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ある性転者の告白 第9章-3

「な・・・なんてことを・・・。お・・・お前たち、僕を、だましたんだな・・・?」
 私は、その時になって初めて、彼らの言動がすべて私を陥れるための邪悪な罠だったことに気づかされたのでした。
 涼子が長期間に渡り、精神安定剤入りの痛み止めと称して、私に飲ませていたのは、高濃度の女性ホルモンを含有するもので、そのために、私の体が女性化し始め、知り合いの医者と組んで偽りの病名をでっち上げ、さらに死への恐怖心をあおりながら、まるで私が、自らの意志で進んで手術を受けるかのような状況を作り上げたのです。
 しかも、豊胸手術の前に、錠剤による長期間のホルモン服用を行ったのは、わずかながらでも膨らんだ段階で行った方が自然で女性的な胸を作れるからという医者からのアドバイスを受けた結果であり、彼らの企みが、周到に計画されたものであったことの証でもあります。
(ああ、僕は・・・僕はもう・・・男ではなくなってしまった・・・)
 私は、彼らに対する抑えきれない怒りと、後悔の為に、全身の震えが止まりませんでした。しかも、そうしている間も、体内には、高濃度・高密度の女性ホルモンが全身に流れ、女性化を促しているのです。さらにそれを抑えるべき男性ホルモンは、睾丸を摘出したことで生成されなくなってしまっています。つまり、私は、もはや男として機能を失い、限りなく本物の女性に近づくプロセスを歩み始めているのです。
 そんな絶望感から、私は、抑えきれない激情から、契約のことなどすっかり頭から消え去っていて、使い慣れた男言葉で堂々と彼らに向かって罵詈雑言を浴びせかけました。さらには、近くにあったコップをつかみ、思い切って村井の方に向かって投げつけました。コップはバリンという金属音を残し、ドアノブに当たると、小さな、ガラス片になって粉々に砕け散りました。
 その瞬間、村井の顔が鬼のような形相に変わり、ベッドに近づいたかと思うと、私の頬を思い切り強く殴りつけたのです。
「いい加減にしろ。お前が同意したんじゃないか。俺たちはお前にどうするか、尋ねたんだぜ。」
「そ・・そんな・・・裏に手術の内容が書いてあるなんて、一言も言わなかったじゃないか。全部、お前たちの罠だったんだ。」
「裏を見て、確かめなかったのは、お前のせいだろうが・・・。でも、まあな、俺たちも鬼じゃねえよ。」
 村井はそう言うと、優しげな表情に戻り、諭すような口調で言いました。
「お前の胸はシリコン入れただけだからな、いつだって取り出せるんだ。それに、体の中に入れたホルモンだって、いつでも取り出せる。」
「で、でも、去勢手術は・・・もう、絶対にやり直せないじゃないかっ・・・。」
「それだって、お前の睾丸は、ちゃんと保管してあるから安心しろ。契約が終われば、お前は自由の身だ。そうすれば、ちゃんと元に戻してやるんだ。嘘じゃねぇ・・・。」
「・・・・・・・」
 私は、その言葉に耳を疑い、無言で涼子の方に視線を送りました。涼子はそれに応えるように大きく頷いてみせました。
「ほ、ホントか?本当に元に戻れるのか?」
 もちろん、村井の言葉はにわかかには信じがたい内容です。ん。しかし、藁にもすがりたい心境であった私には、その言葉に期待を寄せるしかなかったのです。
「ああ、本当だとも・・・。なあ、涼子?」
「本当よ。私だって、契約が終わってまで、あなたを女のままにしておきたいって思ってるわけじゃないもの。契約が終われば、男に戻してあげるから、結花って女と一緒になったらいいじゃない。私たちは、この契約の間だけ、あなたにできる限り、本物の女に近づいていてもらいたいって思っただけよ・・・。だから、その証拠にそこは残しておいてあげたじゃない?」
 涼子はそう言うと、私の下半身を指さしたのでした。
 確かにそうです。もしも私に復讐を果たすつもりなら、この手術でペニスまで除去し、完全な女に作り替えてしまう方が、よかったはずなのです。と言うことは、彼らの言っている、元に戻すという話も、もしかしたら本心なのかもしれない。私はわずかばかり残った、理性の欠片を総動員して、できる限り心を落ち着けて考えました。
 
 懸命な皆さんなら、摘出した睾丸を元に戻すなんて話が作り話であることは、おわかりでしょう。しかし、愚かな私は、後に運命の瞬間を迎えた時に、初めてそのことに気づくことになるのです。ここでは、彼らが、私へのあまりにも陰湿な計画を実施するために、あえて、男としての最後の証であるペニスを残したということだけをお伝えしておきます。

「しかし、もし、お前が俺たちの指示に少しでも反抗的な態度をとったら、お前のキン○○は、処分してやるからな。そうなれば、たとえどんな手術をしても、二度と男には戻れないんだからな。わかったな。」
 村井は、わずかながらも希望を持ちかけているのを、私の表情から読みとったのでしょう。ゆっくりと諭すような口調で言いました。
 私には、かすかだろうと、すがれる希望の灯は他にありません。心は決まりました。
「わかりました。男に・・・男に戻してもらえるんなら、どんなことでもします。二度と反抗的な態度は・・・とりません。ですから、どうか、処分するのだけは・・・・それだけは、お止めください・・・。」
 私は、卑屈にも、その憎むべき行為を指示した村井に向かって哀願したのです。それは、まるで、子犬が主人にすがりつくような屈辱的な姿でした。


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ある性転者の告白 第9章-2

 私の意識が再び戻るまでに、一体どのくらいの時が経ったでしょうか。
 ただ意識が戻って、最初に気づいたのは、両足がそれぞれベッドの脚に縛りつけられていることでした。
 私は、そんな逃げ出すことのできない状態で、施された手術の全容を告げられたのでした。
 小島によって行われた手術は、男である私の胸に、豊満なDカップの乳房を与えただけの生やさしいものではありませんでした。(それだけでも、十分衝撃的なものではありましたが。)
 手術後の痛みが下半身からも生じていることに気づいて、私は背筋が凍る程の恐怖に震えながらも、男であることの証があるべき所に、自由になる右手を、恐る恐る伸ばしてみました。
「あ、ある、あった。」
 力の抜けるほどの安堵感に包まれました。包帯ごしではありましたが、大量の女性ホルモンの服用によって小さくなったとはいえ、男である証・・・ペニスの感触が確実に伝わってきたのです。
 しかし、さらに指先を後方に這わせてみると、陰嚢の部分にあったはずの睾丸の丸い膨らみが、まったく感じられません。平面的で、ペタッと皮膚が付着している感触しかありません。
「い・・・一体、な・・・何をしたんだ・・・?お前たちっ・・・。」
 私は、病室中に響き渡るような、大声で叫びました。
 涼子はフッと冷たい笑いを浮かべて、手にしていた紙切れを差し出すのです。
「だって、あなたがサインしたんでしょ・・・? この同意書に・・・。ねえ、村井ちゃん?」
 涼子の問いかけに、村井も黙って頷きました。二人の表情には勝ち誇ったような会心の笑みが浮かんでいました。
 私は、涼子から渡された同意書、つまり、私がサインをしてしまった手術同意書に目を通しました。確かに表側には、あの時、確認した文面と、その手術を同意するためのサインしか書かれていません。しかし、裏返して見るとサインをした時にはその存在すら気づかなかった内容の文面が書かれていたのです。

『患者、高野直樹は、以下の手術を受けることを同意いたします。
 1,性同一性症治療のための睾丸摘出及び豊胸手術
 2,継続的なホルモン治療のための高濃度女性ホルモンの体内埋め込み手術
 3,付属して、ピアス用の穴開け施術 』




ある性転者の告白 第9章-1

 朦朧とした意識の中で目覚めたのは、殺風景な病室のベッドの上でした。
 私の不完全な意識は、かすかな記憶の糸を辿っていました。
(そうだ、僕は、手術を受けたんだ。身体の女性化を止め、完全に元の状態に戻すための・・・・。そうだ、医者は成功の確率は五十%だと言っていた。と言うことは、こうして意識があると言うことは・・・そうか、成功したんだ。手術は成功したんだ。やった・・・。よかった・・・助かったんだ・・・。)
 私は心の中で叫びつづけました。両方の瞳からは、命が救われた喜びに熱い涙が溢れてくるのがわかりました。
「あ、気づいたのね?よかったわね・・・手術は成功ですって。」
 私の意識が戻ったことに気づき、涼子が優しげな口調で話しかけてきました。
 私は、その言葉に応えるように、ベッドから起きあがろうとしましたが、その瞬間、ズキンという鈍い痛みが全身に走りました。
「い、痛っ・・・、痛いっ・・・。」
「あらあら、まだ起きちゃだめよ。大きな手術だったんだから・・・。」
涼子のいたわるような言葉に、私は小さく頷くと、
「手、手術はうまくいったんだよね?僕は助かるんだよね?」
と、思わず、忘れかけていた男の口調で尋ねました。
 私は一瞬ハッとしました。村井がこちらに視線を送っているのに気づいたからです。また脅されるのではと思い、たじろぎましたが、村井の言葉は意外にも優しげなものでした。
「ああ、成功だ。完全に治ったそうだ。」
 私は、『完全に治った』というその言葉を聞き、身体の力が抜けるほどの安堵感を覚えました。同時に、さすがの村井でも手術後の人間になら、優しさを見せることができる。つまり、彼にも良心のかけらくらいは残っているんだということを知り、私の安堵感は一層増したのです。

 しかし、そんな安堵感は、一瞬にして消え去りました。
 次に涼子の口から発せられた言葉は私の心を奈落の底に突き落として余りあるものだったのです。
「それにしても、こんな手術に同意するなんて、あなたも、すっかり変わったわね。それとも、みんなに可愛がられて、男に戻る気がなくなっちゃったのかしら・・・?ね?村井ちゃん?」
「ああ、そうかもな。『一生、奈緒美ちゃんでいたいの』・・・なんてな。アハハハ・・・。」
 私には二人の会話の意味がまったく理解できませんでした。しかし、何か邪悪な企みが実行されたことだけは、その雰囲気からわかります。私は、体中に走る鈍い痛みに抗いながら、横になったまま両手を伸ばすと、あの思春期の少女のような膨らみを示していた胸に触れてみました。
「こ、こんな、こんなことって・・・」
 その瞬間、あまりの衝撃に心臓が止まりそうになりました。
 あの思春期の少女のような膨らみはすっかり姿を変えていました。いえ、なくなっていたのではありません。それは、より大きな、いえ、豊満な乳房に姿を変えていたのです。しかも、その先端には、女性特有のツンと突き出た乳首と、それを取り囲むように丸い乳輪さえ示しています。
「あああ・・・、なん・・・なんてこと・・・」
 あまりの衝撃に、私の口から発せられたのは、言葉にならないうめき声だけでした。
「フフフ・・・、どう?Dカップのバスト・・・気に入った?私も奈緒美ちゃんが寝てる間に触ってみたけど、すごいじゃない?本物そっくり・・・。これなら、もっともっとみんなに可愛がってもらえるわよ。よかったわねぇ・・・。フフフフ・・・。」
「い、いやだ・・・も、戻してくれっ・・・お、お願いだ・・・元に戻してくれ・・・」
 私はありったけの声を振り絞って叫び、両手足をこれでもかとバタつかせ、ベッドから飛び起きようとしました。しかし、その瞬間、全身を貫く耐えられないほどの激痛に意識を失ってしまったのです。


ある性転者の告白 第8章-3

 そこは、町はずれにのある古びた個人病院でした。
 玄関に入るなり、村井は受付に断ることもせず、ずかずかと廊下を進むと、診察室と書かれた部屋に入っていきました。受付にいた中年の看護婦らしき女性も、そんな村井を止めません。私はすこし不思議に思いましたが、それが許されるほどの知り合いなのだろうと、大して気にも留めませんでした。
「ここはね、村井ちゃんの知り合いの病院なの。腕は確かだって。だから、奈緒美ちゃんも安心しなさい。」
 涼子は私を安心させようと、落ち着いた口調で説明しました。
 しばらくして、診察室に呼ばれた私を白衣を着た医師らしき中年の男が招き入れました。その隣には、村井が無言のまま、立っていました。
 男は、自らを『小島』と名乗り、すぐ診察を始めるから、服を脱いで横になるよう指示しました。私は心の中で、できる限り不安を打ち消しながら、ゆっくりと服を脱ぐと、指示された診察台に横になりました。
「ほほぅ・・・。こ・・・これは・・・。」
 小島は、全裸の私をなめ回すような視線を送ると、一言つぶやいて後はただ黙り込んでしまいました。
 私は、その視線にどことなくいやらしい雰囲気を感じ取り、左右の腕で、小指ほどに小さくなってしまった男性自身と、思春期の少女のような膨らみをみせている胸を隠しました。約二ヶ月もの間、女性として過ごしてきたことで自然にそんな恥じらいの仕草が出るようになっていたのかもしれません。
 小島は、その手を強く押しのけ、無言のまま一通りの診察を続けると、なにやらカルテらしきものにペンを走らせました。
「これは、性同一性障害の一種ですな。但し、ホルモンのアンバランスにより、このまま、放置しておくと、心臓に負担がかかり、やがて生命そのものに危険が及ぶでしょう。」
 今思えば、小島の説明には、やや芝居がかったものがあり、もしも、その時の私に冷静な判断力が残っていたら、目の前の男が、村井たちとグルになって自分をだましていることに気づいたかもしれません。けれども、女性ホルモンの服用にすら気づいていない私には、それ以上の疑いの気持ちはありませんでした。自らの身体の変化を止めるために、目の前の医師の言うことを信じるしかなかったのです。
「せ・・生命の・・・危険? つ・・つまり、死ぬってことですか?」
 私は、小島の目を見つめながら、真剣な顔つきで尋ねました。
 もし、ここで死んでしまうことにでもなったら、これまで約二ヶ月もの間、屈辱に耐えてきたことも無駄になってしまう。もしかしたら、いくら脅迫されたとは言え、このような立場になることを選択した自分に罰が当たってしまったのかもしれないという思いさえ沸いてきました。しかし、だからと言って、このまま死を受け入れることはできません。なぜなら、それは愛する結花との永遠の決別を意味しているからです。私の脳裏には、魅力的な微笑みを浮かべている結花の面影がはっきりと浮かんできました。
「ど、どうしたら・・・治るんでしょうか?」
 私は、うわずった声で、小島の目を凝視しながら尋ねました。
「いや、これは、手術するより他はないですな。しかし、普通の手術ではないので・・・。」
 小島の言葉は、私の心に、より一層の不安をもたらしました。
「先生、それは・・・どんな手術なんですか?」
 私は、できる限り冷静に尋ねました。
「いや、要は、一方のホルモンの活動を抑えてやればいいだけなんだが・・・。なかなか、難しい手術でなぁ。」
「そ、それをすれば・・・・手術を受ければ・・・治るんですか?」
 私の叫ぶような質問に、小島は、うなずきながら、
「ああ、成功すれば、完全に治る。ただ、難しい手術だからな。成功の確率は五十%だが・・・。」
「五,五十パーセント・・・」
 私は、思わず小島の口から出た数字を繰り返しました。
 つまり、成功するか失敗するか、いえ、生きるか死ぬかの確率が半々だということです。それは、あまりに危険な賭だと思いました。しかし、もしこのまま放置すれば、確実に死が訪れてしまうのです。結花との生活だけを夢見ていた私には、もはや選択の余地はありませんでした。手術をし、成功すれば『完全に治る』という言葉を信じて、手術に同意するしかなかったのです。私は、小島の差し出す手術の同意書に、震える指でサインをすると、小島の目をすがるように見つめながら、絞り出すような声で言いました。
「お・・・お願いします・・・先生。ぼ・・・僕を助けてください・・・。」
 ほどなくして手術室に運ばれ、麻酔注射を打たれた私は、全身から力が抜けていき、やがて深い眠りに落ちたのでした。


ある性転者の告白 第8章-2

 それから、十日ほど経ったでしょうか。その間も、少しずつ変化していた身体は、とうとうはっきりとした女性の身体的特徴を示すまでになっていたのです。
 手足のむだ毛と髭は、まるで永久脱毛をした後のように、完全に消え失せ、跡形もなくなっているのです。体つきもすっかり女性的になり細いままのウエストラインとは対照的に、バストとヒップが、ふくよかな曲線を描いているのです。
 そして最も恐ろしく感じたことは、自らの男性を示すシンボルが極端に小さくなってしまっていて、たとえ朝であっても、勃起することがほとんどなくなっていたのです。 私は、涼子に気のせいではなかったことを、動揺を抑えきれないあわてた口調で伝えました。
「裸になって、見せてみて。」
 涼子は意外な程冷静な口調で言いました。
 私は、そばに村井がいることも忘れ、涼子の言う通り全裸になると身体を向けました。 その瞬間、涼子は、驚いたような様子を見せ、
「確かに、変だわ。ねえ、村井ちゃん・・・?」
と、傍らにいた村井に同意を求めるように言ったのです。
「ああ、おかしいな・・・。でも・・・こんなことがあるのか?」 
 村井にも驚きの表情が浮かんでいます。しかし、二人の言葉にはどことなくわざとらしい雰囲気が感じられ、気のせいか、ほくそ笑んでいる感じもします。けれども、まさかだまされて、女性ホルモンを大量に飲まされていたなどということは、夢にも考えていなかったので、とにかく我が身に起こっている、ただならぬ変化を何とかして止めたいという一心で、村井の運転する車に乗り込みました。目的地は告げられませんでしたが、話しぶりから病院であることだけはわかりました。


ある性転者の告白 第8章-1

 涼子の差し出す「鎮痛剤」の服用は、約20日の間続きました。なぜなら、その間も屈辱的な肛交という行為が収まることはなかったからです。しかし、その薬のおかげで、少なくとも肉体的な痛みからは、逃れることができました。
 ところが、ある晩、私は自らの身体に現われ始めた変化に気づきました。
 いつものように村井たちに汚された身体から、その情欲の残滓を洗い流すため、シャワールームに入ってハンドルを回し、シャワーヘッドからの心地よい水流を感じながら、目をつぶりました。ところが、身体を流れ落ちるシャワーの水流がいつもと微妙に違っているような気がして、思わず閉じていた目を開けました。
 胸の辺りを伝う水流が、なぜかかすかな曲線を描いているのです。やせていて胸板も薄く、直線的な体型の私には、何となく違和感がありました。私は、自分の胸の辺りをそっと手のひらで触れてみました。
(ん?ど・・・どうしたんだろう?太ったのか?)
 手のひらに、何となくふくよかな肉の弾力が感じられるのです。しかも、その中心部には固いしこりのような感触もあります。しかし、これまでの過酷な日々の中で、食欲も落ちてしまっているので太るはずがないのです。その証拠に、ウェスト部分にはまったく肉は付いてはいません。私は抑えようのない不安に襲われ、他に変化がないか確かめようと、視線を下に落としてみると、両脚に残っていた脱毛の跡がほとんど見えないことに気づいたのです。そう言えば、この3日間は脱毛そのものも行っていません。さらに、口元に手をやると、指先に髭剃り跡がほとんど感じられず、ツルッとした感触だけが伝わってきます。
 動揺した私は、バスルームから飛び出すと、ずぶぬれのまま姿見の前に立ち、全身を映してみました。
(ああ・・・やぱり・・・。)
 身体の変化を感じたのは、やはり、気のせいではなかったのです。胸だけでなく、腰回りもどことなく丸みを帯び、全体的に曲線的になっています。さらに凝視するように目を近づけると、皮膚そのものも白っぽくなり、肌のきめが細かくなっているのです。もともと男性的な野性味にかけていたとは言え、そこまで女性的だったわけではありません。
 私は急いで涼子を呼ぶと、それらの身体の変化を一つ一つ、説明しました。
しかし、涼子は、フンッと鼻で笑うと、
「そんなの気のせいよ。いくら、女の子の格好して、村井ちゃんたちの相手をしているからって、身体まで女の子になるわけないじゃない。きっと疲れているのよ。さあ、そんなこと気にしないで、薬飲んでゆっくり寝なさい。」
と言うだけでした。
 私は、涼子の言う通り気のせいなのだと自分に言い聞かせ、その晩も与えられた錠剤を飲み眠りにつきました。私に希望をもたらすカレンダーの×印は、すでに40個程になっていました。
 

ある性転者の告白 第7章

 屈辱的なビデオ撮影をきっかけに、彼らの欲望はまるでそのタガが外されたかのようにエスカレートしていき、とどまることを知らないかのようでした。
 私は、毎朝、指示された様々なコスチュームとメイクを施すと、リビングに向かい、求められるまま、彼らの性欲に応えることになったのです。彼らは私を一人のメイド、いえ、一匹の性奴としてしか扱ってはくれませんでした。
 もちろんそんな中でも、唯一の希望として毎晩カレンダーにつける×印を心の支えとして耐え続けました。
 しかし、ただ一つだけ、どうしても耐えきれないことがありました。それは、精神的にも肉体的にも過酷な肛交という行為です。もちろん、口を使わされたり、手を使わされたりすることにも、口には出せないほどの屈辱感に感じはしましたが、肛交という行為はその屈辱感に加えて、肉体的な苦痛を伴うものだったからです。特に、いわゆる巨根を持っている村井による肛交は、まさに筆舌に尽くしがたく、初めて挿入された時は、あまりの激痛に悲鳴を上げ、気を失ってしまったほどです。しかも、その出血を伴う痛みは3日間も続いたのです。
 その後、私は、肛交だけは避けようと、積極的に自らの口や手での奉仕に努めました。そうすることでしか、肛交を回避する手段はないと思ったからです。しかし、そんな私の真意を見抜いたように、いえ、嫌がる私にいっそう加虐的な嗜好を刺激されたのか、却って、その行為を求めてくるようになりました。
 私は、激痛と屈辱感から来る大粒の涙を流しながら、その行為に抵抗すらできずに、必死になって耐えました。もちろん、一日一人だけではありません。一人が終わると、休む間もなく、次の相手をしなければならないのです。しかも、そのたびに彼らの趣味に合わせてメイクを直し、コスチュームを着替えます。ナース服を脱いだかと思うと、次はバニーガールスタイルというように・・・。
 そして、3人目の放出を受け止めた後になると、決まって下腹部に鈍い痛みを感じ、トイレに向かいます。彼らの放出する大量の精液が、まるで浣腸液の代わりにでもなったのでしょうか、鈍い便意が引き起こされるからです。便器の中に、白濁した粘り気のある液体が、血液と絡まって落ちるのを目にする時、私の中には、言いようもない無力感が情けなさがこみ上げてくるのです。

「ホント、奈緒美ちゃんも、かわいそうね。これじゃ、休む暇もないものね。それに、一人一人趣味が違うから、そのたびにシャワーを浴びてメイクし直さなくちゃならないし・・・。普通の女なら、一度お化粧落とせば、その日はもうお化粧なんてしたくもないけど、奈緒美ちゃんはそうはいかないものね。だって、奈緒美ちゃんのお化粧は自分のためにするんじゃなくて、男性に喜んでもらうためにするんですものねぇ。ねぇ?どういう気分?男のくせに、男の人を喜ばすためだけにお化粧する気分って・・・?ねえ、どうなの?『直樹』さん・・・フフフ・・・」
 新たなメイクを施すために、ドレッサーの前に座っている私に、涼子が容赦ない言葉を投げかけてきます。ただでさえ、屈辱感に耐えている私は、メイクの手を止めて、涼子を恨みがましく睨みつけます。
「あら、何・・?その目・・・。反抗的な目しちゃって・・・。ほめてあげてるんじゃない、可愛い子は得だって・・・、さあ、早くしなさいよ。次は、このワインレッドのルージュでしょ?これで、また、村井ちゃんのオチンチン、おしゃぶりしなくちゃいけないんでしょ?アハハハ・・・。」
 私は、長い廊下に響き渡るような涼子の笑い声を聞き、持っているルージュを思わず、叩きつけようとしましたが、最後の自制心がそれを抑えました。そういったあからさまな反抗的な態度を取ることは、自殺的な行為だと知っていたからです。私は、反抗することすら叶わない、自らの無力感と戦いながら、再び、男たちの欲望を満たすためのメイクに戻るしかありませんでした。

 そんな耐えるだけの日々が数日続いた頃、私は慢性的に続く肛門の痛みと精神的な苦痛から、睡眠が全くとれなくなっていきました。そして、ついには睡眠不足と過労から、彼らの前で倒れこんでしまったのです。
「ねえ、奈緒美ちゃん、私があげている精神安定剤、ちゃんと飲んでるの?」
メイド部屋のベッドに全裸で寝かされた私に涼子が怪訝そうな顔つきをしながら言いました。
 そう言えば、涼子から与えられる錠剤を最初の二,三日間、服用しただけで、パッタリと止めていたのです。なぜなら精神安定剤としての効力が全く感じられなかったからです。
 それにしても、なぜ涼子は、精神安定剤の服用を確かめるのに、私の全身をなめ回すように見つめているのか、その理由がわかりませんでした。
 しかし、それも後日、判明しました。その時の涼子が確認したかったのは、私の身体の変化だったのです。そうです。涼子が私に服用を強いたのは精神安定剤などではなく、高密度の女性ホルモンだったからです。もちろん、その時には、全く思いもよらないことでしたが・・・。
 私は、指示に従っていないことで、また脅迫されるという恐怖から、黙ってうつむいたまま小さく首を振りました。
「だめじゃない。ちゃんと飲まなくちゃ・・・。じゃあ、今日から、これ飲みなさいね・・・。これはね、ただの精神安定剤じゃないの。よく効く痛み止めも入っているの。奈緒美ちゃん、これからも、あの人たちにお尻を使わなくちゃいけないんだから、少しでもその痛みを和らげなくちゃ・・・ね。」
 私は思いがけない涼子の気遣いに、自然と涙が溢れてきました。いくら復讐心があるとは言え、やはり妻のことです。きっと、苦痛にゆがむ私の表情を見て、人間的な同情心が沸いてきたのでしょう。涼子の言葉にはそんな優しさが感じられました。
「お、お姉様、ありがとう。奈緒美、う、うれしいです。」
 私は涼子の気が変わらないように、細心の注意を払って、謝意の言葉を選び、差し出された錠剤に何の疑いも持たずに飲み込みました。
 数十分後、私の肛門の慢性的な痛みが少しずつ消えていき、いつしか深い眠りに落ちていきました。涼子の言ったように、服用した薬には、よく効く鎮痛剤が入っていたのは確かでした。けれど、その中には他の要素も含まれていたことに、私が気づいたのは、もっとずっと先のことでした。


プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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