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Priscilla's Perils(翻訳) その5(最終回)

 そして夜、夕食後(もしも夕食と呼べるならの話だが)、僕は、すべての話が高い維持に関することに向かっていくのがわかった。
 それほど長時間でもない熱いシャワーの後、母は僕の髪をフワフワのピンクタオルでターバンのように巻いた。
 もう一枚のタオルを女の子のように胸巻きにして、気持ちの悪い香りのバスパウダーを全身にはたきかけた。
 狼狽したことに、シャワーを浴びても顔のとんでもない化粧に変化はなかった。それで母は、コールドクリームを一塊り取り出すと、それを僕の顔に塗った。
 彼女は僕の指を使ってやり方を示し、それからティッシュで拭き取った。
 何という安堵感だろう。
 僕は以前の自分を取り戻したようだった。オカマみたいな眉を除いて。
 
 でも僕は長時間自分の顔を見ることはなかった、と言うのも、母はさらにクリームを塗り、Sissy用のナイトマスクをした。その後で彼女は僕の髪に取りかかった。

「プリシラ、気を付けて見ておくのよ。明日の夜は自分でやることになるんだからね。まず髪の毛を分けたら、粘着性のセッティングジェルをたっぷりと塗るの。ほら、まるでゼリーみたいでしょ? それから、カーラーを使って綺麗にしっかりと巻くの。」

「イタッ」僕は鋭い声を上げた。

 母はそれを無視した。
「それからピンを使って、きちんと止める。ね、意外と簡単でしょ? でもよく見て。カーラーはきちんと並んでいるでしょ。こういうふうにしておけば、ゆるゆるのカーラーや髪の乱れを見なくても済むわ。」
 それはとてつもなく長時間だったが、最終的には、僕の頭はひどいピンクのカーラーでいっぱいになった。

「さあ今度は綺麗な飾りの付いたシフォンのナイトキャップよ。これを着ければ全部をカバーしてくれるし、あなたの可愛らしさもそのままよ。できたわ! あなた、まるで夫とのベッドインの準備をしている50年代の奥様のようだわ。夫の話をしながら、ここで待っているみたいよ。」
 
 僕はマーガレットに着るように強く言われたバカげたネグリジェを身に着けて、ベッドに腰掛けた。それは、飾りの付いたパンティをかろうじて覆うくらいの短さだった。マーガレットはそれをベビードールとか何とか言った。母とマーガレットが大股で入ってきた。マーガレットは背中に何かを隠していた。
 
 母は「真剣な」調子で話し始めた。
「プリシラ、あなたが私に誤解を与え、普通の男の子だと思わせるよう騙したやり方は、絶対に許せないわ。見ず知らずの人で溢れた法廷で、自分の息子の真実を聞かされなければならない恥辱を想像してご覧なさい。」
 
 僕は、恥ずかしい思いをしたのは僕の方だと叫び出したかったが、結局は口を開くことはしなかった。
「私には・・・『ここ』から付き出たパットの入ったあなたの水着姿を頭から消すことはできないわ。」
 彼女は吐き捨てるように言いながら、自分の手を胸の前から少し離して、膨らみを形作って見せた。
「だから、本物の大きくて女らしい乳房を持ったら、あなたがどんなに喜ぶか試してみましょう! 面白そうじゃない? あなたの成長が待ち遠しいわ。」と彼女は声を荒げて言った。
「あなたにはタイトなセーターと薄いブラウスを着せるつもりよ。だってそうすればみんな、私の息子に本物のオッパイがあるのがわかるじゃない。単なる見せかけじゃなくなるのよ。自分たちの元相棒にオッパイがあるのを知ったら、あなたの友達は一体なんて言うかしら? あなた、可愛いブラをするのが好きなのよね? それが欠かせない身体になるのよ。もし興味があるなら教えてあげるけど、要するにあなたは巨乳のSissyになるってこと!それに女らしいふくよかなヒップも忘れるわけにはいかないわ。」

 僕は母の言っていることを耳にしながら、恥ずかしさに膝が崩れ落ちるのではないかと思った。
 僕の胸にオッパイ!
 僕は男の子だぞ!
「お母さん、お願いだよ。僕、オ・・オッパイなんて欲しくないよ!イヤだよ。言われたことは何でもするから。許してよ。お願いだよ。」
 僕は、この時子供のように泣きべそをかいていた。

「ええ。あなたがオッパイなんか欲しくないことくらいわかってるわ。みんなを欺き続けたいという気持ちもね。自分がキモイSissyだという証をみんなに見せたくないということよね。でも、そんなこと大した問題じゃないわ。だって、私、あなたをオッパイのある男の子に変えるのが楽しみでしかたないもの。」

 マーガレットは喜びで我を忘れていた。
 彼女は母の話に、興奮して甲高い声をあげながら、手を叩いた。

 僕の熱く紅潮した頬には、涙がこぼれ落ちていた。
 母は全く冷静だった。

「さあ、もうこれ以上、時間を無駄にしたくはないわね。ベッドに上がって、俯せになりなさい。そうよ、頭はこの枕に。違うわ、膝はそのままよ。」

 僕は身が竦みながらも、なんとか母の命じた通りにした。
 それは無様の光景だった。僕の震えるお尻は上を向いて、突き出されたままだった。

「リラックスなさい。きっと気に入るわよ。」
 彼女はゆっくりと僕のパンティを引き下ろすと、お尻を露出させたままにした。
 僕は彼女にスパンキングされるのだと思ったが、耳に入ったのはマーガレットの笑い声だけで、その次にはアヌスに何かが押し込まれるのを感じた。
「何? 何をしているの? や・・止めてよ!」
 僕は叫んだ。
 逃げだそうとしたが、母にしっかりとつかまれ、身動きができなかった。
「頭を下にしたまま、じっとしていなさい、プリシラ。」
 母は厳しい口調で命令した。

 マーガレットが僕のお尻に何かを突き刺した。僕は叫び声を上げた。
 恐ろしいことに、彼女はそれを出し入れし始めたのだ。

 母がからかうように言った。
「ほら、どう? とってもいい気持ちじゃない? リラックスして感触を楽しみなさい。もしよがり声をあげたいなら、かまわないわよ。マーガレットも私もその気持ちはわかるもの。」

「お母さん、止めてよ! お願い、止めて! 痛いよ!」
 マーガレットが出し入れのペースを上げた時、僕は泣きべそをかいた。
 幸いなことに、しばらくして、その感触はまるで溶けていくかのように弱まっていった。
 数分間の恥ずかしさの後、マーガレットは溶け残ったものをお尻に押し込むと、すぐに別の・・・もっと大きな物を押し込んできた。

 涙が顔に流れ落ちた。
 母はパンティを元に戻し、僕を起きあがらせた。
 お尻に入った物がひどく痛かった。
「何をしたの?」
 僕は悲しい声で言った。

「最初の常用ホルモン剤を上げただけよ。ワクワクしない? Sissy Mister製で(*16) Ultra-Femというホルモン剤よ。中には大量のエストロゲンとアンチテストステロンが含まれているの。それは特に効果が早く出るように精製されているのよ。だってあなたには間違われることのない女性的な姿になって欲しいもの。グラッドストーンさんが言うには、牛みたいな巨乳にしてくれるらしいわよ。」
 彼女はクスクス笑いながら言った。

「何で、僕のお尻に入れたの?」僕は泣きながら言った。

「だって、座薬だもの。お尻に入れるのが当たり前でしょ、バカね。」
 マーガレットが答えた。
「注射という方法もあるのよ。でも、この方がずっと面白いでしょ。少なくとも、私はそう思うわ。あなたは座薬が溶けるまで、それを出し入れしないといけないの。それから私たちがその可愛いお尻に残りを押し込んで、薬がしっかり定着するようにアナルプラグをするの。」
 彼女はニコリと笑って、母に視線を送った。
「座薬がどんな形してるか見たくない?」
 僕の答えを待たずに、彼女は缶を開けると、手を入れた。
 それがよくないものであるのは、疑いがなかった。
 彼女はそれを僕に近づけた。
「この形わかる? お兄ちゃん。 きっと見覚えあるはずなんだけどなぁ。」

 僕は吐き気を催したが、何とかそれを抑えた。

「びっくりするほど、本物そっくりでしょ? これ、一日ずつ大きい物に変えていくの。りっぱな大きさになるまでね。私たちがあなたをいろいろな方法で女性にしようとしているってこと、わかったでしょ。」
 彼女は自分の冗談に笑った。その後、母は電気を消し、静かにすすり泣いている僕を残して部屋を出た。

 とうとう土曜日の朝を迎えた。
 僕は熟睡できぬまま、朝を迎えた。オッパイのある悪夢をずっと見ていた。
 夢の中では、どうやって隠そうとしても、オッパイがあるのは明らかだった。どこへ行っても、人々は指さして笑った。それはひどいものだった!
 ひと月前には、僕はよく眠り、朝食にたくさんのパンケーキを食べ、午後には公園でバスケットボールをして過ごし、女の子達とふざけ合っていた。
 でも今は「すばらしい」女性用のネグリジェとローブを身に着け、朝食の席に着いている。つま先を羽毛で飾ったサテン地のハイヒールミュールは、僕の耐え難いイメージを完璧に作り上げていた。
 僕には公園で過ごす時間はなかった。その代わり、The Sissy Misterのすべての午前クラスに出席することになっていた。
 レディのような座り方、歩き方、話し方を、そしてチュチュ姿での踊り方を習うことを思うと恥ずかしくてたまらなかった。それに比べれば手芸や裁縫はまだ何とか耐えられたが。

「素敵な夢を見た? あなたには、本物の女性の10倍のエストロゲンが与えられているんだから、きっと毎晩男の子の夢を見ることになるわよ。それにすぐ、あの可愛いベビードールを引き立たせる素敵なものを持てるのよ。あなたはどうか知らないけど、私は待ち遠しくてしかたないわ。」

 朝食後、ドアのベルが鳴った。
 幸い母がそれに応えてくれた。 
 恐ろしいことに、キッチンに向かってくる母と他の女性の声が聞こえた。
 僕は立ち上がり、走り出そうとしたが、逃げることはできなかった。

「あら、プリシラ。私たちのために立ち上がってくれなくてもいいのよ。」

 僕は、スージーがヒースと彼らのお母さんを引き連れて入ってくるのを見て、死んでしまうのではないかと思った。
 女性達にネグリジェとローブ姿を見られる恥辱で凍り付き、動けなかった。

「今朝はずいぶん、誘惑的な姿じゃない?もしかして夕べは男性のお友達と一緒だったのかしら? 私も男性を誘うときはいつだって女らしい服を着たくなるもの。」
 ジョンソンさんはニヤニヤ笑った。

 僕は部屋に逃げ込んだが、マーガレットとヒースとスージーが僕の後を追ってきたのがわかった。
「許可なしに私の前から姿を消すなんて、絶対に許されないわよ。」
 スージーは厳しい口調で戒めた。

「スージー、お願いだよ。君は僕の友だちでしょ。」
 
「もちろん友だちよ、girly-boyちゃん。他に誰があなたみたいな変態Sissyと一緒にいたいなんて思うかしら? さあ、そのネグリジェを脱ぎなさい。今日はびっくりされる物があるんだから。」
 
 僕は不機嫌な顔でネグリジェを脱ぎ、パンティとヒールだけの姿で立っていた。

「目を閉じて、プリス。びっくりするものがあるから。」
 スージーがからかうように言うと、ヒースとマーガレットが笑った。

 恥ずかしさの中で目を閉じられることにホッとしていた僕の手に、スージーは無理矢理大きな瓶を押しつけた。

「さあ、目を開けていいわよ。」スージーが笑った。

 僕は目を開け、スージーが無理矢理持たせた大きな瓶を見た。

 マーガレットが近くによって来て笑った。
「ほら、見て、プリッシー。あなたがお母さんにねだっていた(*17)Boobsie Boyクリームよ。あなたってなんて幸運な女の子なんでしょう!」
 彼女は心の底から関心している振りをしながら言った。

 スージーが近くに来て、缶の蓋を回した。
「これはSissy Mister特製の配合になっているのよ、プリッシー。これを塗ると乳首がプックリとして女性的な形になり、オッパイがとっても敏感になるのよ。ほら、いいのよ。手を伸ばして、たっぷり取りなさい。他にも何本か買ってあるんだから。」

 僕はピンクのクリームを見つめた。
 床にそのおぞましいものを投げ出したかったが、Sub-Missy Bars の効き目でそれができなかった。
 僕は息を飲み込むと、手を伸ばし、少しだけ掬った。

「もっとよ!」
 スージーが怒鳴り声を上げた。

 僕はその声に竦み、すぐに大量のクリームを掬い上げた。

「いいわ。さあ、続けなさい。バカじゃないんだから、何をすべきかわかるでしょ。」

 僕は、深く息を吸い込むと、香りのするクリームを乳首と「オッパイ」にたっぷり塗りつけた。
 そんな僕に、マーガレットが鋭い鞭を入れた。僕は飛び上がった。 
「微笑みを忘れてはダメでしょ、Sissy。」
 少女達は笑いながら、もう一方の胸にも同じことをやらせた。
塗り終わったときには、僕は乳首がチクチクと疼くのを感じた。
そして、マーガレットにピンクのトレーニングブラを手渡されたときには、乳首がすでに膨らみ始めているのがわかった。
 スージーが乳首を意地悪く抓ると、僕は苦痛に喘ぎ声を上げた。

「少し敏感になったみたいね?」と彼女は笑った。
「いいわ。その痛みはあなたに、今まで悪いSissyであったことと、これから私たちがあなたに何をするつもりなのかを思い出させてくれるはずよ。」

 マーガレットとスージーが笑いながら前日の購入品を調べた後、僕たちはまたSissy Mister へと向かった。  
 間もなく僕は「レディとしての歩き方、座り方」を学び、女らしいトーンでの話し方を練習していた。
 お願いだよ!
 教室は、僕と3人のクラスメートが辱められる姿を見た観衆達のバカ笑いで満たされた。
 スージーはご丁寧にもカメラを用意していて、僕には彼女が何枚も写真に収めているのが横目で見えた。

 授業後、母と他の皆が近づいてきた。
「プリシラ、これからは家でもたくさんすることがあるわよ。あなたのような本格的なSissyの振る舞いには大げさな程の女性らしさが必要だもの。あなたが他の立ち居振る舞いをすっかり忘れてしまうまで止めるつもりはないわ。 面白いことになりそうでしょ?」
 彼女はからかうように言った。
  
 Girl's Ballet for Boysが次の授業として用意されていた。
 僕は絶望的な思いの中で、少女用のピンクのチュチュと白いタイツに身を包んだ自分の姿を考えないように努めた。だが、教室を見ている親、兄弟・姉妹、友だちたちの笑い顔が目にはいると、僕にそのことを思い出させた。
 教室の様子が映像に収められた後、母はバレエのインストラクターと話をした。僕はその話の中で、バレエクラスには多くの公演が予定されていることを初めて知った!
 母は僕の参加を約束すると、次のような希望を伝えた。僕がクラスの中で「明らかに最も女らしい少年」なので、いつかの演技ではプリマドンナになれるはずだと。
 先生がそれに簡単に同意し、将来的にはあらゆるリサイタルでプリマドンナになることだろうと言ったとき、僕はすっかり意気消沈した。
 母は満足感で目を輝かせていた。
 
  Sissy Missy Homemaker Class中は、僕は母や他の誰をも見ることはなかった。
 おそらくドレスを着た少年達が料理、掃除、裁縫、手芸などを習ってるのを見ているのはひどく退屈なのだろうと思った。
 彼らがその場にいないことは僕にとっては良いことだった。なぜなら注意が散漫になるとお尻への罰が待っていたからだ。
 授業が終わると、グラッドストーンさんが近づいてくるのが見えた。そばにはスージー、ヒース、マーガレット、そして母がいた。
 彼らは皆、とても面白い冗談を聞いた後のような笑顔だった。

「あら、そこにいるのは私のSissyガールフレンドじゃない。」
 スージーが明るく言った。
「プリシラ、午前中の授業は楽しかった?」

「うん、まあね。」
 僕は言葉の端に皮肉を匂わすだけのつもりだったが、うまくいかなかった。

 スージーの顔が引き締まった。
「あなたのお母さんは本当に大変な思いをしながら、あなたの歪んだ空想を満たすためにお金を使っているのよ。もう少し感謝の気持ちをもったらどうなの!それにグラッドストーンさんが与えてくれるすばらしい授業で学ぶことにもっと集中しなくてはダメよ。そうでないなら、私は遠慮なく、この場であなたのスカートを下ろして、ガードルを履いたお尻をスパンキングするわよ。さあ、もう一度やり直し。今日の午前はどうだったの?」

 僕のお尻は夕べからのスパンキングでいまだに痛みが消えていなかった。それに、みんなの前でスパンキングされるなんて絶対に嫌だった。
 僕はクラスでした話し方の練習を思い出そうとした。
 僕は息を吸い込んだ。
「あのね、スージー! 僕、とても楽しかったんだよ! レディのような振る舞いを練習して、そのコツをつかんだんだ。それからバレエクラスも楽しかったなぁ。踊っているととても素敵な気持ちになるの。それにね、Sissy Missy Homemakers classでは、手芸も勉強したんだよ。すぐに柔らかくて可愛いセーターを自分で編めるようになれると思うよ。」

 スージーは母の方を向いて笑った。
「おそらくプリシラには、本当のことを話すときに、ちょっとした刺激が必要なのね。」

 家で母はある改装をした。
「ジャジャーン! これって素敵でしょ? 倉庫にあった古い物を持ってきたの。これは私があなたの年の頃に使っていた家具よ。気に入らない? 私、いつも嫌っていたわ。だって、あまりにも少女趣味なんですもの。でも、あなたにはピッタリだと思うのよ。」

 部屋は不快そのものだった。
 女性らしさに満たされていた。あらゆる物に飾りとリボンとレースがついていた。彫刻の人形が至る所に置かれた。胸の悪くなるような甘い香水が部屋中を満たしていた。
 部屋の片隅には、全身を写す姿見が置かれ、とても悲しそうな表情のSissy化された少年の姿を映し出していた。

 スージーは部屋を見るなり吹き出し、僕がなんて幸運なのかと言った。
 僕は明らかにあまり熱心ではなかった。
 マーガレットが笑いながら言った。
「どうやらこういうことに心から喜ぶようにさせるにはもっと大量のエストロゲンが必要みたいね。」

「マーガレット、嫌だ、止めてよ!」
 僕はあらん限りの思いで懇願した。だが間もなく、嬉しそうなスージーの手によって Femmy Formulaの座薬が押し込められた。
 元恋人が僕を冒涜するのに興味を示し、一方でみんながそれを見て笑っているという屈辱はとても耐えられるものではなかった。
 すべてが終わると、僕はヒースが手にカメラを持っているのに気づいた。

「心配いらないわ、プリシラ。 みんなに見せる写真をたくさん撮っただけだから。あなたの友だちにもあげられるわよ!」

 「お楽しみ」として、少女達は僕に「可愛い水着」を着るように命じ、日光浴をして過ごすように言った。今回は一人だけで。
「たくさん、日焼けローションを使うこと、それと偽物のオッパイと可愛い帽子も忘れてはダメよ。」とマーガレットは笑いながら言った。

 僕はまた女の子の服装をすることなどしたくはなかった。
 でも、最悪なのは、マーガレットとヒースとスージーが僕のベッドに腰掛けて、眺めていたことだ。僕にはそれに対して何をすることもできなかった。
 僕は静かにプールへと向かった。
 おそらくマーガレットと母は、2,3日僕が言われたことをすれば、このゲームに飽きてくれるだろう。
 僕は、「僕の双子」を突き出しながら、ラウンジチェアに横になり、目を閉じた。
 暖かな日差しの中で僕は居眠りをした。

「おお、可愛い子じゃないか?」

 僕は眠りから引き戻された。
 クソっ!
 タッド・クラビッツだ!
「ダッド! ここで何しているんだ?」
 自分を覆う物が他にはないので、僕は上着を羽織った。

「何て、シックなんだ!リボンもとても女らしいよ。」

「おかしいだろ、タッド。見てよ、これは君が考えているようなことじゃないんだ。説明すると・・・」

「おお、説明は要らないよ、かわい子ちゃん。 君は(*18)ベティ・ペイジのような格好で、プールの周りを歩き回りたいだけだろう?わかるよ。」

 僕はタッドの好色そうな凝視に身が竦んだ。
 タッド・クラビッツ以外にも僕の知っているゲイはいたが、ここまで人を不愉快にさせる奴はいなかった。
 僕は彼に我慢できなかった。彼がゲイだからではない。僕はそんなことは気にしない。彼が横柄な間抜けだから。

「俺は数週間前に、君がマーガレットや彼女の友だちと一緒の所を見たんだ。君はとても哀れに見えた。彼らにこき使われて、何度も叩かれていた。」

 確かにあの日、僕は誰かの声を聞いた気がしていた。
 僕は何かあるのかと思いながら辺りを見たのだった。
「マーガレットがいろいろな物を使って僕の身体をこんなに弱くしたんだ。彼女とビッチな友だちが強制的に僕を従わせたんだ。」

「本当に・・・」
 タッドは忍び笑いを漏らした。
「本当に弱くなったのか?」

 タッドの目が光った。僕は落ち着かない気分にそわそわし始めた。

「じゃ、もし俺がこうしたら、君は俺を止めることはできないってことだな?」
 彼は僕の腕を掴み、荒々しくねじ曲げた。

「オオォ・・ タッド、止めてよ! 痛いよ!」

「ほう、ずいぶん哀れな奴だな。さあ、俺に全部話してみろよ。隠し事はするなよ!」
 彼は僕の腕をさらにねじ曲げた。

 痛みに怯みながらも、僕は彼にすべてを話した。
 僕が躊躇いを示したり、反論をしようとすると、彼はより一層強くねじ曲げた。
 彼はマーガレットよりはるかに強かったし、はるかに無情だった。
 ついに僕は泣き出し、彼は笑いながら手を離した。

「泣くなよ、プリシラ。マーガレットには感謝しなくてはいけないな。彼女は驚くほどうまくやったよ。少年から水着美女への変身・・・このニュースが広がるのが待ちきれないよ。」と彼は意地悪く言った。
 彼は何やら物思いに耽ると、邪な笑いを浮かべた。
「来週(*19)カントリークラブのダンスパーティがあるのは知ってるだろう?実はデートの相手を捜していたんだ。」

「デート?」
 彼は冗談を言っているに違いない!

「そうだよ。でも、俺はデートの相手には魅力的で、陽気で・・・それに可愛い子を望んでいるんだ。」

「で、でも・・・僕はゲイじゃない、それは知ってるでしょ?」

「俺はそんなことは気にしない。」彼は肩をすくめた。
「俺にとって魅力的であれば、そんなことほとんど気にしない。大事なのは、俺が気に入るかどうかだ。それにこれは絶対に言っておくが、堅物で真面目なお坊ちゃんが魅惑的な女性として着飾っているのはとてもワクワクするよ。きっとマーガレットも賛成してくれるさ。」

 僕は彼に哀願したが、彼は冷静だった。
 最終的に僕の顔は、困惑で紅潮し、落胆の涙が流れ落ちていた。僕は「わかったよ。」と言った。

「賛成すると思ったよ。」

 僕が反応する前にタッドは僕を抱きしめ、キスをした。
 僕は逃げだそうとしたが、彼の力はあまりに強かった。
 彼は振り向いて、門を出て行ったが、彼の笑い声がずっと耳に届いていた。
 僕は思わず、母とマーガレット、スージー、ヒースの方を見たが、彼らは窓越しに僕を指さし笑った。

 その夏の思い出はいまだに僕を苦しめている。
 だが、話の方はもう一度、現実へ戻ることとなる。
 僕はマーガレットの大きな笑い声を耳にした。彼女は僕のベールを直していた。

「ワクワクしていない?プリシラ。あなたのSissyの夢が完全に実現するのよ。考えてみて! 今日からあなた、タッド・クラビッツ夫人よ! 教会の中を覗いてみたけど、タッドって本当に大きくてハンサムね。何も心配することはないわ。あなたの元友だち、先生、コーチも教会の通路をあなたが歩く姿を見に来ているわ。スージーに(*20) maid of honorになってもらうなんて何て素敵なんでしょう。彼女なら、あなたがタッドの関心を引き留めるためにしなければならないことを、きっと抜かりなくやってくれるわよ。あなた本当についているわ。タッドったら、あなたを家に置いて家事をやらせる前に、しばらくの間、彼の秘書として働せるらしいわ。やっぱりあなたの女らしいヒップと(*21)ダブルDの美乳がものを言ったのね。あなたのそのフワフワの派手な髪型も素敵だわ。きっとたくさんヘアスプレイが必要でしょうね。それから、あなたの新しいベビードールは全部、ハネムーン用の荷物に詰めてあるから心配しないでね。きっとドキドキがとまらないわよね!私は、お母さんがタッドに初夜の様子をフィルムに収めるくれるように頼んだのはやりすぎだと思うけど、でも彼とっても乗り気だったわよ。彼が言うには二本立てにするつもりらしいわ。さあ、今すぐ涙を拭いた方がいいわ
よ、お嬢さん。涙は『誓います!』と言う時までとっておかなくちゃ。」

 〔終わり〕

 
(*16) Ultra-Fem  作者オリジナルのエストロゲン製剤です。座薬という形態にするところがユニークです。
(*17)Boobsie Boyクリーム boobsieは普通boobsyとスペルします。boobはいわゆるオッパイという意。boobsyはオッパイが印象的な女性。まあ、巨乳とか美乳くらいの感じでしょうか。
(*18)ベティ・ペイジ 1950年代に活躍したモデル・女優さんです。詳しくはウィキペディアなどでどうぞ。
(*19)カントリークラブ 日本ではカントリークラブというとゴルフ場を連想しますが、アメリカではゴルフ場だけでなく総合スポーツクラブみたいなもので、数多くの会員がいます。ですから、そこでのダンスパーティは普通に行われるイベントです。  
(*20) maid of honor 花嫁付添人のことをbride maidと言いますが、その中で特に花嫁に最も親しく直接の世話をするのが、maid of honorです。多くは花嫁の親友が務めますが、それを元カノのスージーにやってもらう、ピーター(プリシラ)の気持ちを考えるとゾクゾクしちゃいます(笑)
(*21)ダブルD アメリカでのバストサイズの表記です。まあ、ほぼEカップとみていいと思います。 
 
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Priscilla's Perils(翻訳) その4

 翌日、朝食後、僕は母の車に乗せられた。僕はマーガレットとその友達のおしゃべりに取り囲まれることとなった。
 彼女は最終的に、町の『排他的な』場所にある、僕の知らないある店の前の駐車スペースに車を止めた。
 ピンクと白の日よけに書かれた定型文字を見たとき、僕の心は沈んだ。
『The Sissy Mister』
「あなた、ここで買い物を楽しんだんだろうから、ここの服を着るようにしないと・・いつでもね! それから行儀良くなさい・・さもないと・・・」
 
 僕は無駄と知りつつ抵抗を試みたが、少女達は僕の逃げようとする空しい努力を無視し、店へと急がせた。
 近づくと、ウィンドウには女の子らしいポーズを取り、ドレスを身に纏った少年のマネキンがあった。それはとても上品ぶっていて、女の子らしかった!
 僕は恐ろしさに思わず喘ぎ声を上げた。

「これは面白いことになりそうね。」ヒースが僕の耳許で囁いた。

 店内に入ると、僕は恐ろしさで気を失いそうになった。
 店は(*9)ガーリーガール憧れのピンク色の夢に溢れた世界だった。
 そこは夥しい数のピンクリボンで飾られ、女性らしい花柄プリントで強調されていた。
 その店に比べれば、ショッピングセンターにあるあの有名なランジェリーショップでさえ男性用ロッカールームに見えるほどだった!

 どちらかと言うと、商品は装飾と言うよりははるかに女性的だった。
 テレビやおそらく結婚式でもなければ、僕はそんな極端に女らしい服を見たことがなかった。
 少女達がバカらしいパーティドレスを身に纏った少年のマネキンを嬉しそうに調べている間に、男のような姿をした女性が近づいてきた。
 髪の毛は固くまとめられ、ピンストライプの男性用テーラードスーツを身に着けていた。 どこか変わった雰囲気だった。

「あら、ピーター! また会えて本当に嬉しいわ。」
 その女性はまるで旧友であるかのように女らしいハグとキスをした。
 僕は彼女とこれまで一度も会ったことはなかった。
「許してくれたらいいんだけど、あなたのお母さんに、あなたが水着を買った時のショッピングの様子を全部話してしまったのよ。でもあなたっていけない娘ね、だって私には、家の人が本当のあなたを知っているって言ったじゃないの。恥を知りなさい!」
 
 彼女は母と少女達に顔を向けた。
「いらっしゃい、皆さん。今日はとても楽しい一日になりそうね。
 その女性の高級なネームタグには『ドリス・グラッドストーン  オーナー』と書かれてあった。   
 
 母は微笑んだ。
「ドリス、ここに来るのをずっと楽しみにしていたの。私、この(*10)クローゼットのSissyが、女らしいSissyとしていつも着飾るのが大好きになる様子を、早くこの目で見たいわ。私の息子がオバカなgirly-boyであるという事実を誰の目にも明らかにしたいのよ。」

 グラッドストーンさんは僕に粗野な笑みを浮かべた。
「ご心配には及びません。デザイナーと科学者からなる私たちのチームが絶え間ない研究を重ね、あらゆる少年に適応するSissy化プログラムを開発していますので。プリッシーをどうなさりたいのか、おっしゃってくださいますか?」

「ええ、ドリス、プリシラはドレスアップゲームで、女性、特に私をバカにするのが好きみたいだから、彼には嘲笑の対象になることがどういう気分かを実際に知ってもらいたいわ。」
 母はこちらにやって来て、自分と視線が合うように僕の顎を持ち上げた。
「これからは私の息子の外見は最大限女らしいものにさせるつもりよ。」

 僕の口はカラカラになり、目は母の冷たい怒った目を見つめた。
 僕は目で彼女の心が静まるのを願ったが、彼女の唯一の返事は僕の頬を抓ることだった。 マーガレットと友達達は僕の落胆した表情を滑稽だと思ったようだ。
 グラッドストーンさんの顔に笑みが戻った。
「私にはあなたの息子のイメージが浮かんでいます。まずはすばらしい基礎衣類とランジェリーから始めましょう。これはあなたの息子に今後新たな社会的立場を思い知らせることになるでしょう。言うまでもないことですが、彼はこれからずっとドレスとスカートで過ごさなくてはなりません。我々の(*11)Fem Fairy コレクションは最も極端に女性的な製品です。プリッシーには最適です。彼の内なる少女を公にするには完璧な製品です。」
 少女達は声を上げて笑い、僕の顔は真っ赤になった。
 
 グラッドストーンさんの話は終わらなかった。
「プリシラはとても女性的なgirly-boyなので、外見をできるだけお上品でお淑やかにするべきです。だから彼には誇張された50年代ファッションをさせるつもりです。洗練されてはいるけど、とんでもなく女女したSissyにするつもりです。」彼女は笑った。

「ウエストニッパーで締め上げるの?」ヒースはクスクス笑った。

 ジェイニーが言葉を継いだ。
「それにたくさんのペチコート付きの広いサークルスカートよね?それから超タイトなペンシルスカートよね?」 

 サンドラが笑いながら、突然口を開いた。
「それからsissy boyの膨らみかけたオッパイがわかるような、可愛くてタイトなセーターでしょ?」

 少女達は声を上げた。彼らにとってこんな面白いことは初めてだった。

「すばらしいチョイスだわ。みんな、本当にすばらしい趣味をしてるわ!」
 
 僕は震え出した。本気であるはずがない。
「止めろよ! 笑うな! 僕はそんなクソみたいな服着るつもりはないからな。僕にそんなことできないぞ。こんなこと間違っている。僕は男なんだ!」

「もう済んだ?」美しい店員が尋ねた。僕は涙ぐみながら頷いた。
 僕には、グラッドストーンさんが彼女に「僕の態度を改めさせる」よう言った後も、彼女に止める気持ちはないだろうと思った。
 それは地獄の苦しみだった。僕は間もなく、苦痛と屈辱の入り交じった感情にすすり泣いていた。
 店員は、グラッドストーンさんと、苦しみをもたらす者たちの待つ所へ僕を連れて行った。

「さあ、ここよ、プリシラ。急がないと。マッジがサロンで今や遅しと待っているわ。」
 
 グラッドストーンさんは僕の腕を荒々しく掴むと、ドレスコーナーを通り、店内の違った場所へと僕を向かわせた。
 間もなく、僕たちは昔風で、とても女性的な美容院らしき所の受付の前に立っていた。
 その場所はヘアースプレーなどのウンザリするほど甘い香りに満たされていた。
 受付越しに見ると、ピンクのスモックを着た美容師達が客に対応していた。
 もっと近くで見てみると、少女らしいピンクのケープを身に着け、カット、カーラー、スタイリング、スプレーなどをされている客達は僕みたいな・・・男の子だということがわかった。
 姉妹や母親や叔母たちが、令嬢のような髪型にされた少年をからかいながら、喜んで見ていた。
 もし僕が脅されていなかったら、きっと彼らを気の毒だと思っただろう。
 僕は目にした光景に動転していたので、サロンの店長であるマッジが来たことに気づかなかった。
 彼女は年配で、厳しい顔つきをしていた。
 薄い唇には作り笑顔が、そしてその目は僕を上から下まで見つめていた。

「いらっしゃい、皆さん。おそらく・・・あなたがパーカー夫人ですね。」

「ええ、こんにちは、マッジ。会えて嬉しいわ。このサロン、とても気に入ったわ。」

 マッジはニコリとした。「で、このかわい娘ちゃんはどなた?」彼女はまるで赤ん坊にするように僕に問いかけた。

「私の息子の、プリッシーよ。こちらは妹のマーガレット、私、彼が完璧に女らしく変身した姿を見てみたいの。きれいなメイク、素敵な髪型、魅力的なネイル・・・その他何でも。 彼はこれまでSissyとしての空想を家族にも友達にもひた隠しにしてきた。だから、それらを使って、会う人みんなに確信させてあげたいのよ。」

 マッジは無慈悲に笑った。
「ねえ、プリッシー、聞こえた?とても楽しい時を過ごせそうね。」
 
 彼女はSissyヘアースタイルの大きなスタイルブックを持って来た。
 それはひどいものだった!
 すべてのスタイルが驚くほど仰々しかった。
 髪型が写真のようになると思うと、僕の顔は恥ずかしさで真っ赤になった。
 膝から力が抜けた。
 どうしたら友達に会うことができるだろう? どうしたらみんなの前に出られのだろう?ひどい屈辱感だった。 
 
 マッジは意地悪そうな声で言った。
「私には完璧なスタイルのイメージがあります。それは、仰々しくも美しい・・・とても貴重な髪型です。でも、そのヘアスタイルは悪夢とも言えます。と言うのも、カーラー、スタイリングジェル、大量のヘアスプレイが必要だからです。洗髪とセットのために一週間毎の長期予約が必要になります。もちろん、そんな髪型、本当の女の子はしません。少なくとも50年代以降はね。」
 それは本当にSissy用のスタイルだった。彼女は、派手なジェスチャーで、ゾッとするような写真を指さした。それは、後ろを女の子らしくフワフワに盛り上げ、たっぷりとした前髪で額を覆った少年の写真だった。前髪の上にはバカげたリボンまで付いていた。
 
 僕は吐き出しそうな写真を見て喘いだ。

「言うまでもなく、この髪型はプラチナブロンドにすれば、ずっと女の子らしくなります。」とマッジは笑った。

 母と少女達はマッジのお勧めが気に入り、間もなく、僕は他の男の子と同じようにサロンの椅子に座らせられた。バカみたいなレースのケープが僕の首にかけられた。
 不安げにサロンを見た時、僕は吐きそうになった。他の少年達が完全なオカマに見えた。
 僕は自分の運命を見ている気がした。
 
 マッジは、僕のすすり泣きなど無視して、手荒に仕事に取りかかると、髪の毛をあれこれと引っ張り始めた。
 彼女はひどい匂いのペーストを髪に塗りつけた。
 それを洗い流した後、マッジは楽しそうにシャンプーをし、髪を整えた。そして大量のセット用ジェルと小さなトゲトゲのあるカーラーを使って、カールし始めた。
 くそっ!
 そんなにきつく巻かなくてもいいじゃないか?僕は髪の毛が抜け落ちるのではないかと思った。
 
 マーガレットが仕事中のマッジに語りかけた。
「まあ、本当にたくさんのことをしなくてはいけないのね。彼、毎日こんなことしなくてはいけないの?」

「ええ、その通りよ。就寝前に必ずね。だから、カールを崩さないための、きれいなシフォンのキャップを選んでおいてね。それから朝になると、彼はカーラーを外して、髪をといて、ピンで留めて、きちんとスプレイをしなくてはいけないの。でも、その姿はきっととっても女の子らしいわよ。彼もきっと大好きになるはずよ。」

「聞こえた?プリシラ。あなた、これからカーラー女王になれるわ!」母が笑った。
「毎晩、髪を巻いていれば、自分がオカマちゃんだということ、忘れなくて済むわ。」
 
 僕の髪が小さなピンクカーラーの行列で覆われたと、マッジが僕をヘアドライヤーの下に連れて行き、大きな弾丸の形をしたフードを引き下げ、僕の手に(*12) Sissy Teen magazine を押しつけた。
 ヘアドライヤーのうなり音のせいで、僕の耳には何も聞こえなくなったが、母と少女達が笑いながら、僕を指さしているのが見えた。
 言うまでもなく、少女達の手にはカメラが握られていた。 
 僕は目を閉じ、屈辱から逃れようとした。
 僕には、自分がどのような姿になるのかわかっていた。きっと髪を素敵に美しくセットされた完璧なsissy boy だ。
 僕は、頭が燃え出すのではないかと思うまで、ドライヤーの下に座っていた。
 
 最後に、少女達の承認を意味する笑いがあり、マッジは僕を椅子に戻して、バカげたカーラーを外しだした。
 僕はバカらしいカーラーを外すことができて嬉しかったが、彼らによってもたらされた髪型は恐ろしいものだった。
 僕の頭は、きっちりとしたプラチナブロンドのカールで覆い尽くされていた。

「ほら、私のやることを見ていなさい。だって、これからは自分でしなくてはいけないんだから。」
 
 なんてことだ。
 マッジは櫛を取って、髪の毛をとかし始めたが、すぐにそれを上にとかし上げた!
 彼女の動きは素早かった。それによって僕の頭はしっかりと引っ張り上げられた。
 それから彼女はヘアピンで一部を止め、両サイドを持ち上げた。
 彼女の動きが終わったとき、バカげた前髪を除いて、僕の髪は、頭上がお祭りの綿菓子のようにフワフワにされていた!
 くそっ!
 それから彼女は、ひどい匂いのするヘアスプレーを全体に吹き付けた。
 スプレーの霧が消え、僕は鏡を見た。
 何てことだ!
 僕の姿はまるで誰かの漫画に出てくるSissyそのものだった!
 ひどいなんてもんじゃない!

 マーガレットと少女達は楽しさに、飛びはね、手を叩いた。
「プリシラ、ご覧なさい!Sissyらしいフワフワヘア、とっても素敵じゃない?でも、何かちょっと足りないと思わない?」
 マーガレットは笑いながら、髪の前の方、つまりちょうど前髪の上に、大きなピンクのリボンをピン留めした。
 もし僕の今の髪型が「悪く」見えるなら、その時のそれは「とてつもなく悪い」と見えただろう。僕は両手で顔を覆い、恥ずかしさですすり泣いた。

 母がマッジにカーラー、超強力セットジェル、大量のヘアスプレー、「数え切れないほどの」可愛いヘアアクセサリーとリボンが欲しいと言うのを聞いたとき、僕のすすり泣きは一層激しくなった。

 マッジはニッコリしながら、髪のリボンを弄んだ。
「プリシラの予約は一週間おきにさせていただきます。」
 母の怪訝そうな表情を見て、彼女は続けた。
「プリシラのシャンプーやセットをひと月に一回、お母様の行ってるサロンでやってもらえば、面白いことになると思いますわ。そうすれば、あなたのお友達やプリッシーの友達のお母さん達も、彼のオカマちゃんぶりを直に見ることができますから。」
 
 母は笑った。
「まあ、なんていい考えなの!私の担当美容師のベスに、彼の髪もやってもらうわ。でも、残りの週末はどうしようかしら?」

「古いタイプのサロン、つまり男性客が寄りつかないようなサロンを見つければ、きっと面白いことになりますよ。そこではきっとプリシラは本当の嘲笑と屈辱を味わうことになるでしょう!」

「マッジ! あなたは天才だわ! 私そういうサロン知ってるわ。Bertha's Beauty Barnよ。
ピンクカラー風のお店で、本当に昔ながらのビューティパーラーなのよ。sissy boyがカーラーで髪をセットされるのを見て、彼女たちがどんな反応するか想像してみて。面白いことになりそうじゃない?ね、プリシラ? あなた、他の女の子と一緒に髪をセットしてもらうのよ。」
 
 僕は母が話している店を知っていた。そこは時を経て、すっかり古ぼけて見える店だった。その場所に足を踏み入れることを思うと、僕は背筋に悪寒が走った。
 
 僕が恐怖から回復するのを待たずに、マッジは荒々しく高級デパートにあるようなメイクアップカウンターに引っ張って行った。
 美しい美容師の女の子が、僕の新しいヘアスタイルを見て笑った。
「すてきよ、そのヘアスタイル。私たち、あなたにはたくさんの違ったメイクアップのやり方ができるのよ。ほとんどのSissyは、ほとんど気づかれないうっすらメイク、例えば、透明なリップグロスとか微かなファンデーションとかが好きみたい。綺麗な感じを味わうにはそれでも十分だけど、見つけようとしなれば、ほとんど誰の目にもとまらないわ。ワンステップ上げると、もっと可愛くて女の子らしい仕上がりになるわ。例えば、ファンデーション、お粉、口紅、マスカラ、それとすこしだけアイライナーでね。これは、自分の女らしさをもう少し現したいと思っている男の子向きね。」

「オプション3は究極の女性らしさね。それは極端な女性らしさ、つまり、新たな極限に達した女の子らしさのメイクね。このメイクにはナチュラルメイクの欠片もないの。誰の目からも、あなたが女らしさと美しさを最大限強調するためにメイクをしているのがわかるものよ。だから維持し続けるのも大変なの。一日中、絶えずメイクをチェックして化粧直しをしなければならないわ。コンパクトが新しいお友達になるわよ。」

「彼にはオプション3をお願いするわ。何かワクワクしない?プリッシー。あなた、女の子の真似をするのが大好きなんだもの。だったら、たくさんたくさん、お化粧しなくてはならないわ。私、あなたがお友達の前でお化粧直しをする姿を早く見てみたいわ。」
 
 メアリーが彼女の笑いに加わった。
「アイブロウから始めましょう。まず、形を整えなくちゃ。」

「形を整える? それってどういう意味? お化粧をするのだとばかり思ってたんだけど。」

「だから、眉を間引きしないとね。『超女性的』メイクには、眉は細くてアーチ型でなくちゃ。」
 メアリーは僕の眉を抜き始めた。僕は痛みに叫び声を上げた。
 彼女の仕事が終わった時、僕は恐怖を感じた。僕は完全なオカマのように見えた!
 例え、何のメイクもしなくても、僕はまさにSissyのように見えた。
 僕は一日かそこらで元に戻ることを祈った。
 さらに事態を悪くしたのは、マーガレットとヒースがお腹を抱えて笑い転げたことだった。
 
 次にメアリーは瓶を取り出し、濃い液体をスポンジで僕の顔に塗り始めた。
 彼女はそれがファンデーションだと言った。
 僕の顔がファンデーションで覆われると、まるで1トンの重さになったように感じた。
 僕が何かを言う前に、メアリーは、甘い香りのするお粉を、大きなパウダー用スポンジで、僕の顔に叩き始めた。それは少しだけ、くすぐったかった。
 
 僕は目を開け、驚いた。僕の顔はまるで磁器か何かでできているみたいだった。それほど青白かったのだ。
 でも僕には不満をいうことはできなかった、なぜならメアリーが僕の唇の輪郭を描き口紅を塗っていたからだ。

「プリシラ、この色、気に入ったんじゃない? 洗練された赤の唇っていかにもキスしてって言ってるみたいに見えるわ。それに、この口紅、特別な薬品が入っているのよ。これを塗ると唇がもっとずっとふっくらとして、とても可愛い(*13)poutになるのよ。」   
 次に彼女は目に取りかかった。
 
 母は笑った。「それって、つけまつげなの?」

「ええ、もちろんですわ。つけまつげはSissyの親友ですもの。ほら、驚くほどすてきだわ。」

「あら、まあ!」ジェイニーが叫んだ。
 
 メアリーが話を続けた。
「女の子らしい眉にダーク系のペンシルを入れてポップな感じにしましょうね! このリキッドアイライナーは少し練習がいるわ、プリシラ。気を付けて見ていてね。瞼には綺麗な色を入れるのよ。もちろん、マスカラもたっぷりね。さあ、今度はチークよ。この頬紅素敵じゃない?これを塗るとあなた達男の子を恥ずかしそうな表情にすることができるのよ。まあ要らないだろうけどね。 最後は仕上げの『定着液』よ。」

 彼女は甘い香りのするものを顔中に振るかけた。
「これを使うと、メイクアップが完璧なウォータープルーフになるの。事実、これを落とすには特別製のコールドクリームを使わなければならないわ。」

 彼女がメイクを終えて離れると、僕はもう一度鏡に映る自分の姿を目にした。
 それを見ながら、僕は開いた口がふさがらなかった。まるでSissyドールのようだった。
 僕の顔は青白く、ほとんど純白に近かった。
 唇は赤く大きな(*14)cupid's bowだった。
 頬紅は僕の顔に恥じらいの表情をもたらした。そんなもの完全に不要だったのだが。
 僕は、はっきりした白のスモックを着てデパートで化粧品を販売している極端に厚化粧の女性を思い出していた。僕は彼らの誰よりも厚化粧だった。
 僕は泣くまいと努めた。短い喘ぎを繰り返した。気持ちを落ち着けなくてはならなかった。僕はとにかく、バスケットボールのことを考えようとした。
 
 母が僕の後ろにやって来た、そして顔を僕のすぐ隣に寄せると、鏡を見つめた。
「どうしたの?プリシラ。あなたが綺麗な新しいお化粧姿を見せたとき、お友達が何て言うか心配しているの? そのSissyのヘアースタイルがあれば完璧にうまくいくわ。考えてみて。私たちはあなたのウンザリするような空想を実現してあげようとしているのよ。メアリー、今プリシラがつけている物を全部いただくわ。それにきっとハンドバックに入れる、あなたのサイン入り化粧ポーチも必要になるわ。」
 
 それはあんまりだった。僕は人にこんな姿を見せることなどできない。
 僕はみんなからからかわれ、侮辱されるだろう。物笑いの種になるだろう。
「お母さん、お願いだよ。」僕はすすり泣いた。「こんな姿で人前になんか出られないよ。」
 母は僕に同情的な表情を見せ、ガッチリした弾力のある髪のカールを撫でた。

「確かにそうね。」彼女はため息をついた。
「私ったら何を考えていたのかしら。気がおかしくなったと思ったでしょ!考えてみて!そんなバカげたヘアスタイルとおかしなメイクアップで人前に出ることを。そんなこと夢にも思わないわ。」

「ありがとう、うれしいよ。」僕は叫んだ。「僕、本当に怖かったんだ、それに・・・」

「ピアスもネイルもしないまま、あなたを人前に出すなんて夢にも思わないわ。」彼女は笑顔を作った。
 
 メアリーは笑いながら僕をマニキュアコーナーに連れて行くと、美容師に紹介した。 間もなく僕は、口紅と合わせ、光沢のある赤に彩られた半インチのネイルエクステンションを持つこととなった。それに続き、ペディキュアもされた。
 それが終わると美容師は、マーガレットと友達の歓声と嘲笑に応えて、僕に楽しそうにピアスを施した。
 
 店員が楽しげな表情で、大きな更衣室へと僕を導いた。
 彼女は僕に、服を脱ぎ、女らしい黄色のパンティを履くように命じた。それは僕が今まで見た中で一番フリフリでレイシー(lacy)なパンティだった。
 ウエストの中央にはSissyなリボンまで付いていた。
 僕は従うつもりだったが、できなかった。女の子のパンティなんて!
 それはあまりに屈辱的だった。
 僕が躊躇っていると、店員は僕のベルトを外し、あっという間にズボンと下着を膝まで下ろした。なんと彼女は僕を叩き始めた。
 僕がバカげたパンティを身に着けると、彼女はハイヒールのミュールを手渡した。
 彼女はひだ飾りの付いたピンクのカーテンを指さし、カーテンの向こうまで歩いていくように命じた。
 さらなるお仕置きを畏れた僕は、躊躇いながらも息を殺して、鏡に囲まれた試着用の高台へと歩いていった。
 
 台の前でマーガレットと友達が心地よさそうに椅子に腰掛けているのを見て、僕は恐ろしくなった。
 それはまるでプライベートのSissyファッションショーを演じるかのようだった。 少女達が指さし笑うのを見て、僕は激しい屈辱を感じた。
 
 マーガレットは僕の女らしい姿を見て、嬉しそうに笑った。
 友達たちも喜び合いった。そしてヒースはすぐに段を登り、僕のいる台に上がった。
「プリシラ、そのパンティ、あなたにとっても似合うわよ。」

「プリシラ、ヒースに何て言うんだったかしら?」
 グラッドストーンさんがからかうように言った。

「お願いだよ! もうこんなひどいところから出て、家に帰りたいよ!」
 
 僕には信じられないことだったが、ヒースは僕を前屈みにさせ、パンティを履いたお尻を何回も叩いた。

「お願い、止めて!」僕のお尻は火のように熱くなった。

「ねえ、プリシラ、良いSissyというのは、話しかけられた時にだけ口をきくものよ。そうじゃない?」グラッドストーンさんが優しげな口調で尋ねた。

「はい、その通りです。」
 僕のお尻はずっと痛みに疼いていた。
 僕は、狂った女にあえて反発することはできなかった。

「ほら、ずっと良くなったわ。Sissyなら・・・特にあなたみたいな本格的なSissyなら、可愛くて新しいパンティを履いた時はいつだって興奮するものでしょ。女の子らしくクルッと回って見せて、男物の下着を色とりどりの素敵な女性用パンティに入れ替えてもらうように、マーガレットとお母様にお願いしたらどう?淫らな気分になった時のために黒も揃えておかないとね!」
 
 僕は吐くかと思ったが、涙を流しながらもすぐにそれに従った。
 
 マーガレットは喜んで手を叩いた。
「それはとても楽しみだわ!もちろんそうしてあげるわよ、プリシラ。私だって、可愛くて女の子みたいなお兄さんの楽しみを奪うつもりはないわ。だってあなたパンティのために生まれてきたようなものだもの。実際、これからはずっと、男物の下着ではなく、女物のパンティ姿だけを目にするでしょう!」
 
 僕がモデルとなり、見慣れない女の子のパンティを何枚も「選んだ」後、母はグラッドストーンさんの方を向いた。
「グラッドストーンさん、忘れないで。息子には基礎衣類を身に着けさせたいの。彼を50年代スタイルにしたいのよ。私、彼がもっと女らしくなりたいと心から願っているのを知っているわ。」彼女は忍び笑いをした。

「もちろんですわ。おそらく私どもがプリシラに用意しているものをご覧になれば、一層ご満足頂けるでしょう。エミー、お願いがあるんだけど、このオカマちゃんに『Fifties Femme』商品を着せてあげて。」

 エイミーは嬉しそうに笑うと、僕を後ろの試着コーナーへと導いた。
 もしもパンティを「悪い」物と考えるとしたら、この後の物は「さらに悪い」物になることだろう。
 店員によって着せられた厚手のガードルには、足の部分とウエストの中央にレースの刺繍とサテンのリボンが意図的にあしらわれていた。
 僕はまるでバカみたいにお尻を振りながら、必死になって何とかそれを身に着けた。
 ブラも同じようにひどい物だった。それは厚いサテン地でできていて、ハイウエストのガードルとのペア製品だった。それは僕が今まで目にしてきたどんなブラとも違っていた。
前に鋭くとがった円錐形のブラカップだった。唯一の救いは、その週の初めに僕が着させられた水着よりもブラカップが小さかったことだ。まだ終わったわけではないと言うかのように、店員は僕のウエスト周りに何かを巻いた。

「こ、これは、一体何なの?」

「これはあなたのとても大切なコルセットよ。これを使ってあなたのウエストを蜂のような縊れにするまで絞るのよ。さあ、じっとしていて!」
 
 彼女は後ろのレースを操作したが、僕には何をしているのか見えなかった。
 最終的に彼女は靴を履く時のように、レースを引っ張った。
 幸いなことに彼女は、それがきつくなりすぎる前に止めた。
 
 すぐに、僕はマーガレットや友達に向かってポーズを取ることとなった。僕はそのまま気を失って死にたいくらいだった。僕はまるで変態Sissyのようだった!
 
 今回舞台に上がったのはジェイニーだった。

「みんな、見て!プリシラの男の子の部分がなくなっているわ。彼、ここもすっかり女の子みたいに見えるわ。」
 彼女は、普通は僕の男性自身があるはずのガードルの前部分を撫でた。

「当たり前のことよ。」グラッドストーンさんが口を開いた。
「マーガレットのお兄さんのようなSissy Boyは、男性自身を持っていないふりをするのが大好きなのよ。元々彼の小さなものは、何をしてもほとんど目立つことはなかった聞いているけど。」
 
 僕は彼女の言葉を無視しようとしたが、股間とウエストの不快感が増し始めた。
「何か・・・何かおかしいんだ。この下着、どんどんきつくなってくるんだよ!」僕は叫んだ。

「特にウエストの部分が少しきつくなった気がするでしょ。それは私たち開発した特殊素材でできているの。ガードルとコルセットは最初身に着けたとき、ほとんど不快感はなかったでしょう。でも体温で下着が暖められると、一層締め付けが進んで、あなたがいつも夢みていた、紛れもなく女らしいスタイルへと変えてくれるの。」

「止めさせて! 身体が引き裂かれそうだよ!」僕は締め付けに喘ぎ声を出した。

「止めさせて。身体が引き裂かれそうだよ。」マーガレットは歌うような声で僕の言葉を真似た。「あなたの言葉、もうSissyに聞こえるわよ。」
 それから彼女は指さした。
「みんな、彼のウエストを見て!はっきり細くなっているわ!」
 
 みんなが指さし、笑った時、グラッドストーンさんが声を上げた。
「もう少し待ってね。きっとダイエットと、コルセットを使い続けることで、彼のウエストは間もなく永久的な女性らしい形になるはずよ。」
 
 苦痛は耐え難いものだった。 邪悪なコルセットのせいで、呼吸がほとんどできなかった。またガードルのせいで男性自身は文字通りつぶれてしまいそうだった。
 恐ろしいことに、Sissy地獄の買い物ツアーはその後数時間も続いた。
 母や少女達が何か一段落するたびに、新たな屈辱と恥辱がリストに加えられていった。 とうとう母は、グラッドストーンさんと最終的な商談をするので、店員さんに服を着せてもらいながら待っていなさいと告げた。僕は悪夢のようなコルセットをすぐにも脱ぎ捨てたかった!

「ねえ! 僕のジーンズはどこ?それからスニーカーや他のものも? ここに置いておいたのに!」

「バカなこと言わないの。あんな男の子の服が、あなたみたいな女の子に相応しいと思っているの?」

「お願いだよ!」僕は嘆願した。

「でもね、このピンクのタフタ地のドレスを着たら、とっても可愛いくなると思うわ。それにペチコートが膝丈のスカートの裾を可愛らしく広げてくれるのよ。それからつま先のとがったハイヒールパンプスを履けば、もっとシックになるわ。」
 
 僕はコルセットをしたまま、崩れ落ちた。不機嫌な顔で姿見の方を向いた。僕の姿は完璧な(*15)pansyに見えた。究極のSissyドレスアップゲームを楽しんでいる少年のようだった。
 僕の姿は紛れもなく、凝った女らしいドレスを身に纏った少年のそれだった。  
 しかし店員はそれだけだは終わらせてくれなかった。
 彼女は近づくと、いくつかの屈辱的なアクセサリーを加えた。

「あなたみたいな正式なレディは、非公式の場でも手袋なしではいけないわ。」
 彼女は笑って、僕の両手に手首までの白い手袋をはめた。
「今度は、可愛いハンドバックよ。」
 彼女は僕に、靴に合わせた大きなピンクのハンドバックを渡した。
「もちろん、素敵なアンゴラセーターがそのか弱い肩を暖かく守ってくれるわ。」
 彼女は優美な白いセーターを羽織らせ、袖は通さないまま、一番上のボタンを閉めた。
「最後は、仕上げの真珠ね。 あら! 完璧な社交界のSissyお嬢様がママと妹とお買い物の楽しんでいるみたいね。」
 
 鏡で自分の姿を見たとき、僕の顔は恥辱で紅潮していた。
 僕はベッドに座った。部屋は文字通り、大きなショッピングバック、箱、包みで溢れかえっていた。そのすべてにThe Sissy Mister:という軽蔑すべきロゴマーク、つまり洗練されたドレスを身に着けた少年が嬉しそうに回っているシルエットが付いていた。
 僕は人生でこんなにたくさんの物を見たことがなかった。
 母は実質的に店全体を買い占めたようなものだった。
 
 夕食時には、母とマーガレットがその日の冒険を喜んで話すのを聞いていなければならなかった。
「ねえ、おかあさん。私、今までにこんな楽しかったことなかったわ!女の子たちも笑いすぎて、中には実際にチビッちゃった子もいたのよ。本当に面白かったわ。プリッシーも夢見心地なんじゃない?」
 
 悔しいことに、母まで冷たく言った。
「ええ、そうに違いないわ。あなたのお兄さんのドレス姿があんなにも美しいなんて誰が想像できたかしら? 彼って本当に可愛いわ! これからは少なくとも私たちの物をこっそり身に着ける必要はないわね。今朝、自分のパンティとブラを付けようとした時、思わずプリシラがもうすでに着たんじゃないかって思ったもの。」彼女は震えた。

「授業の予約もしたの?」

 僕はハッとした。授業のことなんて全く聞いていなかった。
 
 母は目に邪悪な光りを輝かせながら、僕を見た。
「ええ、全部予約済みよ! 彼はForever Femme教室の全部に登録されているわ。午前中はSissy Deportment and Grooming.(Sissyの振る舞いと身だしなみ教室)から始まるの。続いて、Girl's Ballet for Boys(少年のための女の子のバレエ教室)よ。もう私待ちきれないわ。プリシラはチュチュやタイツやその他全部を身に着けることになるのよ。きっと可愛い少年バレリーナになるわ。」
 彼女は笑いながら、僕の頬を抓った。
「その上、仕上げとしてSissy Missy Homemaker(Sissyお嬢様の主婦教室)を受けさせるの。そこでプリシラは、お上品な主婦になる際に知っておかなくてはいけないことを全部身に着けるの。おそらくプリッシーがいれば、私たちは二度と料理も掃除もしなくて済むわ。結局、pansyの息子を持つことはそんなに悪いことではないってことよ!」
母は呟いた。
 
〔注〕 
(*9)ガーリーガール girly-girl つまり女の子らしい女の子、典型的な女の子です。いわゆるフリフリのドレスが好きで、ボーイッシュな要素がまったくない女の子のこと。(*10)クローゼットのSissy つまり、closet (衣装室)の中のsissy ということで、まだ外に出たことのない、カミングアウト前のsissyということ。
(*11)Fem Fairy 作者オリジナルのブランド名ですが、Femは「feminine(女らしい)」の略ででしょう。 Fairyはもともとは「妖精」の意味ですが、sissy , fag(got),などと並んで、その手の男の子の呼び名でもあります。
(*12) Sissy Teen magazine  これも作者オリジナルの雑誌名です。本当にあったらぜひ読んでみたい(笑)
(*13)pout もともとは「ふくれ面」を意味しますが、女性の唇に形容するときはすこし下唇が出たセクシーでふっくらとした唇を言います。いわゆるkissable(キスしたくなるような)な唇で、さらに進めばDSL(dick sucking lips フェラを連想させるような唇)までいくのでしょう。
(*14)cupid's bow 女性の美しい眉を現す言葉です。キューピッドの持つ弓のような柔らかい曲線です。ただ、今となっては少し古い印象かも知れません。
(*15)pansy これもsissy,faggot,fairyなどと並んで、その手の男の子を称する呼び名です。


   〔続く〕

Priscilla's Perils (翻訳) その3

「起きなさい、朝よ。プリシラ!」
 マーガレットはまるで自分の部屋であるかのように、僕の部屋に踊りながら入ってきた。
 僕は、無意識の内に、小声で彼女に呪いの言葉をかけていた。
 
 今回は、彼女は母を呼ぶ手間はかけなかった。
「聞こえたわよ、お嬢さん。そこを動かないで!」と彼女は命じた。
 彼女は出て行くと、乗馬鞭を持って戻ってきた。
 
 僕のお尻は前夜の痛みを思い出し、ひきつった。
 僕はパニックになった。
「わかった、わかったよ! 僕が悪かった。ちょっとからかっただけだよ、マーガレット。」
 僕は彼女を鎮めようと、緊張した声で言った。
「何でも真面目に受け取らないでよ。」

「あまり褒められたことではないわね、プリシラ。さあ、前屈みになるのよ!」
 僕はプライドを脇に追いやり、マーガレットに懇願したが、無駄だった。
 彼女は、僕に足首を掴ませると、まるで子供のように泣き出すまで痛むお尻を何発も鞭打った。
 彼女は勝利の笑顔を浮かべながら、甘ったるい声で指示を出し、涙を拭う僕を残し部屋を出た。
 
 気を取り戻した後で、僕は服を着た。ジーンズとTシャツの上から、恥ずかしいエプロンを身に着けた。
 マーガレットが命じたような完璧な「女の子らしいリボンの結び目」を作るために、僕は何度もやり直した。
 次はバカらしい帽子だった。僕はそれをマーガレットが楽しそうに持ってきたヘアピンで髪に留めた。
 僕は、自分の女らしい姿を鏡で見て、身がすくんだ。
 母とマーガレットの待つキッチンへとゆっくり進んでいった。一つ息を飲み込んでから、上品なお辞儀をした。
「おはようございます、お母様。おはようございます、マーガレット様。」

 母はクスクス笑った。「ええ、おはよう、プリシラ。何て可愛いお辞儀かしら。もう2,3週間も練習すれば、きっと完璧になるわよ。あなたに『お母様』と呼ばれるの、気に入ったわ。とってもきちんとしていて、女の子らしいわ。たぶん、『マーガレット様』と呼ばせるのは妹のアイディアでしょうけど、こういう状況では、その方がいいわ。」
 
 その時、マーガレットは僕の朝食を待っていた。
 ドロドロの赤ちゃん用シリアルの一種で、もちろん色はピンクだった。僕が眉間に皺を寄せるのを見て、彼女と母は笑った。
 食べ物の見た目はひどかった。
 僕はスプーンで食べさせられる侮辱から逃れるために、無理矢理それを口にした。とんでもない不味さだった。
 さらに悪いことには、食べ終えても僕は空腹のままだった。母とマーガレットは僕のお腹が鳴るのを聞いて笑った。

「かわいそうな、Sissyね。」母は嘲笑した。
 彼女は悪戯っぽく微笑んだ。「何か他のもの食べる?」

 僕が心から頷くと、彼女はキッチンに行って、ピンク色の箱を持って戻ってきた。
「このSub-Missy Snack Bars(*8)はね、私がSissy Mister.で買ったものよ。実際ノーカロリーだけど、とても美味しいそうよ。厳しいダイエット中の男の子たちの健康維持に必要なビタミンとミネラルが入っているのよ。でもそれだけじゃないわ。」彼女は微笑んだ。
「中に男の子を・・・より従順にする特別な添加物が含まれているの。でも、私が本当に気に入っているのは、屈辱感と恥辱感を高める添加物も含まれているってことなの。もしも夕べみたいにフリフリのエプロン姿でお母さんや妹にお辞儀をするのを屈辱的だと思うんだったら、このバーを食べるまで待ちなさい。おそらく、自慢の息子が実は密かなSissy Boyだったと世間に知れてしまった時に、法廷で私が感じた屈辱感をあなたも理解できるだろうから。」
 
 母はゆっくりと箱を開け、派手な包み紙のバーを取り出した。
 包装紙には、いかめしく腰に手をやっている少女に向かってお辞儀をしている少年の写真が写っていた。「さあ、食べてみて」彼女はニッコリ笑った。
 
 ふざけてるのだろうか?
 僕は絶対に従順にもなりたくないし、屈辱感を味わいたくもなかった。
 くそっ!
 僕は、彼女に丁寧に、だがきっぱりと言った。「いえ、結構です。」

 彼女はバーを僕の鼻の下に押しつけると静かに言った。
「戸惑っているみたいね。よく話を聞くのよ。男の子も女の子もみんな自分の意思を持っているし、選択することもできる。でも、あなたのようなSissy Boyは、ママや妹が命じたことをするだけなの、わかったわね?」彼女は怒って言った。

「はい、わかりました。」僕は囁いた。

「そしてママが何かをするように言ったら、それを熱心に、そして疑問を持たずにやること。それで当たり前のことだけど、ママを不満にさせたら、恐ろしい結果が待っているわよ。さあ、バーを2本食べなさい。」
 彼女はスナックバーをもう一本取り出した。
 
 母は拒絶できないよう、僕を睨み付けた。マーガレットは声を上げて笑った。

 僕は薬品漬けのお菓子をゆっくりと口にした。
 それはうんざりするほど甘かった。
 僕はそれがどんな物なのか考えないようにした。
 母は私に、よいSissyらしく「きちんと」自ら進んで求めるようにさせた。
 母とマーガレットは、僕がそのとんでもない物を無理矢理飲み込むのを、満面の笑みで眺めていた。

 僕は午前の残りで、家事を学んだ。
 僕はやるべき家事がいくつあるのか知らなかった!
 掃除機、はたき、洗濯、アイロンがけ。
 まるで僕がシンデレラで、母が意地悪な継母のようだった。
 僕が仕事をしていても、母とマーガレットは何もしなかった。

「昼食」後は、母の指示でマーガレットの部屋まで掃除させられたんだ。クソッ!

 言うまでもないことだが、マーガレットは僕の仕事ぶりを喜んで監督していた。

「掃除機も忘れないで、それに、私のバスルームの掃除もね。中に入って、床はしっかりと擦るのよ、プリシラ。ちゃんと四つんばいになってね。」
 僕が働いている間、マーガレットは笑いながら、何枚も何枚も写真を撮った。
 彼女は携帯電話で何枚か写真を撮ると、それを友達に送った。
 仕事が終わったとき、彼女の部屋は今までにないほどきれいに見えた。

「上出来よ、Sissy!ご褒美をあげないとね。」彼女はからかうように言った。
 
 恐ろしいことに、マーガレットまで、Sub-Missy Snack Bars.の箱をいくつか持っていた。

「マーガレット、もういらないよ! お願いだ。お母さんにもう2本も食べさせられたんだよ。」

「だから何?」彼女は不満げに言った。「お母さんはあなたに甘すぎるわ。だからもっと先を急ごうと思うんだけど?それともまた鞭の力を借りた方がいいかしら?」

 マーガレットは笑いながら手を叩き、僕は彼女に従った。
「とても楽しみだわ! Dainty and Delicate pill.も忘れないようにしなくちゃね。」

 その週の残りは同じパターンの繰り返しだった。
 僕の食事(それがそう呼べる物ならば)は、カッテージチーズとマッシュ状の食べ物だけだった。
 母と、とりわけマーガレットは僕に大量のSubMissy Snack Bars を食べさせた。
 その週の終わりには、僕はあのバカげたバーを3箱も食べてしまっていた。
 僕はバーが与える影響の兆候を無視しようとしたが、それは単に自分を騙しているに過ぎなかった。
 
 金曜日に母は、僕が「一生懸命働いた」から、少し休みをくれると言った。
 まったくだよ。
「やっと休める」僕はため息混じりに言った。
 僕は、自転車でどこかに行くか、それともマーガレットが僕に仕掛けたのだと母を説得する方法を考えるか、いずれにしても休みを待ちわびていた。だが残念ながら、母には別の考えがあった。

「可愛い水着を着たらどう?」

「う~ん、止めておくよ。何か別の物を探すから。」
 
 母は、僕の腕を掴むと、二階にある僕の部屋まで引っ張って行った。
「この前の朝、話したことをもう忘れてしまったようね。さあ、服を脱ぎなさい。」
 
 僕の顔はすぐに真っ赤になり熱くなった。
「お、お母さん、そんなことできないよ・・・」

「『服を脱ぎなさい』と言ったのよ。」彼女は情け容赦ない声で言い張った。

 僕は服を脱ぎながら、震えていた。
 僕は水着を着るのが恥ずかしくてたまらなかったが、無力感を感じていたので、母には背けなかった。
 母は僕を姿見の前に連れて行き、対面できるように位置を決めた。母とマーガレットは僕の背後でニヤニヤしていた。

「あら、プリシラ。」母がからかって言った。
「ダイエットがうまくいっているみたいね。本当に細くなっているでしょ。腕や脚だってとてもか細いわ。」
 
 僕はひるんだ。
 僕は鏡を見るのを避けた、鏡に映る姿があまりにも恐ろしかったからだ。
 筋肉なんてほとんど残っていなかった。胸がないことを除けば、僕の身体はすでに少女のようだった。
 
 マーガレットは僕の落胆した表情に気づき、クスクス笑った。

「プリシラ、ダイエットを監督してくれた妹に心からの感謝を表すべきだと思うんだけど。」
 母は厳しい口調で言った。

 僕の顔は一層紅潮した。
 僕は胸の奥から叫びたいくらいだったが、母に逆らう精神力を集めることはできなかった。彼女は堂々として恐ろしかった!

「あ、ありがとうございます、マーガレット様。」僕は従順に言った。

「どういたしまして、プリス。でも、まだ先は長いわ。だって、あなたモデル並みに細くなりたいのよね?」

 母が僕に代わって答えたとき、僕はすくんだ。
「彼が望もうと望むまいと関係ないわよ。もしもあなたの兄が女の子のドレスアップゲームをしたいなら、ドレスを着たときに華奢で女の子らしく見えなくてはいけないわ。」

 母はドレッサーに歩み寄った。
 鏡に映る僕の背後で、彼女が「僕の」水着を指でくるくる回しているのが見えた。
「新しいスタイルになったんだから、ビキニの方が可愛く見えるわよ。ほら。」
 彼女は水着を僕の前に差し出した。

 母の前で恥ずかしい服を身に着けることを思うと、激しい屈辱感に襲われた。
 恥辱の波が襲いかかり、僕は大きく息を呑んだ。
 そんなの着られるはずがなかった。それはあまりにも女の子らしかった!

「あなたの妹はあなたがこれをSissy Mister という所で買ったと言ったわ。私にはあなたが本当にこんな女らしい水着を買ったなんて信じられなかったけど、調べてみたら、オーナーであるグラッドストーンさんはあなたが買った日のことを、はっきりと記憶していたわ。彼女はあなたのことを正確に言い表した。そのお腹の小さな傷跡もね。彼女はSissyの洋服に囲まれたその店で、あなたがまるでお菓子屋さんの子供みたいだったと言ったわ。私があなたの診断と処置について話をすると、彼女は Sub-Missy bars を勧めてくれたの。」
 
 それは罠だった!きっとマーガレットが、彼女にすべて話したに違いない。

「どうしたって言うの? うんざりするような密かなSissyの空想のために自分で買ったんでしょ。しかもマーガレットや友達には、秘密にする約束でそれを着てみせたのよね。だから、私のためにも着てみせて欲しいわ。さあ、早く着なさい!」彼女は怒鳴った。
 
 僕は母の命令にひるんだ。水着の下の部分を母から受け取るとゆっくりと脚に通した。
 あらゆるSissyとしての部分が叫び声を上げたが、僕はそれを身に着けた。
 母は笑いながら、僕の手に上の部分を押しつけた。
 僕がそれをを身に着けると、母はブレストフォームを手渡した。それはまるで1トンもの重みがあるように感じた。
 僕は大地が飲み込んでくれればと願いながら、それらをブラのカップに収めた。
 母が僕の近くに来て、ブラカップにそれらをきちんと合わせようとしたとき、僕は恥ずかしさで爆発しそうだった。母の顔には独りよがりの満足感が表れていた。

「それから?」
 
 数秒後、僕には母がこの後何を身に着けさせたいのかがわかった。
 僕はクローゼットに向かい、ハイヒールのミュールを探した。
 それを履いて、何とかドレッサーにたどり着くと、引き出しを開け、シフォンの上着を見つけた。
 それは触れるだけで恥ずかしかった。
 僕は大きなボタンを何とかとめながらも、気を失うのではないかと思った。 

「ずっとよくなったわ。その服なら誰もあなたのことをノーマルな男の子だと間違えはしないわ。それに、あなたにちょっとしたサプライズがあるのよ。」
 
 マーガレットは笑いながら、僕にビーチ用のバックとスカーフ、ひさし帽、サングラスを手渡した。そこにはバカげたパラソルまで入っていた!

「グラッドストーンさんは、これがあなたの服には似合うはずだと言ったわ。もしも女の子みたいに着飾って歩きたいなら、細かい部分がファッションの決め手だということを学ばなくてはならないわ。」
 母とマーガレットが嬉しそうにアクセサリー類を整えているのを目にして、僕の顔は真っ赤になった。
 
 一通り終わると、僕はまるで世界一のオカマ、いや、洗練されたビキニで着飾った少年に見えた。

「お母さん、彼、完璧よね?」

「ええ、そうね。でもこれは手始めよ。あなたの『女兄さん』には長い道のりが待っているのよ。プール博士とグラッドストーンさんのおかげで、プリシラへのアイディアはたくさんあるのよ。でも、二人とも急いだ方がいいわ、遅刻したくはないでしょう」
 
 母の言葉で僕は意識が戻った。
「な、何だって?」

「ヒースがプールパーティに私たちを招待してくれたのよ。面白そうじゃない?歩いていけるわ、数ブロックしか離れてないし。」

 僕はパニックになった。
「ダメだよ! お願いだ! そんなことできないよ! 僕のこの格好を誰かに見られたら生きていられないよ。お願い、お母さん!止めようよ。」
 僕はこんな服装をした自分を人々が目にすると考えただけで、心臓が止まるのではと思った。僕の目には涙が溢れてきた。

「そんなメロドラマみたいな言い方しないの。みんなに私の大切な息子が、どんなに女の子らしいか見てもらいたいだけなんだから。それに女の子達はもう本当のあなたを知っているでしょ?」

 それからすぐ、マーガレットは僕を数ブロック離れたヒースの家に引っ張って行った。
「しっかりやるのよ、さもないとすぐにお仕置きよ。」彼女は脅した。
「バックには鞭が入っているからね。お母さんが言ったこと忘れないで!」
 
 僕は深呼吸して、気持ちを落ち着けた。
 母の言ったことを思い出した。彼女が脅した内容は恐ろしいものだった。
 僕は紅潮した顔に笑顔を作り、マーガレットの歩調に合わせた。バカげたハイヒールサンダルがそれを難しくさせた。

 ヒースの家に着き、玄関で待ってる間、僕は大地が飲み込んでくれないかと祈った。
 ヒースの母親であるジョンソンさんがマーガレットのノックに応えた時、僕は恐怖を感じた。

「あら、いらっしゃい。お入りなさい。ヒースと他の女の子たちはプールサイドにいるわ。」
 この時、ジョンソンさんは僕に近づき、見つめた。
「あら、まあ、何てことでしょう!まだ準備していないわよ。」彼女は作り笑いをした。
「だって、ハロウィーンにはちょっと早くない?」

「ジョンソンさん、こちらは兄のプリシラです。彼ったら、何年もの間密かに、女の子として着飾ったり、振る舞ったりしていたことがわかったの。母が言うには、もうクローゼットから出て、カミングアウトする時だからって。」と彼女は微笑んだ。

「本当なの?プリシラ?」

「はい、その通りです。」僕は呟いた。
 
 彼女は笑って手を振った。
「まあ、それじゃ、せいぜいお洋服を楽しみなさい。オカマちゃん。」彼女は意地悪く言った。
 
 マーガレットは僕を睨み付けた。私は母から、本心であろうと皮肉であろうと褒め言葉をもらった時、何をすべきかについて明確な指示を受けていたのだ。
「どうもありがとう。私、この服大好きなの。これ、自分で買ったの。」僕は嘘をついた。

 ジョーンズさんは嫌悪感を露わにしながらも、僕たちを家に招き入れた。
 僕はヒースの母親から離れることができて嬉しかったが、少女達の悲鳴によって現実に引き戻された。
「まあ、誰かと思ったら、オカマのプリシラじゃない!とっても可愛いわよ、プリッシー。見て!彼ったらパラソルまで持ってきてるわ!」
 
 僕がさすがに事態はこれ以上悪くならないだろうと思っていた、だがちょうどその時、ある声を聞いて、背筋に悪寒が走った。
「こんな所で一体何をしてるの? ヒース、あなたもお友達ももう少し静かにしてくれない?」
 彼女の言葉が終わると、たむろしていた少女達はバラバラになり、僕の悪夢が決定的となった。
 そこにいたのはスージー・ジョンソンだった。
 ヒースが彼女の妹であることを僕はすっかり忘れていた!
 僕はその場を逃げ出そうとしたが、少女達は笑いながらそれを阻んだ。
 
 彼女は信じられない様子で僕を見つめた。
「ピーター? ピーター・パーカーなの? その格好、まるで・・・」

「オカマみたい?」ヒースが口を挟んだ。
「だって、それが彼の本当に姿だもの。彼に聞いてみればわかるわ。」と彼女はからかった。
 
 スージーは僕を不審そうに見たが、その目には心痛と混乱の色が浮かんでいた。
 
 オカマみたいな格好で彼女の家にいることに何か言い訳をしようと、僕はどもった。
 鼓動が高鳴り、喉が締め付けられながらも、僕は口を開いた。
「スージー、これにはちょっと複雑な事情があるんだ。」
 僕は時間を稼ぎながら言った。
 マーガレットが僕の背中を強く小突いた。
 もしも僕が誰かに対して「率直さ」が足らなかったら、裁判官がそれを知り、少年施設へ送り返されることになると、母には脅されていた。
 深呼吸をしながら、僕は全部夢なんだと思いこもうとした。
「スージー、僕ね・・・」
 僕には自分が言おうとしていることが判っていた。
「実はね、僕・・・Sissyなんだ。」
 
 少女達は僕の答えに爆笑し、マーガレットとその友達は僕を素早くプールに引っ張って行った。後には、スージーがひきつった表情で無言のまま立ちつくしていた。
 
 少女達が、午後ずっと僕をからかい嘲笑したことは、大した問題ではなかった。
 僕はスージーのことしか考えられなかった。彼女は僕のことをどう思っただろうか。
 2,3週間前、僕たちはあと一歩で恋愛になりそうな段階に入っていた。
 僕には、彼女が好意を持ってくれているのがわかっていた。
 たぶん彼女なら全部罠なんだとわかってくれるだろう。何しろ、僕たちはずっと知り合い同士なんだから。
 僕は、その日の午後ジョンソン家を訪れたことが、混乱から抜け出すためにずっと探し求めていた突破口になるのでは、と考え始めていた。
 
 僕がスージーに何と言おうか考えていた時、家の中では彼女の母親がワインを飲みながら、悪戯っぽい笑顔で僕の方を見つめているのがわかった。
 彼女は僕と目が合うと、手を振り、投げキッスをした。  
 くそっ!
 
 ヒースとマーガレットと他の少女達が、キッチンでの飲食に忙しくしていた時、とうとうスージーが僕の座るラウンジチェアのところにやってきた。僕はそこでじっとしているように指示されていた。
 彼女は強ばった笑みを浮かべてはいたが、目は真っ赤だった。ずっと泣き続けていたようだった。
 気分は最悪だった。彼女の妹とは違って、スージーは優しくて親切だった、だから彼女が動転するのは見たくなかった。

「スージー、説明させて欲しいんだ。」

「私って本当にバカだったわ!」彼女は僕の言葉を遮り、自らを卑下するように言った。
「今にしてみれば、明らかだもの。 6年生の時、あなたが進んで Little Bo-Peep を演じたのだって変だったわ。私、本当にあの役やりたかったのよ。思えば、あなたには何週間もの間、つき合って欲しいって思ってきた。でも、そんなことしたら、友達は私のことレズビアンか何かだと思ってしまうわね。」
 彼女は涙を拭いた。彼女は深くため息をつき、気を取り直した。
「ごめんなさい。でも私の身になって、話を聞いて。私にはそれがどのようなものか想像することしかできないけど、とにかくあなたの秘密は明らかになったのよ。」

「スージー、僕の話を聞いてよ。これは全部間違いなんだ。マーガレットの仕掛けた罠なんだ、それに・・・」

「そのくらいにしておいた方がいいわ、ピーター・・・いえ、プリシラ。」彼女はきっぱりと言った。
「例え、恋人になる夢はダメになっても、友達ではいたいもの。それにいろいろなことを考えれば、あなたには友達が必要だと思うの。」彼女は僕の服装を真似しながら言った。
「あなたみたいな・・・男の子がクローゼットから出て来られないなんて本当に残念なことよ、でも、そんなことは問題の一部に過ぎないわ。あなたのお母さんと電話で話したんだけど・・・」

「何をしたって?」僕は叫んだ。

「話の腰を折るのは失礼よ、プリシラ。」彼女は真顔で注意した。
「今言ったように、電話であなたのお母さんと話したの。話によれば、彼女の望みはあなたの空想が実現するように手助けをすることだけだそうよ。どうして泣いてるの?すばらしいことだと思うわ。空想が実現することを望まない人なんていないわ。あなたのお母さんは出席したセミナーのことを話してくれた、そしてあなたの手伝いをするのに何をしたらいいかを正確に教えてくれたわ。素敵なことじゃない?」

「スージー、お願いだ。君はわかってないんだよ。」

「心配しないで、プリシラ。お母さんからは、あなたが、女性化されることや苛められること、そして屈辱や恥辱を味合うのが大好きだということも聞いているわ。正直に言えば、そんなことウンザリだけど、私の気持ちは横に置いておく・・・あなたのためにね。あなたがそんなことで興奮するなんて、私にはわからなかったわ。だって、あなたは女の子が好きだとばかり思っていたんだから。」

 僕は涙の溢れた瞳で、スージーを見つめた。
 こんなこと起こるはずがない。
「違うんだ、スージー。嘘なんだよ。本当の話なんて一つもないんだ。」

「お母さんは、あなたがきっと否定するだろうと注意してくれたわ。もう大丈夫よ。あなたはそれを公にするだけなの。私、お母さんに言ったわ。もしもそれがあなたの望むことなら、どんなことだってするつもりだって。」
 彼女はとても嬉しそうだった。
「お母さんやマーガレットのような、理解があって思いやりのある家族がいて、あなた本当に幸運だわ。」
 
 ちょうどその時、少女達が飲み物を持って戻ってきた。
 ヒースが楽しそうに言った。
「スージー、プリッシーとのガールズトーク、楽しんでる?」

「ええ、本当に楽しかったわ。」彼女は陽気に言った。
 僕の涙が乾くと、スージーは皮肉っぽい笑みを浮かべて僕を見た。
「プリシラ、お母さんの話だと、あなた、マーガレットやお母さんに代わって、いろいろな家事をしてるんですって?ヒースや他の女の子に見せてあげたらどう?」彼女は悪戯っぽく僕を見つめ、言った。
 
 僕には、確かに彼女の言わんとすることが判ったが、そんなことできるわけなかった。 
 僕が躊躇っていると、マーガレットがビーチバックに手を伸ばし、スージーに鞭を手渡した。
「ほら、これ。 お母さんからは、プリシラが言うことを聞かないときは、いつでもこれを使うように言われているの。」
 スージーは緊張した様子で笑うと、鞭を試しに数回振って見せた。

「わたしは彼を前屈みにさせるのが好きよ。」マーガレットは助言するように言った。

「私、Sissyでいることが大好きなの。」
 僕は、まるで100回目の鞭打ちであるかのような嗚咽の中で、そう叫んだ。
 この時、ジョンソン夫人が集団に加わり、僕の屈辱は増した。スージーが彼女に鞭を見せると、彼女は僕にきつい鞭打ちを数発見舞った。
 間もなく、スージーはクスクス笑いながら、僕の無力なお尻を何度も鞭打った。
 彼女は僕が泣き出すと、微かに躊躇いを見せたが、止めたければ自分で止めるように言った後でも、僕が止められないことを知ると、鞭打ちのペースを上げた。
 ジョンソンさんはその一部始終をデジタルカメラに収めた。僕はすぐにでも家に帰りたかった。

 玄関で、スージーは僕を脇にやり、僕の服を弄んだ。
「ねえ、プリシラ、最初あなたの恥ずかしい秘密がわかった時、私、ショックで傷ついたわ。でも今は、真実がよくわかった。実際にデートを始める前にわかって、本当に運が良かったわ。だって、パンティやブラやドレスを着るのが大好きな男の子とつき合っていると思うと、ゾッとしちゃうわ。ゲェー! 気持ち悪いったらないわ! とにかく、私が鞭打ちをしてお辞儀をさせた時でも、あなたは本当はそれが大好きなんだとわかったわ。例え、嫌がっているふりをしていてもね。もしもあなたのお母さんと話さなかったら、私本当に騙されるところだったわ。 バイバイ! またね。」
 
 家では、僕がマーガレットから貧弱な夕食を食べさせられている時、母はニヤニヤ笑っていた。
「今日の午後は楽しかった?水着美人さん。 私、あなたの友達のスージーととても楽しい会話をしたわ。本当のあなたのことを話したときに彼女が口にしたショックの声を、あなたも聞くべきだったわ。本当に可哀想な子。彼女、本当にあなたとつき合いたいと思っていたのよ。でもそれって滑稽よね? だって、あなたのようなオカマが女の子とつき合うなんて。そう言えば、あなたのネグリジェ姿やお芝居のことを話した時、彼女、もう少しで吐くところだったわよ。もちろん、私もちょっとだけ嘘をついて、あなたが好きでやっているんだって言ったわ。彼女、本当にいい子ちゃんだから、あなたを傷つけるようなことは絶対にしないはずよ。話を終えたとき、彼女ったら、あなたが幸せになるよう手助けすること、そしてあなたの空想を実現させることを心から望んでいたわ。素敵じゃない?
私、彼女にプール博士のオンライン女性化商品を教えてあげた。彼女もきっとあなたの心を変えるためのたくさんのアイディア、つまりあなたが、ノーマルな少年のふりをして彼女を騙そうなんて二度と思わなくなるようなアイディアを持っていると思うわ。」

 (続く)


〔注〕 
(*8)Sub-Missy Snack Bars  これもThe Sissy Misterで扱っている商品です。(もちろん作者のオリジナル)Subは、おそらくsubmissive(「服従的な、従順な」の意)の省略で missyは「お嬢さん」くらいの意味です。おそらくこれを食べると「従順な女の子」になるということでsubmissiveという単語と音も合わせているのでしょう。



Priscilla’s Perils (翻訳) その2

 数日後、母は用事で出かけ、マーガレットと僕だけが家に残った。
 あの「プールの日」以来、マーガレットと二人だけで過ごすのは初めてだった。
 僕は母がすぐに帰ってきて欲しいと祈りながら、自室に引っ込んだ。
 それは何の役にも立たなかった。ベッドルームのドアが大きく開き、マーガレットがドカドカと入りこんで来たとき、僕は飛び起きた。彼女の手にはピンクの乗馬鞭のような物が見えた。

「何かあったの? SISSY? 私が怖いから隠れてるの? うん、そうに違いないわ。これからは、私たちだけが家にいる時には、私を見つけに来て、何か欲しいものはないか聞きなさい。わかった?」彼女は怒鳴った。
 
 僕の最初の反応は「クソ食らえ」と言ってやることだった。
 でも、次に思い出したのは、僕がその日の朝、一回の腕立て伏せをするための惨めな試みだった。以前僕は一度に50回はできたのに。
 僕には自分の言葉が聞こえた。
「わかったよ、マーガレット。君が言うときはいつでもね。でも、まだ楽しみが足りないの?お願いだよ。 お母さんも本当に僕のことSISSYだと思い始めているみたいなんだ。おばあちゃんに電話で話しているの聞いたでしょう?とっても動転してるみたいだよ。」

「もちろん、お母さんは動転してるに決まってるじゃない、バカね。だって、あの男らしい息子が心の中は完全な女の子だとわかったんですもの。それがどんなにうんざりすることかわかる? さあ、私から隠れようとした悪い娘には、お仕置きが必要だわ。パンツを下ろして前屈みになりなさい。 さあ、早く!」彼女は笑顔で言った。

「ええ?待ってよ、マーガレット。そんなこと嘘だよね。」

「あら、私はずっと真面目よ。さあ、早くしなさい!」
 マーガレットは強調するために乗馬鞭で自分の脚を打って見せた。

 信じられないことに唖然としながらも、僕はベルトのバックルを外しジーンズを下ろした。マーガレットはニヤニヤしながら、僕にボクサーパンツも脱ぐように合図した。僕は顔を真っ赤にしながらも従った。

「これって面白いゲームじゃない? ねえ、お兄ちゃん? それはそうと、もしお母さんに妹とSISSYの時間のことを少しでも話したら、後悔することになるからね、わかったわね?」

 僕は空しく頷いた。

「いいわ。さあ、いい娘になさい。前屈みになるのよ。そうよ、足首を掴んで。いいわ、完璧よ。あなたの泣き声を聞くのが大好きなの。」
 ビシーッ
「あら、痛かった?そう、痛かったの。いいわ!」

 マーガレットが終わったとき、僕のお尻は真っ赤になっていて、抑えようもなくすすり泣いていた。僕は、マーガレットにもし泣きやまなければもっと叩くと脅されて、ようやく我を取り戻すことができた。僕は鼻を啜って、目を擦った。

「それでいいわ。さあ、私と一緒に来なさい。あなたきっとお母さんの物で着飾りたいと願っているのよね。きっと魅力的になるわよ。」
 彼女は嬉しそうに笑いながら手首を振った。
 
 僕が妹の命令に従って行動するまでには、さらに2,3回のむち打ちが必要だった。
 続いての出来事はプールでの午後よりも一層恥辱的だった。すべてを終えた時、僕は恥ずかしさで疲れ切っていた。僕はベッドの倒れ込むと、泣き声をもらすまいと努めた。

 数日後、僕たちはアリス・プール博士の設備の整ったオフィスに到着した。彼女こそ私たちが会うべき人物だった。僕は、これはみんな大きな間違いで、マーガレットが僕に仕掛けたことなんだと彼女に納得させようと心に決めた。
 マーガレットのゲームは正に終わりを迎えようとしていた。
 プール博士の待合室は本当に女の子らしく、すぐに居心地が悪くなった。
 それはまるで、メイクアップ道具とパンストとその他色々を持って女子トイレにいるみたいな感じだった。
 長い待ち時間の後、医師がやって来た。僕は彼女が綺麗な中年女性であることに知ってホッとした。僕は眼鏡やその他のもので年を取っていると判断した。でも、彼女は本当に素敵だった。彼女は最初に「背景を知る」ために母とマーガレットとの会話を求めた。

 マーガレットは大きな封筒を取り出し、満面の笑みを浮かべた。彼らが廊下へと出て行くとき、マーガレットは振り返り、僕にウィンクした。そのことが僕を本当に不安にさせた。
 
 母とマーガレットはそこに長時間いたので、僕はすっかり退屈してしまった。
 僕はテーブルから雑誌を取り上げた。驚いたことに、それは『Teen Sissy』というものだった。
 一見すると、母やマーガレットのバカバカしいファッション雑誌のように見えた。トピックも確かに同じだった。つまりメイクアップ、ファッション、男性との関係などお決まりのものだった。
 しかしもっと近くで見ると、その雑誌が母やマーガレットがいつも呼んでいるものとは違っているのがわかった。それは男の子向けだった!Sissy向けだったのだ!
 表紙にはシックなイブニングドレスを身に纏い、洗練された髪型をしたしなやかなティーンの少年が写っていた。彼の濃いメイクアップは完璧だった。
 彼はタキシードを着て、表情に性欲を湛えた筋肉質の男性グループに囲まれていた。
 記事の題名は「女の子のためのドレス」だった。
 僕はゾッとしながらページを捲った。そこは女の子として着飾ったり、典型的な女の子のすること、例えば、チアリーディングや家事、裁縫といった仕事をしている少年のページだった。
 僕は自分の目が信じられなかった。僕はあまりにうんざりしていたので博士が母と妹と一緒に戻っていたことに気づかなかった。僕はプール博士に背後から声をかけられてハッとした。

「きみは『Teen Sissy』の最新刊を楽しんでいるみたいね。君が夢中になっているのはどの記事かしら? ああ、なるほど、『The Prettiest Brasfor Boys(男の子のための最も可愛いブラ)』ね。面白そうだわ。」

「ぼ、僕は読んでいたわけじゃないんだ! 本当に。 あのつまりその・・・」
 僕はすぐに雑誌をテーブルに投げ捨て母の方を見た。彼女はまた失望と嫌悪の表情になっていた。くそっ!

 僕は博士のオフィスに入ったが、至る所が女性的な雰囲気であるのに気づいた。
 席に着くと、彼女は微笑み、僕たちの間にあるテーブルに拡大写真を注意深く置いた。
「これ、わかるかしら?」彼女は優しく尋ねた。

 僕はそれを見て身がすくんだ。
「どこで手に入れたんですか?」僕はいらいらしながら聞いた。
 それは数年前のハロウィーンでの写真だった。

「親切にも君の妹さんがくれたのよ。彼女は本当にあなたのこと気にかけてるわ。」
「ええ、確かにね」と僕は思った。
「『First Lady for Halloween(ハロウィーンのファーストレディ)』として着飾るのはあなたの考えだったのよね?」

「ええ、まあ。」

「だから君はそんなかっこいいスーツと帽子を自分で選んだのよね。なんてすばらしい趣味をしてるの。ピンクは君に似合うわ。」

「ど、どうも」と僕は言った、失礼な振る舞いはしたくなかった。
「でも僕は雑誌で見た写真に合わせようとしただけです。僕がそんな風に着飾った唯一の理由は、前年に、ある少年がそれをして、他のみんなより2倍多くのキャンディをもらえたということを聞いたからなんです。僕がキャンディの話をした時、友達はみんな敢えて僕にそれをやらせたんです。僕には他に選択の余地はなかったんだ!本当なんです。」
 
 プール博士は同情しながら頷いた。
「もちろん、それはもっともなことね。」彼女は何枚かの拡大写真を追加してテーブルに並べた。ちきしょう!
 僕はそんな写真全部捨ててしまったとばかり思っていた。
 でもあのガキ、マーガレットが写真を盗んで、取っておいたに違いない。
 写真は僕の6年生の学芸会での写真だった。
 Little Bo Beep(*3) を演じたときの困惑ぶりを思い出し、僕の顔は真っ赤になった。
「このお芝居で、君が先生に女の子の役にしてくれるように頼んだと聞いているんだけど、それは本当のこと?」

「はい、その通りです。」僕は静かに言った。
 僕は唖然とした。その写真はとんでもないものだった。
 僕はパンタロンとボンネット(*4)という服装をしていて、本当に女の子のようだった。
 お芝居の先生は男の子が女の子の役を演じるということで困ってしまい、僕にメイクをさせた。まったく悪夢のようだった!子供達は何か月も僕をからかった。
「ぼ、僕はそんなことしたくなかった、でも男の子役として残っていたのが長いセリフの役だけだった。僕はひどいアガリ症だったんだよ。」

「そうでしょうね。」と彼女は言った。
「でも、君は綺麗な衣装を着てとても可愛く見えるわ。フリフリのパンタロンや優美なボンネットを身に着けて、女の子の気分をとても味わったに違いないわ。それに、君が女の子の服を着たのはこの時が最後ではなかったようね。」

 くそ!プール博士は拡大写真を一枚ずつ置いていった。それはマーガレットと彼女の友達によって女装させられた時に取られたものだった。それが自分のせいではないことを、僕はすぐに説明した。
 彼女がどういう意味か尋ねた時、僕は落ちついて声明した。それは妹が力づくで強制したことであり、妹は他の人に僕がどうしようもないSissyであると信じ込ませようと決めたのだということを。
 僕は彼女にすべてを話した。彼女が頭を横に振っているのを見たとき、僕は夢中になっていた。マーガレットがしたという話を博士が信じていないのは明らかだった。
 
 約一時間後、プール博士はノートを取るのを止め、僕に同情的な笑みを向けると、もう十分話はきいたわ、と言った。
 帰り道の車中で、僕はマーガレットが僕にしたことにどうやって仕返ししてやろうか計画し始めていた。
 
 親権裁判は翌週ついに始まり、プール博士が最初の証人だった。
 僕の気持ちは焦っていた。母側の弁護士女は裁判官に対し、プール博士はその資格により双方の証人として規定されていると言った。
 いくつかの予備審問の後、プロクター女史が質問を始めた。
「プール博士、あなたはピーター・ワトソンがある種の性同一性障害だという専門的意見をお持ちになっているということですか?」
 みんなの視線が見つめているのに気づき、僕は身悶えた。

「はい。」と彼女は明るく微笑んだ。
「私の慎重な診断とご家族の話を源にすると・・・(彼女が僕に優しい一瞥を送るために、少し間を空けたので、僕はにっこり笑った。)・・・ピーターはいわゆる『Sissy Boy 症候群』だと言えるでしょう。障害には異なった段階があり、ピーターは第三段階、つまり最も深刻な状態であることは疑いの余地がありません。」
 
 何だって?僕は我が耳を疑った。きっと夢を見ているんだ!
 僕は絶望的な思いで、母を見た。彼女は泣き出していた。父は不快な表情を浮かべ、僕を見ることさえしなかった。
 僕は声を上げようとしたが、裁判官の小槌によって静粛を促された。
 僕がゆっくりと席に戻ると、プール博士は証言を続けた。
 彼女が法廷の前方にある巨大いスクリーンに、女の子の服を着た僕の写真を映し出し、一枚ずつコメントするのを聞いて、僕は穴があったら入りたい思いだった。
 みんな、クスクス笑っていた。裁判官でさえ、笑い出すのを懸命に抑えていた。

 僕は不安な思いで、プール博士の話を聞いた。 
 違うんだ!彼女は全部間違っている!
 僕は『長期的自発的異性装』なんかではない。それに自分がsissy であることを認めたくないから『利己的で男性らしい傲慢さ』を示したりなんか絶対にしていないんだ!
 僕みたいな男の子はみんなを欺くことに大きな満足を得て、しかもプライベートでは女の子の格好や振る舞いをするのが大好きであるにも関わらず、その『sissy 的な面』を秘密にするのことに殊更注意を払うものだ、と彼女が話した時、僕には全く理解できなかった。
 僕の sissy としての振る舞いが、実際には本当の女性に対する軽蔑や冷笑の表れだと彼女が言った時、母の顔が心からの怒りに変わっているのが見えた。クソ!
 それから彼女は、妹が僕をSissyにしようとしているという『白々しい嘘』は単なる欺瞞であり、『男性であることの特権を保持するための一世一代の努力』に過ぎないと言った。何てことだ!
 
 僕は、母の弁護士がプール博士に診断には疑念の余地はないのかと尋ねるのを聞いた。
 プール博士は柔和な笑みを浮かべた。「疑念は絶対にありません。」
 彼女は僕を凝視した。
「例え疑念があったにしても、これによって完全に排除されることになるでしょう。」
 
 プール博士はビデオ映像を再生した。
 映像が母の寝室であることは少ししてわかった。
 映像には次に僕自身が映し出された。心臓が止まりそうだった。
 ああ、ダメだ!いけない!映してはダメ!
 僕は思わず声を漏らした。
「止めて!これは全部仕組まれた物なんだ。僕の言うことを信じてよ!」
 
 裁判官の小槌が鳴り、もしこれ以上騒ぐなら退廷を命じるとの脅しを聞いた時、僕の頭はクラクラとしていた。
 
 マーガレットが何らかの方法で、母の寝室での僕の演技を密かにビデオ撮影していたんだ!
 彼女が、僕にそのような詳細な指示を与え、何度も何度も『演技』させたのは不思議なことではなかった。ミスをすれば、鞭打ちが待っていた。
 僕は、どうしてマーガレットが、その間ずっと、ドア付近にいたのか不思議だったが、今、それが画面から外れるためだったことがわかった。
 マーガレットはとんでもない話の一部始終をフィルムに収めていたのだ。
 僕には次に映し出されることがわかっていたので、死にたい気分だった。
 
 僕は目を閉じ、屈辱を追いやろうとした。しかし、画面では、僕が抽斗しから母の一番女らしいネグリジェを取り出し、身体に当て、鏡に映る姿に愛らしく微笑みかけているのがわかっていた。
 画面外からのマーガレットの指示によって、僕は『興奮した様子で』服を脱ぐと、とんでもないネグリジェとローブとスリッパを身に着けた。 
 僕には、マーガレットが主張した不自然な裏声で話す自分の声がはっきりと聞こえた。
 鏡に向かって、僕は想像の夫に向かって語りかけた。
「ねえ、あなた、帰ってきてくれてとってもうれしいわ。このネグリジェ? 素敵でしょ?これね、ダウンタウンで一番可愛いランジェリーショップで、今日買ったのよ。私黒を選んだの、だって黒だとあなた興奮してくれるでしょ。〈クスクス〉私、これを買ったときから、ずっとあなたのこと思っていたのよ。こんなハンサムな男性と結婚できて、わたしって本当に幸運だわ。え、何? 私をベッドに連れて行って、女の気分を味合わせてくれるの?〈クスクス〉あら、それってこのネグリジェを買ったとき、私が願ったことと同じだわ。」
 
 この時には、法廷全体が笑いで包まれていた。僕は、マーガレットの指示でヒップを恥ずかしそうに揺らし、興奮した女性が一般的にするような動きをしたのをはっきりと思い出した。
 お芝居の最後に、マーガレットは僕に鏡の前でポーズを取ったり、おめかしをしたり、見とれてみたりさせた。
 僕の顔は意地の悪い言葉を聞いた真っ赤になった。
「とんでもない変態ね! 母親の下着を身に着けるなんて。もし私の息子がそんなことしたら、勘当するわ。」
 
 悪いのはその場面だけでなかった。僕は次の部分にさらなる恐怖を感じた。
 画面では、僕は母のカーキ色のカジュアルパンツを探し出し、身体に当てると、鏡に映る姿を見た。
「お母さんったら、本当に男みたい(butch cow)(*5)なんだから。これじゃ、きっと男性が離れちゃうわ。」
 
 法廷全体にうめき声が漏れた。僕は母を盗み見た。彼女は鋭い視線で僕を睨み付けていた。僕には彼女が考えていることを想像することしかできなかった。

 プロクター女史がますますひどい証言を引き出すのを耳にして、僕は震え始めた。
「プール博士、あなたの専門的な見解として、プリシラのようなSissyが変わることはあるのでしょうか?」

「絶対にありません! Sissy症候群には『治療法』はありません。その少年達は息を引き取る時でも、女の子としての幻想を否定するのは確実です。しかしながら、彼らの振る舞いは雄弁に語っています。つまりあらゆる機会を見つけては密かに女性服を身に着けます、例えば、母親の、姉妹の、そしてガールフレンドの服をです。また、できる限りたくさん女性服を密かに身に着けることや女の子の振る舞いをすることをいつも空想するのです。ただし、公には見せかけの男らしさを常に維持し続けます。」

「なるほど。ではピーターのような人の予後はどのようになるのでしょう?」

「ええ、それはとても悲しく哀れなものになるでしょう。ペーターのような少年は茶番を続けます、そして学校に通い、伝統的に女性が排除されているような高給の職業に就き、疑うことをしない哀れな女性と結婚することになるでしょう。妻が不意に帰宅し、夫が自分の一番女らしいネグリジェや素敵なカクテルドレスを身に着けているのを、当然目にすることになるでしょう。彼女の裏切られ、失望した感情を想像してみてください。その後は離婚になりますが、そのパターンは、Sissyが自らの偽りのせいでいろいろな人の人生をダメにするまで繰り返されます。」
 
 この段階に来て、笑いは怒りの呟きへと変わり、何人かの女性は、まるですべての男性の悪を具現化しているかのように僕を見た。法廷記者でさえ、忌々しそうに僕を睨み付けた。僕は座席により一層身体を沈めた。

 プロクター女史はニヤニヤ笑いながら僕の方を見た。
「ピーターのような人には性転換手術が適切なのでしょうか?」
 
 プール博士の答えを聞くまで、僕の心臓は口から飛び出しそうだった。
「いいえ、絶対に違います。」と寛恕は笑った。
「ピーターは性転換者ではありません、彼はSissyなのです。言い換えれば、彼が最も明確に欲しているのは男性の部分を保つことです。彼は女の子になりたいのではありません、密かに女の子の服装をしたり振る舞ったりことに心酔しているのです。」

「予後が悲惨であるという観点から、ピーターにはどういったことが推奨されるのでしょうか?」

「状態に関しては何の治療もありませんから、処罰が唯一の答えとなるでしょう。Sissyは本当の人格については誰に対しても正直ではありません、だから専門家として私たちが行わなければならないことは、いわゆる彼らを強制的にカミングアウトさせることなのです。私の徹底した研究によれば、たった一つだけ合理的な臨床試験計画があります。つまり、Sissyの幻想を極端な状態まで持っていき、それらを実現させることです。私のピーターに対する推奨方法は、プリシラの社会的アイデンティティが、過度に女性的なSissy-Boyとして完全になるまで、厳しい強制女性化を行うことです。私たちには、彼が男性としての『偽りの』人格を続けるのを不可能にする社会的責任があります。」
 
 プール博士は自分の言葉が理解されるよう一旦間を置いた。
「例えば、この写真をご覧ください。」
 恥ずかしいことに、プール博士は僕のプールサイドの悪夢を写した最悪の写真に言及した。
「ピーターは密かに女性の胸を持っているように装うのが好きなのです。しかもお分かりのようにかなり大きな胸です。しかし、ピーターは楽しみを終え、恥ずべき空想ゲームに飽きたら、単にブレストフォームを外し、フットボールのユニホームを身に着け、男性としての外見を再開することができるのです。外界では、彼はノーマルな少年に見えるのです。社会的な観点からすれば、このことはまったく容認できません。ピーターは女性の胸を持っているように装うのが大好きなのですから、絶対にそれを持つべきなのです。もちろん本物の胸のことですが、それは彼が密かなドレスアップゲームを終えても、都合よく取り外すことはできません。いえ、単なる胸ではありません。彼は空想しているよりもさらに大きな胸を持つべきなのです。」
 僕の顔からは血の気が引き、再び忍び笑いが始まった。
 プロクター女史は笑いが収まるのを待ってから質問を続けた。
「Sissyはこの処罰にどのような反応を示しますか?」
 
 プール博士は軽く忍び笑いをした。 
「まあ、かわい子ちゃんたちはそれを嫌がるだけのことです。彼らは男性としての見せかけを維持することが絶望的になるわけですから。彼らが友人たちや家族にSissyとして明らかになることは極めて恥ずかしいことでしょう。友達にけしかけられたからシックなミニスカートスーツで着飾った振りをするのと、それが密かなSissyの夢の実現のためだと友達に知られることは別問題なのです。しかしSissy Boyの欺瞞の人生を考えると、私は彼らができるだけ多くの屈辱に耐えるべきだと信じています。私は屈辱がSissyにとって自己統合するのに有用であると確信しています。私はそれを精神的ショック療法として考えています。」

「つまり、それがピーターに対するあなたの専門的な推奨方法というわけですね?」

「その通りです。」プール博士は自信に溢れた微笑みを湛えながら言った。
「素人の言葉で言うなら、ピーターは完全に女性化されるべきなのです。しかも強制的に。最低でも、ピーターに隠しようのない明らかな女性的曲線を与えるために、すぐにでもホルモンの力を借りなければなりません。また女性としても身だしなみ、振る舞い、社会的技能トレーニングも必要です。さらにはノーマルな少年たちとの分化を急ぐためにも男性としての残骸を速やかに、かつ完全に取り除かねばなりません。」
 
 僕は椅子に崩れ落ち、横目でマーガレットを見た。彼女は僕を指さして笑っていた。
 それは法廷のほとんどの人も同様だった。
 その後、父は彼の弁護士に何かを囁くと、立ち上がり、親権の要求を取り下げると告げた。
 僕は地面に穴ができ、飲み込んでくれないかと思った。こんなこと起こるはずのないことだった。
 
 裁判官は小槌を叩き、母に全親権を与える指示を出した、毎週末と毎夏毎の一週間を除いて。
 それから彼女は僕を呼び、起立するよう命じた。裁判官は眼鏡越しに凝視すると、説教を始めた。
「君は自分を恥じるべきだわ。きっと君は賢くて、自分のSissyとしての秘密を両親にも友達にも隣人にも隠し通せると思っていたのね。もしも君が真実を認めていたら、こんな訴訟手続きだって不要だったでしょう。君は法廷の時間と両親のお金を無駄にしたのよ!お嬢ちゃん、君はみんなに謝る責任があるわ。」
 
 恐ろしいことに、彼女は僕を見つめた。彼女は、僕がみんなにSissyであることを告げなかったことへの謝罪を実際に待っていた。それはあんまりだった。

「裁判官、申し上げたいことがあります。プール博士は間違ってる!実際は彼女が言ったようなことではなくて・・・」

 彼女はバタンと小槌を叩き、僕の言葉を遮った。
「私の忍耐力を試そうとしているのね、お嬢さん。私は30年も裁判官席にいるのよ、それにプール博士の証言は、これまで耳にしてきた証言と比べても遜色ない、明確で説得力のあるものだったわ。さあ、ご両親の方を見て、自分がSissyであるという事実を隠し騙していたことを謝りなさい。」と彼女は怒鳴るように言った。
 
 僕は両親を見た。喉はカラカラで、心臓はドキドキしていた。
「ご、ごめんなさい・・僕が・・・Sissyであることを黙ってて。」と僕は囁くように言った。
 こんなこと起こるはずがないんだ。きっと悪い夢なんだ。そうに違いない。

 裁判官の怒りは少し静まったようだが、消えたわけではなかった。
「私はこれまで法廷で多くの問題児を見てきたし、彼らの抱えるほとんどの問題にも接してきた。法的なものもそれ以外のものも。それは自分たちの行動に対する責任を受け入れないことから発しているものよ。君も例外ではないわ。自分の病状を妹のせいにしようとするなんて。私にはそんなこと許すつもりはありませんよ!」
 
 妹が本当に喜んだことに、裁判官は僕に妹への謝罪をさせたんだ!
 信じられない!
 裁判官は言葉を続けた。
「さあ、始めるわよ! 極端に女性的なSissyだという君の診断結果は今や公の記録になっている。私は個人的にこの案件の管轄権を保持し、君の記録をチェックするつもりです。お母さんへの親権の裁定は、手紙を通じて、プール博士の推奨する処罰に従うことを条件とします。そしてもし君が誰かにSissyとしての性質を否定しているということを耳にしたら、私は君に少年施設でそのことを考える時間を与えることに躊躇いはしません。」

 本当に困惑したことに、僕は泣き出したんだ、まるでSissyみたいに!

 それから裁判官は、まるで長く会っていない友人同士であるかのように母を慰めた。
 彼女は母に、僕のような『問題児』を育てるのが大変なことはよくわかっていると言った。
「私はそれが難しいことだと知っています、でも私は、ピーターの親権者としてあなたにプール博士の強制女性化に従うよう命じます。あなたの息子さんの病的な見せかけはもう十分長く行われました。そろそろ次に何が起こるのかを彼も知るべき時がきたのです。」
 
 僕の頭はクラクラした!
 裁判官が法廷を後にしたとき、僕は信じられない思いで、弱々しく座っていた。
 父はシーツのように蒼白だった。母は、まるでゴミでも見るかのように僕を見た。
 僕はするべきではないことはわかっていたが、彼らに僕がSissyであると思わせることはできなかった。
「お母さん、お父さん、これは全部大きな間違いなんだ! こんなこと信じてはいけないんだ。僕は第3段階なんとかなんかじゃない。マーガレット、みんなに本当のことを言ってよ。クソっ! 本当に大事なことなんだから!」

 僕は執行官が近くに立っていることさえ気づかなかった、そしてそれがわかる前に僕は少年収容所行きのバスに乗せられていた。
 名誉毀損に侮辱罪を加えて、裁判官は僕に少女施設での再拘留をさせた。
 彼女はそこが僕に相応しい場所だと言った。
 その週、僕はそこで人生の最悪の週を過ごした。たとえ他の少女達からは隔離されていたとは言え。
 そこでの少女達は僕が知っているような子たちではなかった。
 彼らは逞しかった。逞しくて、意地悪だった。僕の話を聞くと、少女達は恐ろしい存在になった。彼らはその週ずっと僕を苛め、ひどい名前で呼び、「本当の女の子にしてやる」と脅した。
 大柄なヨランダは、もしチャンスがあれば、僕を自分の『bitch』(*6)にしようとずっと脅迫してきた。    
 僕はその週が終わり、母が迎えに来た時、純粋に安堵の声を上げた。
 
 一週間を過ごした後で、僕は車中で倒れ込んだ。
 僕は、マーガレットがクスクス笑いながら、新しい友達ができたか尋ねたとき、身体が震えた。
 
 母は、厳しい口調で口を挟んだ。
「まあ、自分のためにも、いい勉強をしたんじゃない!裁判官は本当に正しかったのよ。もう否定することはできないわ。私は今週ずっと考えた、そしてあなたが私を、本当の母親をずっと欺いてきたことに本当に腹が立ったわ。私はなんてバカだったのかしら!ずっと完璧な息子だと自慢してきたんだもの。あなたが私のいないところで、とんでもないドレスアップゲームをしていたなんて知らなかった。本当に面汚しよ。あなたは私をバカにしたのよ、プリシラ。私はそれを絶対に忘れないわよ。」

「な、何て、呼んだの?」

「プリシラ。それがあなたの新しい名前よ。家族の中であなたの真実を知っていたのはマーガレットだけだったようね。弁護士は改名の申し立てを処理してくれたわ。ピーターのことは全部忘れることができると思うわ。」と彼女は悲しそうに言った。
「とにかく、この一週間、私はプール博士からSissy症候群と強制女性化の短期集中コースを受講した。あなたのようなSissy Boy を女性化することに、彼女以上に知っている人は他にいないもの。もうこれ以上の嘘や見せかけはゴメンよ、いいわね、お嬢さん!」

 僕は吐き気を催した。プリシラへの改名?強制女性化?
 僕はマーガレットが密かに笑っているのが見えた。僕は叫びたかった。 
 
 家に着くと、マーガレットは時間を無駄にすることなく、すぐに友達に電話した。
 間もなく彼らは皆、僕の部屋に集まり、マーガレットが裁判を開いた。
 少女達は裁判のコピーからの恐ろしい抜粋を回し読みし、最も屈辱的な箇所を繰り返した。
 少女達はそれが今まで聞いた中で最も面白いことに思えた。
 それぞれが「僕の空想」を現実にするために手を貸してくれると嘲るように言った。 
 いつも好きだったサンドラがやって来て、Tシャツの前を引っ張り一対の点を作った。
 彼女の意図は明らかだった。
「プリシラ、あなたワクワクしてないの? 考えてみて、あなたのオッパイができるのよ。男の子達はきっとあなたのこと好きになるわ。」と彼女は笑った。

「あり得ないよ。お願いだ、サンドラ。助けてよ。」と僕は嘆願した。

「もちろん助けてあげるわ。あなたが可愛いブラを探すのも手伝ってあげるし、胸の自己診断の仕方だって教えてあげるわ。」
 
 夕食時、マーガレットと母は、親しげにおしゃべりをしていた。
 母はステーキを焼いていて、とてもいい匂いがした。少女刑務所の食事は食べられたものではなかった。
 それにマーガレットとその友人のおかげで、僕は昼食を食べていなかった。僕は腹ぺこだった。
 母は肉汁たっぷりのステーキを彼女とマーガレットの前に置いた。
「ねえ、僕のは?」僕は尋ねた。
「残念だけど、あなたには別メニューがあるのよ、プリシラ。」と母は笑った。彼女の目は輝いていた。
「もし女性用水着を着て歩きまわりたいなら、もっと女性的なスタイルになる必要があるわ。残酷なことは言いたくないけど、あなたは今までずっと外見のことを気にしないで来すぎたのよ。」
 
 マーガレットはクスクス笑った。「正式にダイエット中ってことね、Sissy-Boy。でも心配しないで。お母さんは私に任せてくれたの。すぐに1号サイズ(*7)に落としてあげるわよ。」
「イヤだよ!僕がどれだけ食べるか知ってるでしょ? 僕は腹ぺこなんだ。お願いだよ!そんなバカバカしいダイエットなんてしたくないんだ。」

「いいえ、あなたはダイエットをするのよ。話は終わり。」
 マーガレットは笑って、僕の乳首をTシャツ越しに強く抓った。
 彼女は笑いながら、キッチンに行くと、大きなボウルに入ったマッシュ状の食べ物をもって戻ってきた。

「こ、これは何?」僕は心配そうに聞いた。それはいかにも不味そうだった。

「あなたの大好物の、脂肪抜きカッテージチーズよ。ピンク色にしたのは私のアイディアよ。」
 
 僕はうめき声を上げた。
 マーガレットは僕がカッテージチーズを嫌っているのを知っていた。
 僕は不機嫌そうに座っていると、二人の女性はステーキを数口食べて、皿を脇にどけた。
 
 母が口を開いた。「ねえ、プリス、どうしたの? 夕食に手を付けてないじゃない。あなたが体重を落としたいと思ってるのは知ってるけど、この家で断食ダイエットは認めないわよ。マーガレット、お兄さんのお手伝いをしてあげたらどう?」
 
 マーガレットは笑いながら、僕の隣に椅子を動かした。彼女はスプーンを持つと、大量のカッテージチーズをすくい上げた。「さあ、ア~ンして」

 僕は口を開け、マーガレットはスプーンを突っ込んだ。ひどい味だった!
僕はそれを飲み込み、一人にしてくれるよう願った。
 彼女は確かに一人にはしてくれたが、それはボウル全体を空にしてからのことだった。
 僕は吐き気がした。
 食事を終えたとき、母は厳しい口調で言った。
「もしダイエットをごまかしているのがわかったら・・・いいえ、そんなことをしても絶対にわかるわよ。その時は、カッテージチーズよりずっと気持ちの悪いものでダイエットをすることになるわよ、いいわね。」
 
 僕は不機嫌そうに頷いた。その日はもっと悪い方向へと向かっていった。
 僕は部屋に戻りたいと思い、立ち上がったが、母は別の考えを持っていた。
「どこに行くつもり?」彼女は腰に手を当てて、詰問した。
 
 僕は身体をすくめ、部屋の方を見やった。
 
 彼女は僕の耳を掴むと、荒々しくキッチンへと連れて行った。

「オウッ、痛いよ! 止めてよ、お母さん!」
 母は僕の叫びを無視した。
「あなたには女の子としての空想を実現するための貴重な機会が待っているのよ。ワクワクするでしょ? あら、違うの? でも、残念だけど、あなたには選択の余地はないわ。あなたは、女性として着飾ったり、行動したりすることはジョークで見せかけのおかしなゲームだと思っているのでしょう。でも私がこれからあなたにやらせることの後でも、まだ笑っていられるかどうか見てみたいのよ!」
 
 母は、引き出しからある物を取り出した。それはフリルの施されたピンクのバカげたエプロンだった。
「あなたように可愛い男の子は、いつの日か逞しい男性の妻になるに違いないわ。だから、主婦がどんなものか学んでおいた方がいいのよ。」彼女はバカにした口調で言った。
 母は慎重にエプロンを整えると、僕の髪に帽子をピン留めした。
 彼女はバカげたピンクのゴム手袋も付けるように言い張った。
 僕はおかしな感覚だったし、滑稽な姿だった。

「出来たわ!」母は満足そうに笑いながら声を上げた。ずっとよくなったわ。」
「お母さん」僕は悲しげに言った。
「お願いだよ、こんなことさせないでよ。これじゃまるで・・・」
「女の子みたい? お嬢様みたい? バカバカしい? でも、それこそが目的なのよ、プリシラ。何か問題がある? もしかしてそのエプロンでは女らしくないかしら?」
 
 無駄だった。母は僕の言うことなど気にも留めていなかった。
 彼女は何のことを話しているんだろう?主婦だって?気でも狂ったのか?
 
 母は、僕にテーブルを片付けさせ、夕食の皿洗いをさせ、これまでずっと母やマーガレットがやって来た仕事をやらせた。
 マーガレットは僕が働いている間、ずっと嘲りの言葉を投げかけた。

 最後に仕事を終え、バカげたエプロンを脱ぎ始めると、母が咳払いをした。
「最初にしては上出来だわ。でも、次回は心からの微笑みが見たいものだわ。これは強制女性化で、あなたはその中で暮らして行くことになるの。もう見せかけはたくさんだわ。さあ、お辞儀をして許しを請いなさい。微笑みも忘れずにね!」と彼女は強く言った。
 
 僕はそれに応えようとした、でも一体お辞儀なんてどうやってやるのだろう?

「違う、違うわ。 こういうふうににするのよ。」
 母は、完璧な女の子としてのお辞儀をして見せた。
 僕は、彼女の気が静まることを願いながら、半ばいい加減な気持ちで、それを真似てみせた。
 僕の哀れな試みが面白くなかったのか、彼女は命令した。
「今すぐ私の部屋に行って、一時間練習しなさい。外から見えるようにドアは開けておくのよ。姿見を使って、微笑みも忘れてはダメよ。もし忘れたりしたら、さらに一時間延長よ。」

「おかあさん、お願いだよ。僕は本当に疲れてるんだ。あの刑務所で僕がどんな目にあったか想像も付かないと思うけど、とにかくひどかったんだ。」と僕は嘆願した。

 母は無感動だった。
「もちろん、ひどかったでしょうね。だって、そういう所だもの。だからもしあそこに戻りたくないなら、言われたことを言われたときにすることよ!」
 母は僕の腕を掴むと、まるで悪いことをした子供にするように、僕のお尻を叩いた。

「わ、わかりました、言うことを聞きます。」
 僕が母の命じたことをやろうとすると、マーガレットが母のベッドで横になった。
 僕は、母が聞こえないことを確かめると、怒って言った。
「このくそガキ!僕はあの少年施設で殺されかけたんだぞ! ダイエットだって? 主婦だって? こんなのやりすぎだろう。お母さんに本当のことを話せよ!」
 僕は脅迫しようとしたが、フリフリのエプロンと帽子姿では無理だった。

「まあ、プリシラ。あなたって、本当にオバカさんなのね!」
 マーガレットは歌っているような声で言葉を続けた。
「あなた、まだわかってないみたいね。今やあなたは私のおもちゃなのよ。私を喜ばせるだけのね。」

「お願いだ、マーガレット。こんなこと間違ってる! 僕は女の子にされるつもりはない。」
 
 彼女は私の元に歩み寄ると、エプロンのフリルを弄び、ニッコリと笑った。
「女の子じゃないわ、プリッシー、Sissyよ。オバカでとんでもないSissyだわ。弁護士のプロクターさんがそのアイディアをくれたの。すべてはSissy Misterで手に入れたあのDainty and Delicate 錠剤のおかげ、後のことは知っての通りよ。私こんなにうまくいくとは思ってもみなかったわ。あなたが刑務所の女王様と遊んでいる間に、プール博士はお母さんに『強制女性化』セミナーへの出席を推奨した。最初、お母さんは本当にがっかりして、ショックを受けていたわ。わたしあんなに泣いているお母さん見るの初めてだったもの。彼女はあなたが『真実』を話してくれなかったことに腹を立てた。その上、プール博士は、あなた方Sissyは実際には本物の女性、特に母親をバカにしているということを何度も何度も話したの。週の終わり頃にはお母さんもあなたを女性化することを心から願うようになっていたわ。」マーガレットはクスクス笑った。「お母さんはきっと、仕返しするつもりよ。」
 
 くそっ!
 とんだことに巻き込まれたものだ!
 僕はマーガレットの返事に打ち負かされ、肩の力を落とした。
 
 彼女は笑った。
「あなたの可愛いお辞儀もずいぶんよくなったけど、何か少し足りない気がするわ。」彼女は興奮した口調で言った。
「お辞儀するときに、微笑んで『私、Sissyでいることが大好きなの!』って言って欲しいんだけどな。」
 この時点で僕はすっかり疲れ切っていて、イライラしていて、完全に腹を立てていた。
 僕はマーガレットに遣りたい放題の満足感を味合わせるつもりは毛頭なかった。
 僕は男だぞ、クソッ!
 男は絶対にお辞儀なんてしないものだ!
「そんなことクソ食らえだ、マーガレット!」僕は言い放った。

「おかあさ~ん!プリシラったら、悪い子なのよ。」マーガレットは笑いながら叫んだ。
 残念なことに、母はすぐに姿を現した。

「何かあったの?」彼女は僕を見ながら厳しい口調で言った。
 
 僕は、まるで1000回目であるかのように、出来るだけ心を込めてお辞儀をした。口元には鏡に映る屈辱的な姿への涙を覆い隠す微笑みが浮かんでいた。
「私、Sissyでいることが大好きなの!」
 僕は夢中だった。敢えて止めることはしなかった。
 実際、母はマーガレットが持ってきたピンクの乗馬鞭で僕を鞭打った。
 それは本当に痛かった。    
 彼女は、僕が泣き出し、「いい娘」になると言うまで止めなかった。
 恥ずかしいことに、彼女はマーガレットにも何回か鞭打たせた。
 僕は何時間も練習させられ、その間、彼らは僕の演技を批評した。
 ついに終了を許可されたとき、僕はベッドに倒れ込み、精神的にも肉体的にもボロボロだった。
 一体どうしたらお母さんに本当のことをわかってもらえるんだろうか?

 (続く)


〔注〕
(*3)Little Bo Beep  マザーグースからの童謡で「ちっちゃな羊飼い」という日本語題があるようですが、サテンは知りません。ご興味があれば、You Tubeなどでも見つかりますので、聞いてみてください。
(*4)ボンネット(bonnet) 赤ちゃんや女性用の顎にヒモをかけて止める帽子です。学芸会の女の子役としての衣装の一部だったのでしょう。
(*5)butch cow 「butch」は元々レズビアンの男役(いわゆる、タチです)を意味する語ですが、一般的にはレズビアンではなくてもいわゆる男っぽい女性を指します。cowは言うまでもなく雌牛のことで、二語合わせて、「男っぽい女性」くらいに捉えておけばいいと思います。
(*6)bitch 第一義としては雌犬の意味ですが、転じて「意地悪な女」→「あばずれ女」など意味に拡がり、「女友達」(ほとんどは性関係を伴う)を称する場合もあります。本文では女性刑務所のリーダー格の女の子のレズパートナーにされたくらいの意味です。ちなみに日本語でも「性悪女」を「ビッチ」などと言いますが、この単語のことです。
(*7)1号サイズ  アメリカでの婦人服サイズの表記法です。基本的にはアメリカサイズ+5が日本でのサイズです。ですから、1号サイズは日本風に言えば、6号(偶数はないので実質的には5号か7号ということです。)ということで、これはかなり細くて小柄な女性用のサイズです。
  

Priscilla's Perils(翻訳) その1

〔プリシラの危難〕

 思い返してみれば、僕が犯した最も大きな間違いは妹のマーガレットを甘くみていたことだった。彼女のずるがしこさ、凶悪性、巧みさを私は過小評価していたんだ。それは両親の離婚中の親権争いから始まった。父が秘書であるアンジーと再婚するために母親を捨てて出て行った後、僕は父に一緒に住まわせてくれるように懇願した。家に父なしでマーガレットと一緒にいることは僕には耐えられなかったからだ。僕は母のことが大好きだったし、母も僕のことを本当に愛していた。でも父と僕は最高の仲間だった。僕たちはあらゆることを一緒にやった。球技、釣り、徒歩旅行、いろいろな仕事など。僕は大きくなったら父のようになりたいと思っていた。だから僕は両親に言った。男として一緒に住んでいる男性の権威者の指導が必要なんだと。

 僕は母が僕の親権を持つことにそれほど執着しているとは思わなかった。母は僕に、それは僕を愛しているし、父のようになってほしくないからだと言った。彼女は自分の「小さな男」をとても誇りに思っていた、そしていつも僕のことを自慢していた。でも、母はたぶん自慢しすぎだったのだろう。何故って、母が僕のことをどんなにに完璧な息子なのか、そして将来どんなに偉大な男になるかを繰り返し話したりするのを、母の友人や近所の人が目を丸くしてそれを聞いているのを僕は時々目にしたからだ。

 母はとても心配していたので、プロクターさんという意地の悪い女弁護士を、親権裁判の代理人として雇った。僕がその弁護士のことを嫌っていることは弁護士自身も知っていたと思う。なぜなら彼女は僕に親しげなふりすらしなかったからだ。
 一方彼女とマーガレットはすぐに友人になったようだ。彼女はいつもマーガレットに、なんて賢い子なのか、そして自分の若い頃をどんなに思い出させてくれるかを何度も何度も話していた。マーガレットと女弁護士は、母がそばにいない時でさえ、何度も囁きあったり、クスクス笑いあったりしていたのである。どんなことについても。

 その夏の審理前のこと、マーガレットはすっかり手に負えない状態だった。彼女に自分の立場をわからせる存在だった父がいないことで、彼女は耐え難い存在になっていた。彼女は陰に隠れて僕を困らせるようになった。まるで僕が彼女の個人的な奴隷か何かのように。
 さらに彼女は母に、僕にも彼女の仕事の一部、たとえばクリーニング屋に母のドレスやスカートを出しに行ったり、受け取ったりといったような仕事をやらせるように言ったんだ。僕はクリーニングされた女性らしい衣類の受け渡しをしている一人の馬鹿者のような気分だった。クリーニング屋にいる女性達は「あなたのドレスっていつ必要なの?」とか「きっとこれ着たら可愛らしく見えるわよ。」とか「このドレス、あなたの年齢の男の子にはちょっと洗練しすぎてない?」とか「きっとあなたのボーイフレンドはこれを着たあなたを気に入るわよ。」とか言うのが本当に楽しいことだと思っていた。
ハハハ・・・本当に滑稽な話さ。僕はからかいの言葉を無視しようとしたけど、それは本当に恥ずかしかった。さらに悪いことには、僕はいつも真っ赤になってしまって、それがもっとからかわれる原因になったんだ。

 父が周囲にいた時は、マーガレットにくだらないことを絶対にさせなかった。でも彼がいなくなった今、彼女は本当にエスカレートしてしまった。母はそれに気づいていないようだった。と言うのも、母は離婚のなんだかんだで忙しすぎたんだと思う。僕は文句を言っても仕方ないと思った。だって、母はびくびくするのはやめなさいと言うだけだろうから。
 ああ、そうそう、そんなこんなで少なくとも学校が夏休みに入ったんだ。 

 数日後、僕がビデオゲームをしていると、マーガレットとその行儀の悪い友達の一団が僕の部屋にいきなり入ってきた。驚いたことに、彼女はそのまま歩いてきて実際にソケットからコードを引き抜いた。

「おい、お前、一体何してるかわかってるのか?」

「ご参考までに言うけどね、お馬鹿さん。私と友達が音楽を聴こうと思ってるの。あんたのくだらないゲームがうるさいのよ。」

 マーガレットの友達は僕の反応を待ちながら、すこし緊張しながらクスクス笑っていた。 「このくそったれ!」僕はきつく言い返した。

 マーガレットはただ微笑んでいるだけだった。彼女は子供っぽい声で言葉を続けた。
「あら、プリシラ。それがヤングレディにふさわしい話し方かしら?」
 友達の笑い声が、クスクス笑いから、けたたましい大笑いに変わった。
 何年か前、父が仕事で町を離れていた時、僕はマーガレットがしたことで母に不平を言ったことがあった。母は何も考えずにそんあ小さな女の子みたいな振る舞いはやめなさいと言った。マーガレットは僕がその言葉をとても恥ずかしく思っていることにすぐに気づいて、僕を怒らせたいと思うときはいつでも「小さな女の子」と呼び始めたんだ。さらに彼女は僕への恥ずかしいニックネームとして「プリシラ」という名を思いついた。その馬鹿な名前で呼ばれることがどんなに僕を怒らせるか彼女にはわかっていたんだ。

 恥ずかしいことに、僕は顔が真っ赤になったのがわかった。
「だまれ、マーガレット!」
「まあ、プリッシー、怒ってはいけないわ。私が何をしたらいいか教えてあげるから。私のお古のバービー人形を持ってきてあげるわ。そしたらお人形遊びができるでしょ?あなた、お人形遊びするといつでもとってもいい気分になるものね?」
 マーガレットの友達はますます大きな声で笑った。当然のことながら、僕の顔はますます赤くなった。僕はついにキレた。僕は遊び場での乱闘には慣れてたから、どうしたらいいかわかっていたんだ。僕は簡単に妹の腕をつかんで、後ろにねじ曲げた。 彼女は苦痛のためにひるんだ。

 僕はもう少し思い知らせてやろうと思った。
「誰が女の子だって?ええ?言ってみろ。ほら、聞こえないぞ」

 マーガレットは憎しみに顔をしかめながら、ただ僕を睨み付けた。僕には彼女が怒っているのがわかった。それで、これは認めなければならないことだけど、彼女の表情は少しばかり僕を怖がらせた。彼女には友達の前で恥をかかされたことが耐えられなかった。僕は彼女の腕をねじり上げたまま、ドアの所まで進み、友達がすでに待っている玄関先へと押しやったんだ。僕は彼女にそんな乱暴な振る舞いをしたことにある種の後悔があったけど、それはあくまで彼女が招いたことだ。何はともあれ、そのことは効果があったと思う。と言うのも、マーガレットとその友人たちはその日最後まで僕のことを放っておいてくれたからだ。
   
 その後、どこか様子が変わっていた。それまでマーガレットは、僕がちょっと間違っただけでも、いつだって告げ口をしていた。ところが今度はそれについて何も口にしなかった。
 それからの数日間、僕は彼女とあまり顔を合わせることがなかった、と言うのも彼女が明らかに何かをするのに忙しかったからだ。僕が彼女と顔を合わすとき、たとえば食事時のような場合でも、彼女は僕のことをじっと睨みつけるだけだった。そのことは僕を不安にさせた。
 そしてある日とうとう彼女は僕に話し始めた。でもそれは何か変だった。彼女は僕に対して本当に甘ったるいそぶりを見せたんだ。それはもう気持ち悪いくらいだった。

「ねえ、お兄さん、何かあげましょうか? もう一枚クッキーはどう? 
 ねえ、ピーター、テレビで野球やってるわ。私がつけてあげましょうか?」

 僕は彼女が何かしようとしているのはわかったけど、それが何なのかはわからなかった。それに僕にはそのことを心配している暇はなかった。なぜならひどいインフルエンザか何かで寝込んでしまったからだ。僕は真夜中にひどい胃痙攣と割れるような頭痛とで目を覚ました。それで朝食の時に僕は母に病状を告げたんだ。

「お母さん、気分が悪いんだよ。胃が痙攣するし、全身筋肉痛だし、全然力が出ないんだよ。」

 母は僕のおでこにさわると、「お母さんには元気そうに見えるわ。熱もないみたいだし。アスピリンでも飲んで、2,3日休みなさい。きっと大したことないから。」と優しく言ったんだ。

 そうしたらマーガレットが甲高い声で叫んだ。「私には原因がわかるわ。プリシラは『女の子(生理)』になったのよ。それってすごくない?」
 少なくともマーガレットは普通に戻ってたってことだ。   

 母とマーガレットがキッチンでクスクス笑ってるのを後にして、僕はベッドルームに戻り、それからの数日間はベッドでじっとしていた。僕は完全に情けない状態だった。ほとんど身動きが取れないってことは最悪だった。毎日、マーガレットは僕の部屋に立ち寄って中をのぞき込み、にっこりと悪そうな笑みを浮かべた。僕はその笑みが徐々に怖くなり始めていた。
 その内母も心配し始めた。だけど、母が医者に電話しようとした同じ日に、僕はかなり気分が良くなってきて、頭痛も痙攣も収まって、元気も回復した。そして筋肉の痛みもなくなったんだけど、弱くなった感じは残っていた。僕にはそれがなんだかよくわからなかったけど、とにかく何か「おかしな」感じだけはしていたんだ。

 その日の午後、僕は友達とバスケをするために近所の公園に行った。マーガレットと離れて外出できるというのがなにより最高な気分だった。でも、親友のジェフが僕にボールを投げた瞬間、何か悪いことが始まったんだ。

「おい、ジェフ、このボールどこから持ってきたんだよ? 鉛みたいに重いじゃないか。」

「何言ってるんだよ。いつも俺たちが使ってるのと同じボールじゃないか。」

 僕はジャンプシュートをしようとしたが、それはバスケットボールではなくボウリングのボールを投げているみたいだった。ボールはバスケットから3フィートも手前に落ちた。「お前たち、わからないのか? このボールなんか変だろう? 」

 僕は仲間たち全員がボールには全然変なところはないと断言するのを聞いた。僕にはそれがわからなかった。
 それから、僕たちがいつものピックアップゲームを始めると、近所の女の子達がやって来て、観客席に腰掛けた。僕は同じクラスのスージー・ジョンソンに手を振った。彼女は本当にイカしてた。それに彼女が僕に気があるらしいことも人づてに聞いていたんだ。
 だから、今回は僕の運動能力を見せて、彼女を参らせるには絶好のチャンスになるだろうと思っていたんだ。

 30分後、ゲームは終わった。 
 僕のチームは負けた、僕一人のせいで負けてしまったんだ。
 僕のシュートはバスケットに近づくことさえなかったし、ディフェンスの時には彼らはまるで僕がそこにいないかのように押しのけた。
 僕にはチームメイトたちががっかりし始めてるのがわかった。
 相手チームの奴らは僕のことを馬鹿にし始めた。
「すごいシュートだったなぁ、ピーター。多分、あと2,3年もすれば、りっぱな少年になって実際に縁までボールが届くようになるさ。」
 観覧席から見ていた少女の一人が意地悪く言った。
「あらまあ、ピーター。私女の子だけど、もっとうまくできるわよ。」
 彼らは皆面白がり、ベッキー(僕に声をかけた少女)に、僕がガードしていた奴の変わりをさせた。
 今や他の少女達が皆応援してくれていることを嬉しく思ったベッキーは、僕のことをからかった。
 彼女は僕のシュートをブロックし、簡単に押しのけ、リバウンドボールを取ると、まるで僕がそこにいないかのように得点を上げた。
 さらに悪いことには、彼女は常に嘲りの言葉を続けた。
「あらぁ、ピーター、あなた多分、向こうで私の妹や彼女の友達と石蹴りでもしているほうがいいわよ。あちらならあなたのスピードは速いほうよ。でも、押し込まれないようにしなくてはダメよ。彼女たち時々とっても乱暴になることがああるからね。」と彼女はバカにした。
 皆が笑ったので、僕は姿を消したかった。
 あのスージーでさえ笑っていた。
 僕がコートから離れたとき、彼女の顔には失望の色が浮かんでいた。

 翌日、マーガレットの友達がやって来て、いつものようにラケットボールをやった。
 彼らが午後、裏のプールに行こうとしていたのは明らかだった。マーガレットとの間の「デタント」(緊張緩和)は明らかに終わっていた、というのも、彼女は、クスクス笑っている「親衛隊」を引き連れて、部屋に入ってきたからだ。

「ねえ、プリッシー、私たち、午後プールのそばで女の子だけの時間を過ごすつもりなの。で、当然、最初に思いついたのがあなたを招待することだったの。」と彼女はニヤニヤしながら言った。

「くそったれ!」僕は怒鳴った。「部屋から出て行け」
 僕は彼女の戯言につき合う気分ではなかった。

「あなた、自分が男らしい男だと思ってるの?私はそうは思わないわ。」と彼女は挑発した。彼女は両足を広げ、腕を組みながら、部屋の中央に立った、口もとには冷笑が浮かんでいた。
 公園での恥辱的な出来事の後、僕は身体に起こっている異変が何なのかわかるまでは、マーガレットとの決着を付けたいとは思わなかったのだが、彼女は何の選択の余地も与えてはくれなかった。
 僕は2,3週間前の勝利が繰り返されるだろうと思いながら、彼女の腕を掴んだ。だが、触れた瞬間マーガレットは回り込むと、私の腕を掴み、背中で簡単にねじ曲げた。
 それは気が狂わんばかりの痛みだった。僕は無力だった。
「やめろ、マーガレット! 痛いじゃないか」
 僕の顔は痛みで歪んだ。

「もちろん、痛いはずよ、プリッシー、あなた覚えてる? それを私にしたのよ。ただ、私はその時小さな女の子みたいに泣きはしなかったわ。」

「僕は、泣いてない・・・オオウッ!」僕は悲鳴を上げた。
 マーガレットは僕の腕をねじ曲げると背中高く引き上げた。耐え難い痛みだった。
「止めろ、止めてくれ!」
 僕はつま先立ちになって痛みを和らげようとした。それは非常な痛みだったが、自分自身がマーガレットに離してくれるよう頼んでいるのに気づき、僕はうろたえた。
 僕はマーガレットや彼女の友達の前で屈辱を味合わされていることに気が回らなかった、痛みがあまりに大きかったのだ。

 彼女の友達が僕の苦境に手を叩き、笑ったとき、マーガレットが声を上げていった。
「今日の午後、いい娘にしてると約束なさい。」と彼女は甘い口調で言った。
 僕の腕に邪悪なひねりが加えられた。

「約束するよ。」と僕はやっとの思いで言った。

「みんなに向かって言いなさい。」と彼女は命じた。

「き、今日の午後・・・いい娘にしてるって、約束・・・します。」
 僕は屈辱的な言葉をかろうじて口にした。
 慈悲深くも彼女は僕の腕を放してくれた。

「事実を認めるとホッとするんじゃない?」と彼女はバカにして言った。
「あんたはとんでもないSISSYに過ぎないってことよ。」と彼女はしたり顔で吐き捨てるように言った。

 友達が指さし笑ったとき、僕はどんどん怒りがこみ上げてきた。
 激怒が痛みを上回り、僕はもう一度、彼女に挑みかかった。だが、マーガレットは僕を掴むと縫いぐるみ人形のように床に投げ飛ばした。
 それから彼女は私を引っ張り上げると、ガッチリと首がためをした。彼女はまるでひと晩のうちに10倍強くなったかのようだった。
 僕は絶望感に襲われ、目に涙が浮かぶのを感じた。
「僕に何があったんだ?」僕は声に出して言った。

 友達が声を上げて笑った時、マーガレットは僕をベッドに押しつけると、人差し指を頬に当て考えている振りをして見せた。
「ええ、不思議よね。言いにくいけど、もしかしたらここ2,3週間の間、私があなたの飲み物に溶かしていた『Dainty and Delicate』錠剤(*1)と何か関係があるかもしれないわ。」
 
 少女達は僕の怪訝そうな表情を見て、声を上げて笑った。
 明らかに彼女たちは内側に秘密を隠していた。

「何のこと言ってるんだ?」

「『Dainty ande Delicate』よ。文字通り、それがあなたの今の姿よ。私のおかげでそうなれたのよ。ヒース、彼に瓶のラベルを呼んであげて。」

 まるで見せかけの儀式のように、ヒースは背後から大きな瓶を引っ張り出し、テレビアナウンサーのような声で読み始めた。
「新進のフットボールスターでさえ、私どもの新しい筋肉喪失剤を使えば、華奢でか弱い子になります。あなたのSISSYを支配することは、彼に以前の力がわずかしか残っていなければ簡単なことです。SISSYの筋肉が消え、半分の年齢の少女の力しかなくなってしまう姿を目にする時の楽しい時間を想像してみてください。間もなく元スポーツマンはあなたのどんな気まぐれな要求にも従属する脆くて可憐な花になるでしょう。SISSYに30錠をすべて飲ませてください、そうすれば彼は『Dainty and Delicate』になります・・・一生涯!」
 ヒースが読み終えた時、少女達は声を上げて笑った。
 
 僕の心は混乱し、我が耳を疑った。
「何てこと・・・お前は嘘を付いているんだ。そんなの本当なわけない。第一、誰がそんなもの売るんだよ?」
 
 マーガレットは陽気な口調で言った。
「あら、プリシラ、あなたツイてるわ。それは、ダウンタウンにあるとっても魅力的な可愛い所よ。『Sissy Mister』(*2)という名前のね。それは男の子をSissyな女の子にするための何でも揃ったお店なの。プロクターさんが私に勧めてくれたのよ。」
 
 彼女は睨み付けるように僕を見た。
「実際にはこれは単なる始まりに過ぎないけどね。」と彼女は満足そうに言った。
「お父さんの目の届かない間に、私はあなたをプリシラに変えるつもりよ、永遠にね。それに一番良いのはあなたが私を止めるために何もできないってことよ。」と彼女は笑みを浮かべると、僕の頬を強く抓った。

 僕はあまりのショックに何も言えなかった。
 こんなバカなこと! こんなこと本当なはずがない!
 彼女は僕をからかっているに違いない。
「信じられないの? うん?」と彼女は僕の心を読んだかのように言った。
「どうやらちょっとしたデモンストレーションが必要なようね。腕相撲でいつも私のこと負かしていたこと覚えてる?」
 
 もちろん、覚えていた。僕は、マーガレットが僕に決して体力面で適わないことを実感したときに見せる。打ちひしがれた表情を見るのがいつも楽しみだった。
 僕は自分の感情が奇妙になっているのも気にならなかったし、腕相撲で彼女を打ち負かすのだということもわかっていた。
 彼女は友達の前に現れると、自分の位置についた。僕はテーブルの上を片づけ、歯を食いしばり、右手を宙に突きだした。僕は生意気な妹に後悔させるつもりだった。 
「よし、やろう」僕は怒って言った。

「これは面白いことになりそうだわ!」マーガレットはクスクス笑った。
 数分の後、僕はベッドで横になり、メソメソ泣きながら肩をさすっていた。マーガレットは僕を打ち負かした。実際には大した力も入れないまま。
 それから他の少女達も皆順番に『sissy打ち負かし』に参加した。彼らは好んで僕を弄んだ、つまり最初は僕の勝てると思わせるのだが、次には僕の拳を簡単にテーブルに打ちつけた。
 ヒースは容赦なくからかった。
「まあ、プリシラ、私の五歳の妹でももっと強いわよ。ほら、せめてもうちょっとがんばってよ。」と彼女と嘲笑した。  
 僕は歯を食いしばり、懸命に試みたが、無駄だった。
「あなたには家の周りに逞しい男性が必要になるんじゃないかしら?」ヒースはバカにして言った。

 一体僕に何が起こったんだろう?
 まるで筋肉が全くなくなってしまったようだ。
 僕はとても弱く、そして無力だった。
僕は、マーガレットや彼女の他の友達が皆、自分よりも強いということを知り、恐怖感が襲ってきた。
 バカな少女の一団だ!僕は完全にマーガレットの意のままだ!
 僕は人生で初めて本当の恐怖を感じた。

 少女達は皆、僕の完全なる敗北に喝采を上げた。
 彼らにとって少年を物理的に支配できる経験は滅多にないことだ、まして年上の場合ならなおさらだ。彼らがその経験を楽しんでいるのは明らかだった。

 ヒースが興奮気味に言った。
「彼をこの後もずっとこうしておくのよね?つまり、永遠に?」
「何考えてるの?バカね。もちろんそのつもりよ。気の毒だけど、ママとパパの自慢の息子が永遠に姿を消すのよ。」と彼女は笑った。
「瓶の中にまだ2,3個カプセルが残ってるわ。もう彼も知ってるんだから、食べ物の中に隠す必要はないわ。錠剤を一つちょうだい、ヒース」
 彼女は僕から視線を外さずに手を突き出した。
 
 僕は彼女が蛇でも持っているかのように後ずさった。
 永遠? 華奢でか細く?
「マーガレット! 本当なわけないよね。僕は男だ! 僕の人生が台無しになってしまうよ。もうどんあスポーツもできなくなっちゃうよ。そんなことできるわけないよね。だって法律違反じゃないか! お母さんやお父さんに言うまで待ってくれ! お前は頭がどうかしてるんだ。」
 僕はパニックだった。こんなことを起こるはずがない。逃げ出さなければならない。

 僕は部屋から走り出ようとしたが、少女達は笑いながら僕を捕まえると簡単に動けなくした。微笑みを浮かべながら、マーガレットは僕に口を開けるよう合図したが、僕は顎に力を入れて噛みしめた。彼女は忍び笑いをしながら、簡単に僕の鼻をつまむと、苦しくて口が開くのを待った。それから彼女は笑いながら錠剤を喉に落とした。
 僕は窒息をしないようにそれを飲み込んだ。少女達はそれを確認すると歓声を上げ、錠剤を吐き戻そうと空しい努力をする僕を笑った。

 僕は完全に打ち負かされた。
 僕にはマーガレットが本当のことを言っているのかどうかわからなかった、ただ、僕が弱く儚くなったことに疑う余地はなかった。
 少女達が、「他の女の子たち」に合わせるには僕にはいくつかの変化が必要だと決めたとき、僕にはそれが何なのか考える時間はなかった。
 最初にパムとジャニーが僕の服を脱がせた。完全にすべてだ。
 僕は懇願したけど、それは無駄だった。
 もちろん、少女達は僕の「もの」のサイズをみて大笑いした。
 僕は常に自分でもそれについては意識していたのだが、今や妹にも彼女の友達にも知られてしまった。

「あなたが彼をプリシラと呼ぶのは当たり前だわ。この哀れな子は実際男の子というより
女の子と言った方がいいもの。」
「わたしもこんなに小さいなんて知らなかったわ。」
「こんなので、女の子はどうしたらいいわけ?」

 彼らは例のsissyストアから手に入れたヘアリムーバーを使って、僕の脇の下と脚からすべてのむだ毛を脱毛した。
 ヒースはそれを使って、僕の恥毛を女の子のように整えた。
 それらを流し終えた後、僕はすっかりスベスベになった。それはとても堕落した思いだった。
 
 ものすごい女性用水着が次に控えていた。あのsissy ストアからのツーピースの怪物だった。それは黒でできていてウエスト周りを白いリボンが飾っていた。
 マーガレットは僕の「もの」を両脚の間に入れさせた。彼らが水着の下を引き上げたとき、僕は泣き出したかった。僕の前は真っ平らで、女の子のそれと同じようだった。
 次は上だった。それは二つの大きなカップとその間の白いリボンからできていた。僕が愚かにもどうして上がそんなに大きいのか聞いた時、彼らはみなバカ笑いした。
 ベティは二つの巨大なフェイクのおっぱいを引っ張り出し、カップの中に詰め込んだ。 今や僕は、胸から飛び出す一組の大きな女性魚雷を持っているように見えた。それは重くて、僕が動くときにはいつでも巨大なカップの中で上下左右に揺れ動いた。

「まあ、プリシラ!なんてりっぱな女の子かしら!」
 マーガレットは笑い、フェイクの乳房を両手で持ち上げた。

 リボンの付いたバカバカしいほど薄い上着とハイヒールのサンダルで僕の恥辱は完璧に揃った。
 それから少女達は僕を一階に引っ張って行った。彼らは本当に僕をこんな姿で外に出そうと考えたんだ!
 僕は、恥ずかしい服装で外に出ることをを思うとパニックになり始めていた。
「マーガレット!外なんか出られないよ。もし誰かが見たらどうするの?近所の人だってプールが見えるんだよ。こんなこと本当にするわけないよね! 止めてよ! お願いだよ!」

「そんな芝居がかったこと止めなさい、プリス。可愛いsissy姿を人に見られることに慣れた方がいいわ」
 彼女とヒースは僕の腕を掴んだ、そして望みのないもがきをしてみたけど、簡単に僕をプールまで引っ張っていった。

 その日の午後はずっと、和らぐことのない恐怖だった。僕は隣人の一人に見られるのではないかと常に心配だった。僕はクラビッツさんの庭で誰かの声がするのを確かに聞いた気がした、でも僕が見たときには何も見えなかった。少女達は騒々しく笑い合い、僕の朝の恥辱を何度も何度も話した。
 それから写真の時間が始まった。彼らは事前に何が行われるか知っていたに違いない、なぜなら彼らは皆デジタルカメラを持参していたからだ。彼らは交代で僕にポーズを取らせたけど、それは常に恥ずかしいポーズだった。
 マーガレットは「可愛い女の子のように」微笑みなさいと言ったが、僕は断った。彼女を満足させる気なんてまったくなかった。でもそれが彼女の支配を示すための別のデモンストレーションをもたらすこととなった。彼女は片腕で僕を掴むと丸めた雑誌で星が見えるまで股間を何度も叩いた。僕の睾丸はまるで誰かに蹴られたかのような感覚だった。

 結局、僕はすべての写真に間抜けな薄笑いを浮かべながら写ることになった。
 僕の微笑みが消えそうになると、さらなるお仕置きが待っていた。  
 僕は走って逃げることを考えたけど、とても弱くて、遠くまでは行けないだろうと思った。
 しかもこんなSISSYの服装でどこに行ったらいいというのだろう?
 もしも他の誰かがこのような姿を見たら、僕は死んでしまうだろう。
 最後に少女達は僕に日焼けローションを厚塗りして、ラウンジの椅子で午後ずっと日焼けをさせた。少なくとも彼らは僕を一人にさせた。
 僕はこの苦境から抜け出す方法を必死になって考えようとしたが、残念ながら見つけ出すことはできなかった。僕のたった一つの希望は、これがすべて冗談か何かであり、少女達が楽しんだ後で、マーガレットが僕に本当のことを告げてくれることだった。 
 少女達が僕の様子を見て大笑いしたとき、僕は無力感に襲われた。それは耐え難いものだった。僕が嗚咽し始めると、少女達はより一層大声で笑った。

「まあ、かわいそうな娘。泣かないで。絶対にあなたをりっぱなSISSYにしてあげるからね。」

 日光浴の後、少女達の指示で僕はキッチンから物を持ってくるのに忙しくなった。
 彼らは僕をこき使うこと、そして僕がとんでもないハイヒールサンダルで歩くのを眺めることがとても楽しかったらしい。
 歩くたびに「僕の」オッパイは上下に揺れ、ハイヒールで躓かないように、上品な小さなステップでしか歩くことができなかった。
 僕が、バカげたヒールでバランスが崩れないよう集中しながら、飲み物の乗ったトレイを持ってキッチンから出ようとしたその時、母親とぶつかってしまった。
 彼女は口をぽかんと開け、僕の姿を頭の先からつま先までゆっくりと見た。
 僕が母を見てホッとしたのは、自分がどんな服装をしているか思い出すまでの事だった。
 僕は母がとんでもない服装を見ているのがわかり、とてつもなく恥ずかしかった。 
僕たちのどちらかが口をきくのにしばらくの時間が必要だった。

「ピーターなの?これは一体どういうこと?」彼女は狼狽しながら言った。
 彼女は目を丸くして僕を見つめた。その顔には失望と嫌悪がはっきりと刻まれていた。
「買い物で数時間家を出ている間、帰ってみたら、まるでSISSY水着ギャルみたいに着飾っているあなたを見た。しかも、ここにはとっても大きなオッパイまでつけて。」
 彼女は吐き捨てるように言うと、僕の胸を指さした。
「一体いつからこんな・・・女の子みたいな服を着るようになったの?」と彼女は言った。その声は感情に押しつぶされそうに聞こえた。
 
 くそっ!
 母は僕が自分からやったことだと思ったんだ。きっと、僕をオカマかなんかだと思ったんだ。「お母さん、違うんだよ!」僕はどもりながら言った。
「マーガレットがやったことなんだ!あいつがこれを僕の食べ物に入れて、それで・・・それで・・・そのせいで僕が弱くなったんだ。 それからお母さんが外に出ている間にマーガレットとあいつのバカな友達が僕にこんな服を着せたんだよ!」
 
 母は、集まった少女達の様子をじっくりろ眺めた、だが、彼女たちの顔には訓練済みの純粋な無邪気さが浮かんでいた。マーガレットはどういう言葉を言うべきか明らかに準備済みだった。
 ヒースが怒って声を荒げた。
「もう~、ピーターったら。せめてお母さんには本当の事を話しなさいよ。あなたが、「一人の女の子」でいられるように、自分からそんな女の子っぽい水着を着て、それを秘密にしておくように私たちを脅したんでしょ。あなたの変態的な秘密を私たちのせいにしないでよ!」
 他の少女達も同様の様子で怒りの声を上げた。
 ちくしょう! マーガレットが全部計画した事だったんだ!

 母は僕を見た、彼女の顔には不信と嫌悪が入り交じっていた。
 彼女はSISSYの上着の襟に触れ、僕の姿を頭の先からつま先までじっと見つめた。
 とうとう彼女は咳払いをすると、瞼を拭いて、落ち着きを取り戻そうとした。
「あなたは家に戻ってその可愛い水着を着替えた方がいいわ、ピーター。」
 
 僕は喜んで部屋に走っていった。ただ、マーガレットや彼女の友達の中に母を一人残すのは嫌だったが。少なくとも僕はマーガレットから離れ、バカげた水着から解放された。
 でも、屈辱は終わらなかった。僕が恥ずかしい水着を脱ぐと、はっきりとした水着跡が残っているのがわかった。
 女の子のビキニの跡が僕の肌に刻まれたんだ!僕はSISSYとして記されたんだ!
 
 マーガレットの友達が帰った後、僕は母が電話で祖母と話しているのを聞いた。母や何があったかを話し、どうしたらいいか聞いていた。
 祖母は明らかに大きな問題ととして捉えたのだろう、と言うのも、母は弁護士に電話したからだ。母が言うには、プロクター女史は、私が専門家によるある種の独立した心理学的検査を受けるよう裁判官から命令を受けることになるだろうということだった。

 父は知らせを聞いて、僕の携帯電話に電話してきた。やっと同情的な声に接することができた!
 僕はすべてのことをうっかり口に出してしまった。
 マーガレットのこと、プロクター女史のこと、「Dainty and Delicate 」錠のこと、女の子の水着のことなど、すべて。
 父は本当に混乱し疑っている様子だったが、専門家がきっとすべてを扱ってくれるからと請け負ってくれた。僕は大きいな安堵のため息を漏らした。父は母と代わるように言ったので、僕は彼女に電話を渡した。

「チャールズ、何て嬉しい驚きかしら」母は皮肉を込めて言った。
「ええ、わかったわ。 え?彼が? 私が買い物から帰って、彼が可愛い女性用水着を着ているのを見たことも言ったの? あなたの息子は一番素敵なハイヒールサンダルを履いて綺麗なシフォンの上着まで着ていたのよ。マーガレットがやらせたんだなんて言ったの。本当よ!何て哀れな言い訳かしら。あなただってわかるでしょ、彼に『強制して』何かをやらせるようなこと、マーガレットにはできないのを。私の方には本当に何の意図もないわよ! 弁護士が電話で言うことには、裁判官はすでに専門家との予約を取ってあるそうよ。girlish boy 分野の権威らしいわ。彼女の資格認定証に非の打ち所がないのは明らかだわ。彼女はペーターを評価して裁判官に報告することに同意しているの。じゃあ、また裁判所で会いましょう。」
 
 僕が部屋で黙り込んでいると、母が入ってきた。
 彼女は微笑んでいたが、それが無理矢理であることは僕にはわかった。
 僕は気分が悪かった。

「お母さん、あのさ・・・」
 僕が説明を終える前に彼女はまるで聞こえなかったかのように、言葉を遮った。
 彼女は腹立ち紛れにため息をついた。
「ねえ、床に自分の物を投げたりすることに何か言わなかったかしら?」
 恐ろしいことに、彼女は手を伸ばすと、僕が床に投げ捨てた水着と上着を拾い上げた。
 彼女はシフォンの上着と水着を腕に抱えると、大きく息を吸い込んで、無理矢理微笑みを浮かべた。
「これは本当に繊細だから、洗濯機は使えないのよ。流しで手洗いの仕方覚えた方がいいわ。」
 
 水着と上着をバスルームのシンクで手洗いし、シャワー室の竿にそれらを干した時、僕は身体がゾッとした。僕には自分のしていることが信じられなかった。
 僕が部屋に戻ると、母が二つの大きなブレストフォームを手に取っているのが見えた。 うんざりしたため息をついて、彼女はそれを僕のドレッサーに置いた。
 
 その後の数日間、僕はできるだけ普通に振る舞おうとした。
 僕には母も普通に振る舞おうとしているのがわかったが、僕を見る目から判断すると、物事が同じではなくなっているのがわかった。何度も母が僕を見つめているのがわかったが、彼女の顔には狼狽と心の痛みが浮かんでいた。
 マーガレットがそばにいない時にはいつでも、僕は実際に起こったことを説明しようとした。
 母は私に決して最後まで話をさせるつもりはなく、専門家が全部やってくれるから大したことはないと説明した。僕には彼女を責めることはできなかった。

(続く)


〔注〕
(*1)『Dainty and Delicate』 作者オリジナルの薬品です。Daintyは「優美な、華奢な」などの意。 Delicateは「か弱い、繊細な」などの意。つまり、この薬品を飲むことで、男らしさが失われ、女性的なか細く華奢な姿に変わっていくというものです。
(*2)『Sissy Mister』 作者オリジナルの店の名前です。そこに連れて行かれた男の子は皆りっぱな(?)Sissyにされてしまいます。『Dainty and Delicate』もそこで販売されている商品で、その他、sissification(Sissy化)のためのありとあらゆる商品が置いてあります。
 尚、作者のKateさんは『Sissy Mister』という小説も書いていますので、このお店ががどういう所なのか詳しく知りたい方はそちらの小説もお薦めです。こちらの小説もかなり面白いのでお時間があればどうぞ。



プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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