんか?」
「ええ、まあ・・・そうですね。身内の恥をお話するようで少々気が引けるのですが・・・。実は、明彦・・・あ、私の息子の名前ですが・・・明彦はあなた方と同じように以前、明倫学園に在籍しておりました。」
「明彦さん・・・ああ、午前中に喫茶店でお話しになったお名前ですね?あれは息子さんのことだったのですか?」
「ええ、そうです。・・・・・で、明倫はご存じの通り厳しい寮制度を採っていますので、入学後は一切連絡がなかったのですが、2年ほどした頃でしょうか、学校から重要な話があると連絡がありました。その内容を聞いてびっくりしたのですが、息子の明彦にはどうやら秘密の・・・何と言うんですか? そう、性癖とでもいいますか、そういうものがあるということが判明したと・・・まあそういう連絡でした。」
「秘密の・・・性癖? どういったものです? 差し支えなければお話くださいませんか。」
「ええ・・・あの、つまり・・・女装癖というか、女性になりたい願望があると・・・そういうことです。しかもそれにばかり熱中していて学業が疎かになり、この分ではとても卒業はできないと言われました。いやあ、私も慌てましてね、そのおかしな性癖は家に戻ってから家族の力で何とか治させるので、何とか卒業だけはさせてもらえないだろうかとお願いしました。明彦は我が家の一人息子ですし、高校中退などということはどうしてもさせられませんでしたからね。」
「で、学校は? 卒業させると言ってきましたか?」
「ええ。ただし、明倫学園高校としては無理なので、提携の高校の生徒としてということでした。ただ、それであっても絶対ではなく、今後一年間の明彦のがんばり次第だとも言われました。私は学校に、どんな手段を使ってもいいからがんばらせて欲しいと伝え、指導には一切口を挟まない旨の誓約書まで提出しました。」
「そうでしたか。ずいぶんご苦労されたんですね。でも、良かったじゃないですか、それで卒業できたんでしょ?」
「それが、その・・・ 卒業は・・できませんでした。」
「あら、何故です?」
「何でも、最後の卒業試験とやらに合格できなかったからだと聞きました。要は一年間頑張ることもできなかったということでしょう。実際、私としては家に戻ってくれば後は教育し直す自信がありました。ですから卒業さえしてくれれば家に迎えるつもりだったのです。しかし、それも叶わないとなると、もう私の堪忍袋の緒も切れました。親子の縁を切るから後は好きに生きろと、まあ勘当ということですよ。」
「まあ、それは随分つらいご決断をされましたね。」
「ええ、まあ。でも、それから数年後です。明彦を養子に欲しいという奇特な方が現れましてね。私も勘当したとは言え、気にはなっていましたから、乞われて養子に行くならそれも息子のためだと思って同意したというわけです。」
「そうですか。やっと納得しました。ご長男なのに養子にお出しになった理由が。」
美穂はそこまで言うと、肩に頭を凭せ掛けている明菜を起こし、顔を自分に正対させた。
「明菜ちゃん、聞いた?山本様、大変なご苦労されたのよ。息子の『明彦くん』が男のくせに女の子になりたがって、それで卒業もできなくなったそうよ。本当に親不孝な息子よね、『明彦くん』って。ねえ、明菜ちゃんもそう思うでしょ?」
 明菜の目がわずかに潤み始めた。
「まあ、山本様、明菜をご覧になってください。きっと山本様のご苦労がわかったんですわ。ほら、涙浮かべてますもの。」
「おお、ありがとう、明菜ちゃん。君に泣いてもらえるなんて思わなかったよ。君は本当に優しいんだね。俺もあんな親不孝の変態息子じゃなくて君みたいな優しい娘が欲しかったなぁ。ハハハ」
「それでしたら、山本様、『明彦くん』のことは忘れて、明菜のこと本当の娘だとお思いになられたらどうです?明菜もきっと喜びますわ。ね、明菜ちゃん。」
 美穂は明菜の目を見つめながら、優しく頭を撫でた。明菜の目から一筋の涙がこぼれた。
「ほら、ご覧になって。この子ったら涙流して喜んでいるわ。きっと山本様のこと本当にお父さんだと思っているんだわ。ね、そうよね?」
「オトーサン・・アキナ・・オトーサン・・スキ」
 明菜が小さな声で呟くように言った。
「嬉しいこと言ってくれるね。それじゃ、これからは明菜ちゃんのこと、自分の娘だと思うことにするかな?・・・・ あ、いや、やめとこう。」
「ええ?どうしてです?」
「いやぁ、実の娘の下着とヌード写真でオナニーするわけいかんじゃないですか。それに今度また会ったときに『レイプごっこ』なんてできないでしょう。ハハハハ」
「フフフ・・・そうですわね。実の娘とそんなことしたら、本当の変態ですものね。『明彦くん』のこと変態呼ばわりなんてできませんよね。フフフ・・・」
「ハハハ・・その通りですよ。 ところで、今思い出したんですが、どういうわけか明菜ちゃん、私のこと『お父さん』と呼んでいたんですが、何か特別なわけでもあるんですかね」
「さあ、何故でしょう。きっと明菜の中で山本様のことを『お父さん』と感じる何かがあったんじゃないでしょうか。」
「ううむ・・・それと、盛んに卒業証書を私に渡そうとしたんですけど、それはお姉さんがそうしろとでも?」
「いえ、そんなことは言っていません。 ああ、きっと大好きな『お父さん』に卒業証書を渡して何かを伝えたかったのかもしれません。でも、こういう子ですから、それが何なのかは私にもわかりませんけど。」
「う~ん、そうですか・・・一体何を伝えたかったのかなぁ。」
 明正は明菜の表情を見つめた。その瞳はいまだに涙で潤んでいた。

「ところで、山本様、もし『明彦くん』がその後、どこかの高校を卒業していたとしたら、お許しになりますか?」
「う~ん、もう今となってはそれも・・・。ただ、そうだとしたら『勘当』は取り消そうとは思います。」
「『勘当』は・・・取り消す?」
「はい、親子であることは認めるということです。でも、まあそんなことにはなっていないと思いますがね。」
「そうでしょうか? 案外そんなことになっているかもしれませんよ。いかがです?久ぶりにお会いになって、実際に確かめてみては?」
「ええ、まあ、確かにずっと気にはなっているんですが。ただ・・・」
「ただ?」
「ええ、ただ会うのが少し怖いのです。いまだにその性癖・・・つまり女装したり、女の真似をしたりしているのではないかと。もしそうだとしたら、例え高校を卒業しようと何だろうと許すわけにはいきませんからね。」
「では、事前に養父の方に確認されたらいかがです?いまだにその性癖が続いているなら会うのをやめればよろしいでしょ?」
「ええ、まあそれなら間違いないですが・・・」
「でしょ? そうされるのが一番ですわ。 山本様、善は急げと言います。今ここで連絡されてはどうですか? ね、そうしましょう。」
 美穂にせっつかれ、明正はしぶしぶ携帯を取り出すと、ボタンを押し始めた。
 相手先の電話番号をなかなか見つけ出せないのは、日頃ほとんど疎遠である証だろう。
 ようやく、ボタンを押し終えた明正は電話を耳に当てた。

 
 モニター画面で美穂と明正のやり取りを観ている客達の耳に携帯の着信音が聞こえてきた。
 その音源はモニター横に立っている兵藤良介の携帯電話だった。
 客達はすぐに事情を察知し、お互いに唇に人差し指を当て、「シーッ」のポーズをし合った。
 良介は客席が静まったのを確認すると、携帯電話のボタンを押した。着信音がピタッと止まった。
「はい、もしもし、兵藤ですが・・・」
「あ、ご無沙汰しております。私、山本明正ですが・・・」

 客たちの前で、会場の良介とモニターの明正との電話のやり取りが始まった。
「ああ、山本さんでしたか。初めまして、私、兵藤良介と言います。今、父は所用で電話に出られませんので、私が代わりに電話を取りました。」
「良介さん? 兵藤健作さんの息子さんですか?」
「はい、その通りです。明彦くんの兄ということになります。」
「ああ、そうでしたか。 それは失礼しました。 いつも息子がお世話になっております。」「いえいえ、こちらこそ。」
「今、お父様は電話には出られませんか?」
「ええ、あいにく重要な会議に出席中でして、2時間ほど電話には出られないと思います。用件は私から父に伝えますので、おっしゃってください。」
「そうですか、わかりました・・・あの、実はですね、できれば久しぶりに明彦に会ってみようと思っているんですが・・・」
「ああ、そうですか。それはいい。明彦くんもきっと喜ぶでしょう。いくら養子に出されたとは言え、実の父子ですからね。父も反対はしませんよ。ぜひ会ってあげてください。」
「ありがとうございます。そう言っていただいてなによりです。ただ・・・その前に確かめたいことがありまして・・・」
「確かめたいこと? 何でしょう? 私に答えられる範囲のことなら何でもお答えしますが。」
「ええ、もちろん良介さんならわかることです。きっと明彦の身近におられるのでしょうから。 あの・・・明彦は今でもその・・・女装とか・・・女のまねごととかしていますか?」
「え?女装?女のまねごと? それはつまり『男なのに』女の服を着たり、化粧をしたり、女のように振る舞ったり、ということですか?」
「ええ、それです。息子には高校時代にそういう性癖があったのはご存じだと思うのですが。」
「はい、それはうっすらと・・・。」
「どうです?今でも続いているのでしょうか?」
「それは、『男なのに』そういうことをしているかどうかということですね?」
「はい、その通りです。」
「ハハハ・・大丈夫です。そんなことはしていませんよ。ご心配には及びません。」
「そ、そうですか・・それを聞いてホッとしました。一番気にしていたことなんで・・
ではついでにお聞きしたいのですが、明彦はその後、心を入れ替えてどこかの高校を卒業したなどということはあるのでしょうか?」
「ええ、卒業しましたよ。どこかではなく、あの明倫学園高校です。」
「え?明倫ですか? 一度中退した明倫を卒業したのですかっ?」
 明正の顔が綻んだ。明倫学園高校「男子」卒業生が、どれだけ心身共に男らしい姿であり、また将来有望な人物であるかを明正は熟知していたのである。
「ええ、少し時間はかかりましたが、今年卒業しました。お会いになった時に卒業証書をご覧に入れますよ。」
「そうでしたか。いや、もう本当に兵藤家にお世話になったおかげです。本当に感謝しております。いやぁ、そうでしたか、あの明倫を・・・。 では、きっと身体も鍛えられ、見違えるほどでしょうねぇ?」
「『鍛えられ』・・・? ああ そうですね、確かに学校でも我が家でも『鍛えられ』ましたからね、今ではりっぱに成長してますよ。バス・・いや、『胸囲』なんて私よりあるんじゃないでしょうか。それに『腰回り』だってりっぱなものです。ただ、『胴回り』は私ほどではありませんけどね、フフフ・・・」
 良介の言葉に会場からクスクスと笑い声が漏れた。良介はとっさに唇に人差し指を当て、沈黙を促した。
「そうですか、あんなに細かった子がそこまでに・・・」
「ええ、それに容貌も性格もいいので、『異性』にもモテモテなんですよ。ほとんど毎日違う『異性』とデートしてますからね。ハハハ・・・」
「う~ん、それはちょっと困ったものですね。会ったときに注意しておかないと。アハハハ・・・」
「で、山本さん、いつお会いになりますか?」
「ええ、そこまで聞けば、すぐにでも会いたいのですが、そちらのご都合もあるでしょうから・・・。」
「では、ちょうど一週間後、午後1時頃にお越しください。父と私はもちろんですが、妻も、それから『妹』も一家全員でお迎えいたしますので。」
「そうですか、それは恐縮です。 では一週間後必ず伺いますので、どうぞよろしくお願いします。」
「はい、お待ちしております。どうぞ、お気をつけていらしてください。」
 モニターと会場との電話のやり取りは終わった。
 良介と明正が電話を切ったのはほぼ同時だった。

 その途端、会場からはどっと笑い声が漏れた。
「いやぁ、オーナー、君も嘘が上手だねぇ。あれじゃ誰だって騙されるよ。」
 一人の客が良介に声を掛けた。
「いいえ、嘘は言っていませんよ。多少脚色はしましたが。フフフ・・」
「しかし、今、女装も女のまねごともしていないって言ったじゃないか。見てみなさい、明菜の姿。あれは女そのものじゃないか。」
「ええ、ですから嘘は言っていないと申し上げたのです。明菜は性転換手術を受け、戸籍も女性になっています。つまり疑いもなく女性なのです。だから、明菜がしていることは、『女装』でも『女のまねごと』でもありませんよ。フフフ・・・」
「それにしても、バストを胸囲と言い換えた時には、私、吹き出しそうだったわ。『私より、胸囲が大きい』ですって、そりゃまあ、そうかもしれないけど。フフフ・・・」
「そうそう、それに『異性』にモテモテで、毎日違う『異性』とデートしてるっていうものなかなか面白かったわ。フフフ・・・」
「きっとあの父親の頭の中では、筋肉隆々の男らしい息子が、毎日のように美女をとっかえひっかえ遊び回っている場面を想像しているんだろうな。ところが実際に会ったら、筋肉隆々どころか、プルンプルンの巨乳美少女に変わっていて、毎日違った『男』とデートしているっていうんだから、これは驚くだろうねぇ。」
「あら、そんなことないわ。だって明菜とは今日会ってるんだもの。そりゃ、明菜が息子だってわかったら驚くだろうけど、今日のセックスの良さを思い出して、その場でも我慢できずに襲っちゃうんじゃない? ハハハ・・・」
「どちらにしても、これは面白いことになりそうだな。オーナー、当然来週のその劇的再会シーンもここで観ることができるんだろうね?」
「ええ、そのつもりですが・・・。ただ、急なことなので、何名の方にご参加頂けるか・・・。参考までに、お客様方の中で、来週も参加ご希望の方はいらっしゃいますか?」
 良介の言葉に会場中の客から一斉に手が挙がった。
「ありがとうございます。 どうやら予約で満席になったようですね。フフフ・・」



 モニター画面の中では、笑みを浮かべながら携帯電話をしまった明正に美穂がさりげなく問いかける。
「いかがでした? 会うことになったんですか?」
「ええ、会うことにしました。どうやら明彦も明倫学園を卒業して、りっぱな男に成長しているようです。養子に出したことが間違いではなかったということですね。本当に良かった。ハハハ」
「そうですか、それは何よりでしたね。やはり電話をかけてみて良かったですね。」
「ええ、おかげさまで。美穂さんのアドバイスに従って良かったですよ。本当にありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。お力になれて幸いですわ。」
 美穂はそう言うと、じっと目を瞑って肩に頭を凭せ掛けている明菜の顔を上げ、自分に正対させた。そして、頭を撫でながら優しい口調で話しかけた。
「明菜ちゃん、よかったわね。『明彦くん』に会うこと決めたんですって。『明彦くん』、とっても男らしくなっているそうよ。明菜ちゃんも、そんな男らしい『明彦くん』に会ってみたい?」
 美穂の問いかけに明菜は黙ったままで何も応えなかった。
 焦点の定まらない視線とぎこちない笑み、そして止めどなく流れる涙だけが、この時の明菜の取りうる応答手段のすべてだった。
「まあ、明菜ちゃんたら、こんなに泣いちゃって。きっと山本様と『明彦くん』の再会に感激してるんだわ。フフフ・・・」
 美穂は明菜の頭を優しく撫で、もう一度、自分の肩に凭せ掛けた。

 帰り支度も終え、部屋を出て行こうとしする明正に美穂が声をかけた。
「山本様、息子さんと再会したら何をなさりたいですか?」
 明正は、しばらく考え込んでから言った。
「そうですね、逞しく成長した息子と温泉にでも浸かりながら将来の夢でも語り合いますかな?アハハハ」
「フフフ・・それは結構ですわ。 ただ、山本様、それでしたら『混浴』の温泉を予約なさらないと。フフフ・・・」
 明正は一瞬怪訝そうな顔したが、すぐに笑顔になって、
「いや、いくら俺の息子でもそこまではスケベではないでしょ。それに話によると女には不自由してないみたいなんでね。アハハハ」
 と言い残して、部屋を出て行った。
 明正の笑い声は、部屋を出てからも続いていた。
 それは心の底から満足した快心の笑い声だった。
 
「アキナ・・・ミンナ・・・・キライ」
 明菜の消え入るような囁きは誰の耳にも届いてはいなかった。

 〔完結〕

私立明倫学園高校 最終章-2

「みなさん、いよいよショーが始まります。前面のモニターにご注目ください!」
 兵藤良介のひときわ大きな声が会場に響いた。

 彼が代表を務める特殊会員制クラブ「クラブR」はこの日、ひっそりとオープニングセレモニーを迎えていた。
「ひっそりと」というのは、運営の内容上あまり公にできない部分もあるからで、この日のセレモニーにも、招待されたVIP会員は30名程度であった。
 ただしそのメンバーはいずれもVIPの名に恥じない人物ばかりであり、実名を公表されればマスコミが飛びつくような人物も混じっていた。
 彼らは今それぞれのソファにくつろぎながら、横にお気に入りのコンパニオンやホスト、またニューハーフやレディボーイといった者たちを置いて、正面にある大きなモニターに視線を送っている。
 これから行われるショーの内容が、性転換手術を受け男性から女性へ変身した「元息子」のバージンを実父が奪うという前代未聞の内容だと聞いた時、会員達の多くは期待に胸を躍らせて、ショーの始まりを待っていた。

「もう間もなく父親がマンションに到着する頃です。これより先シナリオはございません。リアルな世界をご堪能ください。」
 良介の言葉を待って、室内の照明が落とされ、同時にモニター画面が明転していった。


 いかにも女子高生らしいパステルカラーに統一された部屋が映し出された。
 部屋の隅に配置してあるドレッサーの椅子に腰掛けて、シャンパンゴールドのロングヘアを丁寧にブラッシングしている少女がいる。
 ドレッサーの鏡に映る少女の顔にカメラが寄っていく。
 ナチュラルなライトメイクにローズピンクのシャイニーな口紅がいかにも女子高生らしい雰囲気を漂わせているが、ブラウンの瞳とヘアーカラー、そしてクラシックなブレザー型の制服を合わせてみると、ハーフの生徒か、または外国からの交換留学生のようにも見える。
 少女の視線はどことなく焦点が定まっていない。口元の笑みにも不自然なぎこちなさがある。そこに独特の神秘的な美しさを感じるが、それは「知性」の輝きとは真逆の、「無垢の美」、あるいは「白痴美」と呼ぶべき種類のものであった。

「こ、この美しい少女が『明菜』という子なのか?本当にこの子が元男だったというのか?」
 客の一人が呟くように言った。少女の美しさに心を奪われ、皆が沈黙していた中での呟きは十分会場中に届いた。
「はい、それについては私が保証します。彼は、いや彼女は元私の教え子であり、名前も『明彦』と言いました。」
 別の囁き声が他の席から漏れた。声の主は明倫学園高校学園長だった。
 彼はモニター横に待機している良介に視線を向けると小さく頷いて見せた。
「この子がいわゆるその・・・・知恵遅れというのも本当なの?」
 一人の女性客が良介に向かって小さな声で質問した。
「はい、それも本当です。おそらく映像を通じて徐々にお分かりになろうかと思います。」
 良介は微笑みながら丁寧な口調で答えた。


 映像の中の明菜が一瞬表情を変えた。
 どうやら、部屋のドアを叩くノック音がしたようだ。
 明菜は立ち上がると部屋のドアに近づき、ゆっくりと開けた。
 長身の知的な美女が部屋に入ってきた。
 彼女は微笑みながら明菜の髪の毛を撫でると、ベッドの端に座らせ、何やら話を始めた。
 音声は絞られているので流れては来ないが、話している表情を見ると、長身美女が明菜に何かを諭しているように見える。


 会場に良介のマイク越しの声が流れた。 
「この女性は、一部の方はご存じかもしれませんが、私の妻で「美穂」と言います。今、彼女が明菜に行っていることは、本来は皆さんにお見せする予定ではなかったのですが、なにぶんリアルタイムで映像は進行してますので、多少の不手際はお詫びするとして、まあ生放送の臨場感とでも受け取っていただければ幸いです。さて肝心なその内容ですが、二つあります。いずれもこれから行われるショーを盛り上げるためのちょっとした演出ですが、まず一つ目は、これからこの部屋を訪れるのは『お父さん』という呼び名の男性で、明菜にとって大切な人物である、そして彼の行為はすべて明菜のためにしてくれることなので喜んで受け入れなさい、と教え諭しています。そして二つ目は明菜の心に残る『明彦』を目覚めさせるためにある呼びかけを行っています。実はそれをすることで普段は隠れている『明彦』の感情が『涙』という形で現れます。これからショーの間、明菜の目から涙溢れれば、それは『明彦』の涙だということです。」
 良介の説明を受けて、一人の客が口元を弛めながら言った。
「ううむ、なるほど・・・それはかなり面白い演出だ。つまり明菜の中の『明彦』は相手を本当の父親と認識しているということだね?」
「はい、その通りです。」
「まあ、すごい残酷なことをなさるのねぇ」
 一人の女性客が高めの声で言った。その口元には言葉とは裏腹にサディスティックな笑みが浮かんでいた。
「確かに二つ目の演出は面白そうだが、一つ目はどうかね?『お父さん』と言わせることで何か面白いことが起きるのかね?」
「フフフ・・ええ、まあ、これは私自身もどう展開するかわかっていないので何とも申し上げられませんが、これからこの部屋を訪れる人物、つまり『明彦』の実父ですが、彼にとって自分を『お父さん』と呼ぶ人間は一人息子の『明彦』しかいません。その言葉を明菜から聞いたらどのような反応を見せるでしょう。結果は私にもわかりません。ただ、面白くなりそうな気がしませんか?」
 良介の説明に言葉を発する者はいなかったが、ほぼ全員が一様に笑みを浮かべながら頷き合った。
「さあ、そろそろ妻が退室するようです。これより先は音声も流しますので映像と共にお楽しみください。」


****************************************

 明正は指定された部屋の前で部屋番号を確認した。
「1605」号室。間違いはない。
 一階のエントランス部分でも同じ番号を押したが、何の返事もなく、ただ入口が開けられただけだったのだ。
 ドアノブに手を掛けた。美穂との打ち合わせでは鍵は開いているはずである。
 確かに鍵は掛かっていなかった。
 室内に入るとすぐに長めの廊下があった。
 人の気配はしない。美穂の話では明菜しかいないとのことだったので当然と言えば当然だった。
 足音をさせないよう廊下を進んでいると、本当に自分が婦女暴行犯にでもなったような気がしてくる。
 ピンクのネームプレートが掛かっている部屋の前に立つ。
 プレートの文字は「AKINA」だった。
 明正は大きく深呼吸をすると、ドアをノックしようとし、ふとその手を止めた。
 これからレイプしようという男がノックをするのもどうかと思ったのだ。
 だが、いきなりドアを開ける勇気も出ない。明正は躊躇いながらもドアを2回ノックした。
 ドアはすぐに開いた。
 あの写真の美少女がそこにいた。写真と寸分違わず、いやそれ以上の輝きをもって、そこに立っていた。
 明正は息を呑んだ。バストアップの写真ではわからなかった全身の姿が立体となって目の前に飛び込んできたのである。明正の驚嘆は当然と言えば当然だった。
「オトーサン・・・?」
 小首を傾げた明菜の視線は微妙に外れ定まっていない。その様子が口元のぎこちない笑みと相まって、無垢の美しさを醸し出している。
「あ、うん・・・そうだよ。」
 明正はそう答えた。
 明菜が何故自分のことを「お父さん」と呼ぶのかはわからない。ただ恐らくこの子は、自分のような年齢の男を一律にそう呼ぶ習慣があるのだろう。彼はそう判断し、明菜の言葉に合わせることにした。
 だが、その返事がまずかったのか、明菜の目が一瞬見開き、彼の目にその焦点が合った。気のせいかその瞳の奥に驚きと恐怖の入り交じった光が見えたような気がした。
 明正も明菜のその意外な反応に一瞬戸惑ったが、それもすぐに消えた。
 明菜の表情にまた無垢の美しさが戻ったからである。 
 
 明正はすっかり出鼻をくじかれてしまった。マンションに到着するまでは部屋に入るや、そのまま押し倒し、衣服をはぎ取り、陵辱するつもりだったのである。
 ところが実際に明菜の折れそうなほど細くしなやかな肢体と無垢な表情を見ていると、つみ取ってはならない一輪の可憐な花に見えてくる。
 この子が、自分にレイプされることを望んでいるなどとはとても思えないのだ。
 明正は取りあえず、様子を見ることにした。いや、もしかしたらこのまま何もできまま部屋を後にすることになるかもしれないとさえ思い始めていた。

 明正は小さなテーブルに置かれたコーヒーカップに口を付けた。それはおそらく姉の美穂が用意しておいたものなのだろう、「山本様へ 明菜のこと、よろしくお願いします。」と書かれた小さな紙片が添えられてあった。
 明正はコーヒーカップを口に運びながら、明菜の様子を目で追った。
 ドレッサーの前に腰を下ろした明菜は、シャンパンゴールドのロングヘアに数回ブラシを通すと、急に思いついたようにポニーテール風に持ち上げてみたり、ツインテール風に束ねてみたり、片側にまとめて胸の前に垂らしてみたりとヘアスタイル遊びに没頭した。
 その間、時折鏡を通して明正の視線と交錯することがあったが、故意なのか偶然なのか明菜の目が悪戯っぽく微笑んでいるように思える瞬間があり、明正の心をドキリとさせた。 ヘアスタイル遊びが終わると、次はメイク遊びだった。
 何種類かの口紅をつけては落とし、つけては落としを繰り返した後、濃いめのピンクに落ちついた時には、鏡越しにその様子を見ていた明正の鼓動は高鳴っていた。
 これも故意なのか偶然なのか、それぞれの口紅をつけながら唇をすぼめたり、半開きにしてみたり、パフっと音をたててみたり、しまいには舌先を覗かせて唇を舐めてみせたりするのだ。
(この子は、やはり俺を誘っているんだ。俺にキスを・・・いや、もしかしたらフェラチオをしたがっている。)
 明正は目前の美少女の唇に自分のペニスが飲み込まれているシーンを妄想し、股間が熱く滾り始めたのを感じた。
だがそれは明正の誤解だった。明菜にとって、そのような一見蠱惑的な仕草をすることはすでに身に付いた習慣になっていたに過ぎない。だからもしこの場に明正がいなくても同じような仕草をしていたに違いない。
 とは言え、明正の誤解を責めるわけにはいかない。男である以上、そして目の前の美少女が自分の実の息子であるという事実を知らない以上、欲情するのは当然だった。

 明菜の無邪気な「誘惑」はその後も続いた。
 何と、明正の足許にクッションを置くと、そこに腰を下ろし横座りになったのだ。そしてアイスキャンディを片手に、ファッション雑誌をめくり始めた。
 何故か制服の白いブラウスのボタンが外されていて、明正の角度からだと薄いピンクのブラと深い谷間がはっきりと目に飛び込んでくる。
 それだけではない。横座りをしているためにタイト気味のスカートが持ち上がり、細く長い美脚が、これでもかと言わんばかりに自己主張をしている。
 明正はここ数年経験していないほどのペニスの硬化を感じた。
(どうして自分の足許に座っているんだ? どうして胸をそんなに開けているんだ? どうしてそんなにアイスキャンディを思わせぶりに舐めてるんだ?)
 明正は心の中で明菜に問いかけた。
(フフ・・決まってるじゃない、あなたを誘っているのよ。ねえ、早く、明菜を襲って。レイプして!)
 明正の妄想の中で明菜がセクシーな声で囁いた。

 明正が身体の向きを整え、襲いかかる準備をした瞬間、明菜は急に何かを思いついたように立ち上がると、机の上に置いてあった革製のケースを取り上げた。
 そしてもう一度彼の近くに寄ると、今度は立ったままの姿勢で、胸の前でそのケースを広げて見せた。
「オトーサン・・ショーショ・・ソツギョーショーショ   アキナ・・・ソツギョー」
 アルバムのように見えたそのケースは、証書入れだったのだ。
 そこには明倫学園高校の卒業証書が収められていた。
 
 明正は真剣な表情をしながら、一歩前に出た。
 彼の視線の先には卒業証書・・・・ではなく、その卒業証書の向こう側に見えている深い胸の谷間だった。彼には卒業証書などどうでもよかったのだ。
 だが、明菜には「オトーサン」の目に情欲の光が宿ったのを感じ取ってはいない。
「オトーサン・・・ショーショ・・・・アキナ・・・ソツギョー」
 明菜が言い終わった時、運悪く片手に持っていたアイスキャンディが溶け崩れ、ちょうど露わになった深い胸の谷間に落下した。
 明菜の指先が咄嗟にそれをすくい上げ、半開きになった口に導いた。
 無垢な表情で舌先を出し、ペロペロと舐める仕草を目にした時、明正の我慢は限界に達した。

「アッ・・・」
 その手から卒業証書がむしり取られた時、明菜の口から無意識の声が漏れた。
 明正はそれを無造作に放り投げると、明菜の細い身体をベッドに投げ飛ばした。  
クッション性の高いベッドの上で、軽い明菜の身体は一回バウンドした。
 明正は明菜の身体に覆い被さると、
「こいつ、男をさんざんたぶらかしやがって、犯して欲しくてしょうがないんだろうが」
 と言い、白いブラウスを力づくではぎ取った。
「アアッ・・・」
 ボタンが飛び散ったのと同時に明菜の声が漏れた。先ほどよりもはっきりとした声だった。
 淡いピンクのブラのホックを外すのは、若干手間どったが、それでも明正の動きには淀みがなかった。
「おお~こんな大きなオッパイしてたのかよ。それもこんなに形がいいなんて・・・。」
 明正は明菜の豊満な美乳を乱暴に揉みしだいた。
 明菜の眉間に小さな皺が寄る。痛みや苦痛に耐える時、明菜が見せるあの表情だ。
 この表情が何人の男の陵辱欲を駆り立ててきたかわからない。
 今その一人に明正も加わってしまった。

 スカートを抜き取ると、後はブラとセットのピンクショーツだけだ。
 明正は荒々しい息づかいをしながら、ショーツに手をかけ、一気に膝までずり下げた。
 明菜の無毛の股間が晒された。そこにはあの小指の先ほどのペニスも二つの小さなビー玉大の睾丸も姿を消していた。代わりにあるのは本物と見紛うばかりに完成度の高い「ヴァギナ」だった。
「ほう~ずいぶん経験している割にはきれいな色してるじゃないか。」
 明正は明菜のヴァギナを指先で広げたり、つまんだり、擦り上げたり、好き放題に弄んだ。しまいには2本の指を乱暴に挿入し出し入れを始めた。
「ンンッッン・・・」
 明菜の眉間の皺が深くなった。苦痛が広がったのがわかる。
「うむ、明菜の『女の子』は締まりも良さそうじゃないか。へへへ・・」
「アキナ・・・・オンナノコ・・・オトーサン・・・アキナ・・・オンナノコ」
 明菜が苦しみ悶えながら言った。
「ハハハ、そんなこと言われなくてもわかってる。お前が男なわけないだろう? バカだな、お前は・・・」  

 明正は明菜の若く美しい裸体を、手と指と舌で十二分に満喫すると、その身体をベッドの中央に移動させた。いよいよ挿入の準備に入ったのである。
 だが身体が移動したことで明菜の左手に先ほど放り投げられた卒業証書ケースが触れた。
 明菜はそれを掴むと再び明正に開いて見せた。
「オトーサン・・ソツギョーショーショ・・・アキナ・・ソツギョーショーショ」
「わかったと言ってるだろうが。何故そんなに見せたがるんだ? 姉さんに、見せるように言われたのか?」
「アキナ・・・ソツギョー・・・オトーサン・・・アキナ・・・・ソツギョー」

 パシーッ・・・・明正の平手打ちが飛んだ。
「キャッ」という小さな悲鳴と共に目を丸くする明菜。
「やかましいと言っただろうがっ!俺の息子が卒業できなかったことへの当てつけか? ああ、確かに『明彦』は女になりたいとか言い出した変態息子だ。『明彦』がそんな変態野郎に育ったのは俺の責任だとでもいいたいのかっ!?」
 パシーッ・・・・二発目の平手打ちが飛んだ。
 明菜の大きな瞳から涙が溢れてきた。その涙の源が、突然の平手打ちへのショックと痛み、そして怒鳴られたことへの驚きであったのは確かだ。だが、それ以上に大きかったのは、その言葉の中に『明彦』の名が出たことだった。
 明正の訪問前に美穂によってほぼ呼び覚まされていた『明彦』が、明正の言葉によってさらに表面化してしまったのである。
 一方明正の方は、最初演技で始めた婦女暴行犯役がいつしか空想の垣根を越え、現実の自分の人格に思え始めていた。
 それもやはり無意識の内に、男の陵辱欲をかきたててしまう明菜の持つ天性の被虐性が招いた結果だとも言える。 

 明正は反射的に逃れようとする明菜のか細い手首を掴むと、あっという間に後ろ手に絞り上げた。
「ン、ンゥッ・・・」
 痛みに耐える明菜の口から声が漏れた。
 だが決して抵抗はしない。美穂からきつく言われているからだ。
「お父さん」のする行為は、例えどんなにつらいことでも明菜のためにしてくれているのだから、喜んで受け入れなさいと。 
 無抵抗のまま、ただ涙だけ流す明菜の姿を見て、明正の心はますます高ぶっていく。
 自分のどこにこんなサディスティックな一面があったのかと、彼自身知りたい思いだった。
 
 明正は右腕を明菜の細く折れそうなウエストに回し、自分に引き寄せると、そのままベッドに倒れ込んでいった。
 明正の身体に組み敷かれながらも、手足をばたつかせるわけでも、押し返そうとするわけでも、大声を上げようとするわけでもなく、ただ大粒の涙をこぼすだけ。
 もしも普段の明正なら、そしてもしも相手が明菜でなかったら、おそらくここで陵辱の手を止めたかもしれない。同情心が陵辱欲を上回ってしまうからだ。
 だが、その二つの「もしも」が消えてしまった今、明正の向かう方向は決まっていた。
 
 明菜の細く長い両脚を割り開くと、すでに誇張のピークに達している自らのペニスを、一気にヴァギナに突き刺した。
「アンッ・・・」
 明菜の眉間にこの日一番深い皺が刻まれた。
 同時に、瞑った目尻から一筋の涙が流れ、耳の後ろを通り、シャンパンゴールドのロングヘアの奥へと落ちていった。

 明正の腰の動きは、50を越えた中年男のそれではなかった。
 まるで性に飢えた若者がテクニックなどお構いなしに、ただ自分の性欲を満たすためだけに腰を振る。明正の動きは正にそれだった。
 欲求に任せて性を貪ろうとする行為は長くは続かない。
 明正の絶頂はあっという間にやってきた。
 熱い精の第一撃がヴァギナを襲った瞬間、それまで閉じられていた明菜の瞼が開いた。 明正は恍惚とした快感に浸りながら、明菜の瞳にそれまで目にしたことのない悲しみの色が浮かんでいるのがわかった。
 もう一度瞑った明菜の目頭からは涙が溢れ、印象的な小さな泣きボクロの上を伝って落ちた。
「オトーサン・・・アキナ・・・オンナノコ」
 ぎこちない笑みを湛えた明菜の口元から小さな声が漏れた。 
 
 (続く)

私立明倫学園高校 最終章-1

 山本明正は、あるマンションに向かって歩いていた。
 彼の胸中は高鳴る興奮と期待とで満ちあふれていた。
 
 2年ほど前に、突然のように届いた一通のメール。
 それは「明菜」と名乗る一人の女子高生からのものだった。
 文面を読むと、どこかの駅の階段で転びかけたのを助けられ、その後も何回か同じ駅で顔を見ている内に、異性として好きになったのだと言う。
 そんなことあっただろうか、しかも50を越えた中年男に女子高生が一目惚れ? 
 そんな夢みたいなことが起こるはずがない。明正は当然そう考え、即座にメールを削除した。
 だが、メールはその後も続き、文面にも、ただの出会い系やアダルト系とは違った真剣さが込められていた。中年男を引っかけるためには絶対に必要な写真の貼付もなかった。
 むろんそれだけで信じたわけではないが、明正の携帯の保存メールには発信者「明菜」のメールが溜まっていった。同時に明正から明菜宛の返信メールも増えていった。
 明菜は、二人の名前に同じように「明」の文字があるのは、きっと運命的なものなのかしら、などと中年男を刺激するような可愛いことまで言ってくる。
 明正は、君のことを信じないわけではないが、できるなら写真を送ってくれないかとメールしてみた。それは文面通り相手が本当に信頼できる人物であるかを確かめたいという思いもあったが、それ以上にどんな顔をした女の子なのか見てみたいという単なる下心の現れでもあった。
 ところが、返信は明正にとってとても意外なものだった。
 自分はとても不細工だから人に写真を見せたくない。きっと見せたら嫌われてしまうから、と。
 このメールは明正の気持ちを信頼に変えた。騙すつもりなら不細工などと言うわけはない。そして誰か別の可愛い娘の写真でも送れば済むことである。
 この娘は本気なんだ、と明正は思った。恐らく彼女の言うように顔は美しくはないのだろう。でもそれでもいいと思った。若い女子高生とのメールの交換はそれだけで中年男の心に新鮮な喜びを与えて余りある出来事だった。
 学校のこと、趣味のこと、テレビドラマのこと、仕事のこと、そんなとりとめのない話題も、女子高生明菜とのメールだとわくわくするような魅力的なものに感じられた。
 それに明菜の文面からはとても知的な匂いが感じられ、今時のいわゆる「おバカ女子高生」とはまったく異なる存在に感じられた。
 いつしか明正の中の明菜像は「優等生だが、男子からは人気がない地味でちょっと不細工な女の子」になっていた。
 
 だから実際の明菜の写真を見た時は、心臓が止まりそうな衝撃だった。
 見るからにハーフとわかる美少女で、そのレベルはトップアイドル並み、いや明正の知る限り彼女を越えるアイドルなどいないと思った。バストアップの写真だったので、全体はわからないが、すっきりと鎖骨が見えているところを見ると、かなり華奢な体型に感じられた。たが一方で微かに胸元から覗く谷間の深さを見ると、相当にふくよかな胸をしていることもわかった。
 もちろんその写真が、明正の要求によって送ってきたものなら、かえってメール交換をやめるきっかけになったかもしれない。
 ところが、明菜からのメールでは、その写真は友達に送るのをアドレス間違いでこちらに送ってしまったのだという。
 その日を境にメール交換が単なる「楽しみ」から下心のある「期待」へと変わっていったのは、明正が男である以上やむを得ないことだった。
 その後のメールで、何度も明菜をデートに誘い出そうと考えたが、その度にギリギリのところで自制した。明菜は落ちついた中年男性だから自分を好きになったのだ。焦って行動して嫌われたら元も子もない、という心理が明正に働いたのである。

 そして今日、その我慢が報われる時がやって来た。
 明菜からメールではなく「電話」がかかってきたのは一週間前のことだった。
 高校も卒業し、大人の仲間入りをしたので、これからはメールだけでなくデートもしてみたい、と言ってきたのである。
 初めて聞く明菜の声はメールの文面の通り、知的で落ちついた大人っぽい声だった。そういう意味では違和感はなかったのだが、写真のイメージからすると大いにギャップがあった。そもそも、メールと写真との間に違和感があったのだが、写真の明菜に魅せられていた明正にとって、それは単に意外性の魅力にしか映っていなかったのである。
 あのハーフの美少女が「大人の仲間入りをしたので、デートがしてみたい」などと古風なことを言ってくるのだ。それは中年男の下心を刺激するには十分すぎる口説き文句だった。

 だが、明正の待つ待ち合わせ場所の喫茶店に現れたのは明菜ではなかった。
 170センチ程の長身で知的な印象の美人ではあったが、明らかに写真の「明菜」とは別人だった。第一、高校を卒業したばかりにしては大人過ぎる。
 明正は咄嗟に騙されたと思い、その場を立ち去ろうとしたが、「美穂」と名乗ったその女性は、席に近づくなり明正に向かって深々と頭を下げ、丁寧な謝罪の言葉を口にした。
 その様子と曰くありげな雰囲気に、取りあえず話だけは聞こうと、明正は上げかけた腰をもう一度下ろした。
 
 実は自分は明菜の義姉であり、ある事情があって明菜の身代わりをしていた。騙していたことを心から謝罪したい、と美穂は言った。
 狐につままれたような顔をしている明正に、美穂はさらに話を続けた。
「妹があなたを好きになったのは本当のことです。それに写真も本当の彼女のものです。この後、デートをしていただくのも彼女です。もちろん、山本さんに異論がなければの話ですが。」
「なぜ、このようなことをしたのです? いくら妹のためと言っても、あなたがメールの代行までするのはおかしくないですか?」
「はい、実は写真でご覧の通り、妹はハーフで日本語があまりできません。」
 明正は胸をなで下ろした。もっととんでもない秘密でも隠されているのではという不安があったのだ。だが自分を好きになってくれたのも、今日デートしたいと思ってくれたのも、そしてあの美少女の存在も本当のことだと聞いて不安はすっかり消えていた。
「なるほど、それであなたが代行をなさったと。ずいぶん妹思いのお姉様ですね。そんなに甘やかしていると、後が大変ですよ。ハハハ」
「ええ、それはわかっているんですが、どうしても甘やかし気味になってしまうんです。・・・・・実は妹に関して、もう一つお知らせしておかなければならないことがありまして・・・。妹の明菜は少し『知恵遅れ』なのです。ですから、デートと言っても、会話はほとんどできませんし、あまり楽しくはないかもしれません。」
「・・・ほう・・・そうですか。」
 明正はできるだけ冷静に答えようとしたが、動揺は隠しきれなかった。
 会話も交わさずに過ごすデートが想像できなかったし、『知恵遅れ』の少女と時間を過ごした経験もなかった。
「でも明菜が明倫学園高校を卒業し、その卒業祝いとしてデートをしたいという彼女の思いは叶えてあげたいのです。いかがでしょう、山本様、お力を貸して頂けませんか?」
 明正は、美穂の言葉に一瞬ドキッっとした。そこに「明倫学園高校」の名が出てきたからだ。彼の脳裏に10年ほど前に勘当し、その後乞われて兵藤某という男の養子となった息子「明彦」の姿が浮かんだ。
「失礼ですが、そういうお子さんが、よく明倫学園高校に入学し、また卒業なさいましたね? あの学校は女子学生にとってもかなり大変だと聞きますが。」
「ええ、それは私も同じ明倫出身ですので存じ上げています。ただ、そこはあくまで私立学校のことでもあるので・・・・。」
 明正は美穂の言葉の含意を読みとった。恐らく寄付金か個人的な人脈によって、入学も卒業もさせたのだろう。それが世間ではよくある話だということくらいわかっている。
 ただ、美穂も同じ明倫出身と言うことで、先ほどから少し気になっていたことを口に出してみようと思った。
「ちょっと伺いますが、美穂さん・・・・とおっしゃいましたね。あなた、以前私とどこかで会ったことはありませんか?」
「いえ、初対面ですわ。」
「そ、そうですか・・・では、多分あなたと同じ頃に明倫にいた生徒で「山本明彦」という生徒はご存じでしょうか?」
「山本・・・明彦・・・・、いえ、残念ながら存じ上げません。」
「そうですか・・・それなら結構です。いや、変なことを尋ねて失礼しました。」
「いえ、お気になさらずに。」
 美穂は小さく微笑んだ。最大の難関を通り抜けた安堵の笑みだった。
 実は、美穂はこれまでに何回か明正に会っている。中学生時代に明彦とのデートの帰り、たまたま駅で明正と会い挨拶を交わしたことがある。また良介と共に明彦の部屋に遊びに行った際、リビングでくつろぐ明正と世間話をしたこともある。
 だが、いずれも10年以上も前のことであり、すっかり大人の女性に変貌を遂げた美穂を明正が認識できないのは当然だった。   
 
「いや、やはりせっかくですが、今回の話はなかったことにさせてください。妹さんに好きになってもらって嬉しい限りなんですが、正直言って、どのように時間を過ごしたらいいのかわからないし、自信がないのですよ。」
 明正は、会話が途切れたのをきっかけに思い切って心の内を口にした。
 いくら下心があったとしても、高校を卒業したばかりの美少女との初デートで性的な体験ができるなどと思っていたわけではない。あくまで絶世の美少女との会話を楽しんだり、若さ溢れる肉体の一部、例えば洋服越しの胸の膨らみとか、ミニスカートから伸びる美しい脚とか、そういったものを目にできるだけで十分だった。その先のことは会話を重ねていくことで、もしかしたらいつかその恩恵にあずかれるかもしれない。明正はその程度に考えていたのだ。 
 しかしその会話が成立しないのであれば、たとえどんな美少女であろうと共に過ごすことは難しいと思ったのだ。
「そうですか・・・残念ですわ。きっと明菜も悲しむと思います。お慕いしている山本様に、今日身体を捧げるんだと言ってましたのに・・・。」
「な、なんですって・・・?」
 明正は美穂の言葉に動揺した。聞き間違いだと思った。
「何しろ、ああいう子ですから、デートというのは好きな男性とセックスをすることだと思い込んでいるのです。しかも女は男性の望むまま、どんなことでも受け入れる。それが女の幸せなんだと、明菜は信じ込んでいるんです。それにあの子ったらどこで手に入れたんだか、こんなものを見て・・・・フフフ」
 美穂は思わせぶりに笑うと、バックから一冊の本を取り出し、テーブルの上に置いた。

『ザ・レイプ・・・陵辱! 暴行! リンチ!』と書かれたアダルト写真集だった。
 表紙には、縛られ自由を奪われた女性が無理矢理犯されている画像や、涙を流しながら仁王立ちの男のペニスを口に含んでいる女性の画像などが並んでいる。 
「な、何ですか・・これは?」
「あの子ったら、セックスとはこういうものだと思っているみたいなんです。おかしいでしょ? でもああいう子ですから、一度思い込むと一途なんですよ。」
「し、しかし・・・これがセックスだと知ったら、いや、デートがこういうことをすることだと知ったら、当然嫌がったでしょう?」
「それが・・・あの子ったら、こういうことをされてみたいって言うんです。好きな人に力づくで犯されたいって、そんなこと言うんですよ。」
「そ、それは・・・本当ですか? 本当に言ったんですか?」
「ええ、本当です。ですから山本様、お嫌でしょうけど、明菜のためにお力を貸していただけないでしょうか。どんな乱暴をなさってもかまいません。それが明菜の望みなのですから。」
 明正は目の前の写真集を捲りながら、いくつかのレイプシーンを見つめた。
 そしてその女性モデルを頭の中で明菜に置き換えてみた。
 あの、性とは無縁なところにいるような美少女が無理矢理犯され、陵辱される姿を想像すると、図らずも明正の男の情欲が沸々とわき上がってくるのだった。
 しかも本人はそれを望んでいるのだと言う。恐らくこんな美少女を堂々と犯せるチャンスは2度と巡ってこないだろう。もし、ここで拒否すれば、その恩恵はきっと誰か別の男にもたらされてしまうに違いない。そうなったら後悔してもしきれないではないか。
「わ、わかりました・・・お引き受けします。 ただ、一つだけ確認しておきたいのですが、彼女はすでに男性経験はありますよね? もし未経験だとしたら、さすがに罪悪感を感じますから。」
「男性経験・・・・ですか? フフフ・・・ええ、もちろんあります。でも、彼女にとってこれまでは『ノーマル』な体験ばかりだったみたいですわ。」
「そうですか、それで安心しました。では明菜さんのためにもがんばらなくてはなりませんね。アハハハ」
 美穂は、写真集を興味深そうに眺める明正を穏やかな笑顔で見つめた。
 だが、内心は大声で笑い出したい気分だったのだ。美穂は心の中で明正に語りかけていた。
「あなたは誤解しているみたいだけど、明菜は正真正銘のバージンよ。でも私、嘘は言っていないわ。だって『男性経験』と聞いたでしょ?『男性経験』は豊富ですもの。それにヴァギナを持つ前の明菜にとって『ノーマル』なセックスはアナルセックスのことよ。フフフ・・・。 あなたは今夜、明菜のバージンを無理矢理奪うことになるの。その明菜が本当はあなたの息子『明彦』だとも知らずにね。」
  

 美穂から指示されたマンションまでは徒歩で10分ほどの距離だった。
 彼女は明正に、自分は準備のために先に行くので、1時間後にメモを頼りに来て欲しいと告げ、彼に地図とマンション名及び部屋番号が書かれたメモを手渡したのだった。

 明正はエントランスにあるドアホンを押そうと指を伸ばして、引っ込めた。
 喫茶店での別れ際に美穂が残した言葉を思い返すためだ。
「山本様、明菜は本当にかわいそうな子なんです。たとえ間違った思い込みをしていようとあの子の望みは叶えてあげたいんです。無理矢理犯されることが幸せだと思っているあの子の望みをどうか叶えてあげてください。決してひるんだり躊躇ったりしないでください。あの子は敏感ですからすぐに気づきます。そして悲しむでしょう。あなたから愛されていないと思って・・・。お願いします。あの子を悲しませないためにも本気で演じてください。たとえあの子が変なことを口走ろうと、本心はあなたに無理矢理レイプされることを望んでいるのです。そのことだけは忘れないでください。」

 明正は大きく深呼吸をした。
(よし、今日だけは、俺も暴行魔になりきってやる。女を徹底的に陵辱する暴行魔に。)
 明正はそう心に言い聞かせると、改めてドアホンのボタンを押した。
  
 (続く)

 

私立明倫学園高校 第10章-6

 明菜と二人きりになるや、学園長はすぐにドアをロックし、カーテンを閉め、それからゆっくりと明菜の前に立った。
「さあ、明菜、お礼の時間だ。 心を込めてお礼をしなさい。」
「ハイ・・・センセ アキナ・・・スキ・・・オレイ・・・スキ・・・センセ・・スキ・・・」
 明菜はその場に跪き、ズボンのベルトに手をかけたかと思うと、手慣れた手つきでそれを外し、ズボン、トランクスと少しの滞りもなく脱がしていった。
 現在の明菜の能力にも関わらず、これほど手際よく進められるのは、きっとこの作業を身体に染み込むほど何度も経験しているからなのだろうと、学園長は思った。
 だが明菜がその経験値の高さを実証したのは、その後だった。
 舌と唇を微妙に使い分け、押したり引いたりの手管を駆使し、男の敏感な部分を巧みに刺激するそのテクニシャンぶりに学園長は驚いた。
 
 彼は以前、某ニューハーフクラブで「彼女」たちのフェラテクニックに舌を巻いたことがある。そこで、一人の子に、どうやってそんな巧みなテクニックを身につけたかを聞いてみたところ、「それは元男だからよ。どこを舐められたら気持ちいいか、経験しているんだから当然よ。」と答えくれた。
 彼は、明菜のテクニックを堪能しながらそのことを思い出していた。
(なるほど、明菜がこんなに上手なのは、元男だからだ。経験しているんだから当然か。)
 彼はそう思いかけて、ハッとした。
 明菜には今までに男としてフェラチオされた経験はないのだ。いや、これからだって経験することはない。きっと明菜のテクニックはすべて実践で身につけたものに違いない。
 ここに至るにはおそらく様々なテクニックを試してみたことだろう。
 
 ここを舌で刺激したらどうかしら? あ、よかった。感じてくれたみたいだわ。
ここはこんなふうに舐めてみたらいいのかしら? だめね、あまり喜んでくれない。
 この辺は? ちょっと強めに吸ってみたら? ああ、うれしい、声を上げてくれてる。
 強く吸い込んだ方がいいの?それともゆっくり繰り返した方がいいの? あ、いけない、強くしたら止められちゃった。わかったわ。ゆっくりなのね。
 もっと喉の奥まで飲み込んだらいいの? 苦しいけど・・・すごい喜んでくれてるみたい。
 え?今度は速くしろってこと? こう? こうでいいの? ジュルジュルって音が出てるけど・・・あ、この音がいいのね。わかった。もっと音たててあげる。
 よかった・・・イッてくれた・・・でも、これってどうしたらいいの?飲み込んだ方がいい? それとも・・・・え? あ、わかったわ。あなたの目を見ながらコクッてすればいいのね。

 そんな思いを明菜はこれまで何十回何百回と経験してきたに違いない。
 自分が男でありながらフェラチオされる快感も知らないまま、他の男にその快感をもたらすためだけに努める。
 男として生きていれば絶対に必要のない試行錯誤を明菜はこれからも、し続けなければならないのだ。
 そう思うと、懸命に奉仕を続ける明菜の姿がいたいけで、儚くて、哀れにも思えてくる。 だが、そんな学園長の微かな同情心を打ち消したのも明菜自身のテクニックだった。
 同情心はその数倍の大きさの陵辱欲に代わっていった。

 ジュルジュル、シュポシュポと隠微な音をたてながらの奉仕は、喉奥まで迎え入れるディープスロートに変わった。
 学園長のうめき声の変化とペニスの膨張ぶりに、絶頂を察知した「ベテラン」明菜の適切な判断だ。
「ううっ・・ううむ・・」
 ペニスの先端が喉奥に飲み込まれる快感に学園長は思わずうめき声を上げた。
「ング、ングングゥ・・」
 苦しそうな声と共に、明菜の眉間に小さな皺が寄った。
 学園長お気に入りの表情だ。いかにも苛めてくださいと言わんばかりの表情を見ているだけで果ててしまいそうになる。
 このまま明菜の喉奥に大量のザーメンをぶつけてしまおうと思った瞬間、さらなる邪心が学園長の心にわいた。
 学園長は明菜の口から暴発寸前のペニスを引き抜いた。
「ベテラン」明菜にはそれが何の合図かすぐにわかった。顔で受け止めろということだ。
 明菜は目の前のペニスを右手で握ると細い指先で巧みにストロークを始めた。
「アキナ・・ザーメン・・スキ・・・ザーメン・・・ゴホービ・・・アキナ・・・スキ」
 明菜は右手でストロークを繰り返しながら、左手で睾丸を刺激し始めた。
 男がただ仁王立ちするだけで、女が自ら射精に導き、そしてそれを顔で受ける。それが多くの男が好むスタイルであることを明菜は身につけていたのである。
 だが、このままただの顔面シャワーでフィニッシュを迎えようと思うほど、学園長の心は純粋ではなかった。明菜の被虐性にすっかりSごころを刺激された彼に自制心はなくなっていた。
「いいか、『明彦』、今からお前は私のザーメンを浴びるのだ。自分で私のペニスをしごき、自ら進んで浴びるのだ。お前をこのような運命に導いた憎むべき男のザーメンを。どうだ?『明彦』、それでもお前はうれしいのか?」
 学園長の残酷な言葉に、明菜は一瞬ピクッと反応し、両手の動きを止めた。
 だが、次の瞬間には、再び虚ろなまなざしとぎこちない笑みが戻り、
「アキナ・・スキ・・ゴホービ・・ザーメン・・スキ・・タクサン・・ホシイ」
 と、カタコトのアクセントで言った。
「そうか、明彦はそんなに俺のザーメンが好きか。よし、明彦、好きなだけしごけ。そして好きなだけ浴びればいい。ほら、明彦、しごけ!」
「アキナ・・スキ・・タクサン・・ザーメン・・スキ・・ホシイ・・・」
 明菜の瞳が照明に照らされてフルフルと揺れ始めた。涙がこみ上げいるのが見下ろす学園長の目からもわかった。
「いいか、明彦、これからお前は毎日ここに来て、俺のザーメンを浴びるのだ。それが、勉強の全くできないお前が唯一合格できるテストだ。いいか、明彦、毎日だぞ。」
「アキナ・・マイニチ・・ザーメン・・スキ・・イッパイ・・ホシイ」
 明菜の目から溢れた涙が止めどなく流れ落ちた。
 その儚げな涙を見た瞬間、学園長の欲望の堰が決壊した。
「う、うっ、い、いくっ・・・明彦ぉ、う、うけとめろっ・・・」
「アキナ・・スキ・・ザーメ・・ウッっ・・」
 白濁の第一撃が言いかけていた明菜の微かに開いた口元を直撃した。
 すぐに第二撃、第三撃が後に続いた。
 形のいい鼻腔から右瞼にそって白い筋ができた。
 そこには男の陵辱欲をかき立てて止まない泣きボクロがあった。
 明菜の目から溢れ出す涙と白濁が混じり合い、泣きボクロを消した。

 
 大量のザーメンを放出したことで一時は鎮まった学園長の情欲は、白濁を浴びたまま床に横座りになって、涙を流しながらも口元に笑みを浮かべている、そんな明菜の姿を前に、再びその炎を燃やし始めたのだった。
 明菜の巧みなフェラテクニックによって硬度を回復した彼のペニスの新たなターゲットは、言うまでもなく明菜のアナルだった。
 だが学園長は、いきなり明菜を四つんばいにさせバックからペニスを突き入れるほど若くはないし、「ノーマル」でもなかった。
 学園長は明菜の服を脱がせた。美穂から服は汚さないようにとの要望があったこともあるが、何よりも裸を見てみたかった。もちろん、DVDでは何度も見ている。だが、実物を目の前で見たことはない。
 もしかしたら9年間の苦境が明菜の身体を衰えさせているかもしれないと思うと、多少の不安もあるが、それでもやはり見てみたかった。
 だが、実際に目にした明菜の裸体は、その予想を良い意味で裏切った。
 明菜の身体は9年前とほとんど変わっていなかった。
 細く長い手足と折れそうな程華奢な骨格、乳首の先端がわずかに上を向いた美乳は縊れを強調するウエストの細さとのバランスで、Eカップ以上のバストサイズに見せている。プリンとした小山を持つヒップラインはうっすらと脂ののった太股へと流れるような曲線を描き、そのラインはキュッとしまった足首まで続いている。
 その見事なまでに整った「女体美」は9年前にほぼできあがっていて、9年経った今、完成形にたどり着いたのだ、それが明菜の裸体を目の前にした学園長の印象だった。
 だが、その完成された女体美にあってはならないたった一つの異物が、今も明菜の股間にはある。小指の先ほどの小さな異物だが、確かにそこに現存している。
 今、明菜の裸体を写真に収め、それを知らない誰かに見せて、感想を求めたら、恐らく10人が10人同じ感想を述べるだろう。
「これは、どこかのハーフのグラビアアイドルの写真に、誰かがいたずらでペニスを合成したんだよ。でも違和感ありすぎだよ。どうせ悪戯するならサイズ調整はきちんとしなくちゃ。ペニスのサイズ縮小しすぎだよ。」と。

 学園長は裸の明菜の腕を掴むと、部屋の隅に導いた。
 そして自分はそこに置かれた予備の椅子に腰掛けると、明菜の細い身体をむき出しの膝の上に乗せた。懸命なフェラ奉仕によってすでに臨戦態勢のペニスが明菜の太股を下から突き上げた。
 彼はキャスター付きの椅子をわずかに移動させ、目の前の姿見と正対した。
 鏡には学園長と彼に抱きかかえられ横向きになった明菜の姿が映し出された。
「さあ、今度はご褒美の時間だよ。ご褒美は好きか?」
 明菜は定まらない視線を鏡の方に向け口を開いた。
「アキナ・・・ゴホービ・・スキ・・イッパイ・・・ゴホービ・・・スキ」
「そうか、では、明彦はどうだ? 明彦もご褒美は好きか? 俺のチ○ポがお前のアナルを犯すんだぞ。それでも好きか?」
 明菜の身体がピクっと反応し、視線が動いたように見えたが、すぐに元の表情に戻った。
「アキナ・・スキ・・ゴホービ・・ホシイ・・・ゴホービ・・・イッパイ・・ホシイ」
「そうか、明彦も欲しいか。お前をこんな目にあわせた男のチ○ポで女にして欲しいというのだな。よし、わかった。望みを叶えてやる。」
 学園長は明菜の身体の位置を調整し、鏡に正対するように座り直させた。
 明菜の細い両脚は、彼の二本の太股に割り裂かれ、ぶらりと宙に浮いている。
 学園長は固くなったペニスが明菜の柔らかい尻肉を下から押し上げているのを確認すると、Eカップの美乳を後ろから鷲づかみにし、荒々しくもみ上げた。
「アンッ・・・」
 明菜の口から本能の声が漏れた。
「そうか、明彦は胸を揉まれるのが好きか?男のくせに女も羨むような巨乳娘になって、男をたぶらかすのがそんなに好きか?見てみろ、お前のせいで俺のチ○ポは暴発寸前だ。」
 学園長は明菜の身体を持ち上げ、いきり立ったペニスを鏡に映るように晒した。
「アキナ・・チンチン・・スキ・・・ゴホービ・・・ホシイ・・・イッパイ・・スキ」
「フフフ・・・そうか、チ○ポが好きか? 明彦は男のくせに男のチ○ポが好きか。しかしお前だって、ここに持っているではないか? 明彦、これはお前のチ○ポではないのか?」
 学園長は右手を胸から離すと、明菜の股間にある小さな「突起物」に触れた。
 明菜の瞳が徐々に潤み始めているのが、鏡越しに見て取れた。
「どうだ?明彦、これはお前のチ○ポではないのか?答えろ、明彦!」
「アキナ・・チンチン・・・アキナ・・・チンチン」
「そうだ、これはお前のチ○ポだ。ということは、明彦、お前は男なのだ。お前はチ○ポを使って女を犯すことのできる男なのだ。どうだ、それでもお前は男に犯されたいのか?」
「アキナ・・ホシイ・・ゴホービ・・・ホシイ・・・ゴホービ・・・スキ」
「フフフ・・・そうか、それでもお前は犯されたいというのだな。つまり、これはお前にとって不要ということだ。よかったな、明彦。お前の姉さんと兄さんは近々これを取り除いてくれるそうだ。そうなれば思う存分、ご褒美がもらえるぞ。よかったな、明彦。」
 明菜の目尻から涙が伝って落ちた。鏡越しに自分の涙を見た明菜の目には、それ故に新たな涙が誘発されていた。
 
「よし、お前にご褒美をくれてやる。心ゆくまで味わえ。いいな、明彦。」
 学園長は明菜の身体を一旦持ち上げると、今度は自らのペニスの先端に向け、明菜のアナルを引き寄せた。
「アアッン・・・」
 明菜の口から甲高い悲鳴が漏れた。
 学園長は明菜の両脚を抱え上げた。鏡に挿入部分が映るように、姿勢を微調整したのだ。 そしてそのまま下から突き上げるようにピストン運動を始めた。
「アン、アンン・・・」
 明菜の本能の声が、身体の動きに合わせて断続的に漏れてくる。
「ほら、見てみろ、明彦。俺の太いチ○ポにお前は犯されているのだ。それに比べてお前のチ○ポの哀れなこと、俺の動きに合わせて、プルプルと上下しているだけでないか。確かにこれでは女を犯すことなどできないな。アハハハ」
 学園長の突き上げる速度が徐々に上がってくる。それに伴って明菜の漏らす甲高い声は小刻みな喘ぎ声へと変化していった。
「アン、アン、アアンン・・・」
「目を開けろ、明彦。お前が一生犯される側の人間になったことをその目に焼き付けるのだ。たとえ相手が憎むべき男でも、その力に屈服し、嫌でもそれを喜びとしなければならない、そんな弱い女に、お前はなったのだ。明彦、しっかり見ろ!」
 学園長の激しい言葉に、明菜は目を開け鏡を見つめた。その瞬間大粒の涙が堰を切ったように頬を伝って落ちた。

 それから間もなく、学園長の口から絶頂を告げる叫び声が漏れた。
 明菜はアナルに小さな震えを知覚し、次の瞬間、その震えはビュビュっという脈動に変わり、身体の奥に届く熱い樹液の迸りを感じた。
「イ、イク、イクゥッ・・・」
 明菜の口からも本能の叫びが漏れた。そしてその声と前後して明菜の「突起物」の先端から透明な液体がツツーと糸を引くように流れ落ちた。それは男としての「射精」とは似ても似つかない、惨めで哀れな現象だった。
 
 明菜の虚ろな目は、鏡越しにその様を捉えていた。
 ほんの短い間だったが、明菜の口元のぎこちない笑みは消えていた。
 もしかしたら心の中の「明彦」がこの時はっきりと何かを認識したのかもしれない。
 絶望なのか、無力感なのか、諦観なのか、あるいは全く違った感情なのか、それはわからないが・・・。  

 明菜の表情に彷徨うような視線とぎこちない笑みが戻り始めた時、学園長の携帯電話が鳴った。
「はい、もしもし、おお美穂くんか?・・・・・ え? ああ、もうすっかり堪能させてもらったよ、ハハハ。え?ああ、明菜もまだここにいる。・・・・ん?化粧直し?そりゃまあ、必要だろうな、ハハハ・・・・・ うん?何だって?・・・・病院?・・・・え?去勢手術?明菜はそのことは?・・・・・うん、そうか、わかった、大丈夫だ、黙ってるから・・・・うん、じゃ、10分後に・・・うん、では・・・・」
 学園長はそこまで話すと、電話機を明菜の耳に当てた。
 明菜の耳許に「美穂お姉様」の優しい声が聞こえた。
「明菜ちゃん、お礼済んだみたいね? 先生満足なさっているみたいよ。よかったわね。もうすぐ迎えに行くからね。ちゃんとお化粧直して待っていなさいね。今日はね、これから病院に行くのよ。あ、でも、心配はいらないからね。ちょっと明菜ちゃんの『ご病気』を診てもらうだけだから。」
 明菜は、美穂の話を時折小さく頷きながら聞いていた。そして最後に「ハイ、オネエサマ」と答えると、電話機を学園長に返した。

 ソファに置かれたままの化粧ポーチを手に出口に向かおうとする明菜の背中に、学園長が声をかけた。
「明菜!」
 明菜は一瞬足を止めた。
「良かったな、お前。優しいお姉様を持って。今日はお前の『病気』を診てもらうために無理して病院の予約も取ってくれたそうだ。」
 明菜は元気よく振り返ると、虚ろな視線とぎこちない笑みを浮かべ、小さく小首を傾げながら口を開いた。
「アキナ・・・ビョーキ?」
「ああ、お前は『病気』だ。だからお姉様の言うことをよく聞いて、ちゃんと『病気』を治してもらいなさい、いいね。」
「ハイ、センセ・・・アキナ・・・オネエサマ・・・スキ・・・ビョーキ・・キライ・・オネエサマ・・・・ダイスキ」
 明菜は学園長にクルリと背を向けると、そのままドアを開け、部屋を出て行った。
 学園長の耳に、化粧室までの長い廊下を小走りに進むピンヒールの靴音が聞こえてきた。
 
 (最終章に続く)

プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
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女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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