FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「Sissy Academy Japan」 story 1

*************************************************************************************** 
その年の春、首都圏のある場所に『Sissy Academy Japan』が設立された。アメリカ西海岸に本部を置く『Sissy Academy』の日本支部である。
 そこは依頼人の要望に添って、男性を「Sissy」に生まれ変わらせるという唯一最大の目的を持つ機関である。もちろんすべての依頼を受け入れるわけではない。依頼人とスタッフとの面談等を通じて、アカデミー側がその要望を妥当なものであると判断した場合のみ受け入れが許可される。ただ、ひとたび許可されれば、後は依頼人の要望に沿って、彼らの持ちうる「全ての手段」を駆使し、望み通りのSissyに仕上げる。
「例外はない。途中で断念することもない。必ず100%要望に応える。」
 それが彼らの掲げるスローガンである。
****************************************************************************************

 紗英は3歳上の兄、貴史を嫌っていた。子供の頃から頭の良さを鼻にかけ、平凡な成績だった紗英をずっと馬鹿にしてきたからだ。いや、それだけではない。学校などでは陰に隠れて弱いものいじめをするような卑劣な面も持ち合わせていた。だが、その反面で両親の前では優等生を見事に演じてきた。だから父も母も貴史を特に可愛がってきたのだが、それは紗英にとっては許し難いことだった。
 そもそも貴史のそんな性格は父親譲りなのだろうと紗英は思った。一流大学から一流企業へと進んだエリートサラリーマンの父は、一流以外を小ばかにするようなところがあった。そんな気質をそのままコピーしたような貴史だから、父はことさら可愛がり、逆に紗英を疎みがちだった。もしも今、父も共に生活しているとしたら、紗英の嫌悪の対象は父だったかもしれない。だが、幸か不幸か、その後両親は性格の不一致により離婚した。離婚後も父と貴史は連絡を取り合い、時折会っているみたいだが、紗英には全く声がかからない。最初はそんな関係を多少は寂しいとも思ったが、最近ではどうせ会ったところで嫌悪感しかわかないから会いたくもないと考えるようになった。
 だが、父と違って貴史は一つ屋根の下で暮らしているのだ。会わないというわけにはいかないのだ。
 貴史の紗英に対する態度は、彼が超一流大学にストレートで合格した時からさらに悪化した。兄に比べて紗英が2流と言われる女子校に入学したからだ。何かにつけて「馬鹿だ。頭が悪い。」という兄の言葉に紗英はじっと耐えるしかなかった。
 
 そんな紗英がネット情報から『Sissy Academy Japan』のことを知ったのは1年半ほど前のことだった。
 詳細を調べた後、紗英はある考えがひらめいた。それは嫌いな兄を自分好みの「Sissy」にして、今までの復讐をするというものだった。
 だが、アカデミーは全ての依頼人の依頼に応えてくれるわけではない。まして紗英は未成年である。アカデミーとの面接で相手を納得させることなどできそうもない。
 紗英はいろいろと考えあぐねた結果、親を巻きこむ以外に方法はないという結論に達した。
 翌日から、紗英の作戦は実行された。
 貴史の留守中に部屋に入り、彼のベッドの上にさりげなく母親のパンティと自分のパンティとブラを置く。そして、机の引き出しの奥には自分のアイシャドウと口紅を忍ばせる。そしてその夜、まだ貴史が帰宅する前に紗英は母親の美津子にさりげなく話をする。
「なんか最近、下着がなくなるんだけど、これって下着ドロの仕業かなぁ?」
 母親も少し気になって自分の下着を調べ、パンティがなくなっているのに気づく。

 貴史が帰宅すると、二人はまだ下着の行方について話をしていた。
 まさか下着ドロボウなんてと馬鹿にしながら、自室に入った貴史の目に女物の下着が飛び込んでくる。
「ヤバイ、このままだと俺が疑われる。」そう思った貴史は、その夜、家族が寝静まった頃を見計らって、母親と妹の部屋に下着を戻しに行く。
 もちろん、紗英は寝てなどいない。起きて貴史が来るのを待っている。
 貴史が音を立てずに入ってくるのを確認して、大声を上げた。
「キャー、だ、だれ? 何してるの?」
 叫び声に驚いて美津子が飛び込んでくる。明かりが点けられ、紗英の下着を手にした貴史の呆然と立ちつくす姿が浮かび上がる。
 当然貴史は、いいわけをした。あまりのことにしどろもどろになりながらも必死に無実を訴えた。
 優秀な貴史を日頃から信じている美津子は、「若い男の子が女の下着に興味を持つのは当たり前のことだから。」と自分を納得させた。
 でも、紗英にとってはここで一件落着させるわけにはいかない。
「もしかして、お兄ちゃん、他にも隠してるんじゃないでしょうね?」
 紗英は有無を言わさず、貴史の部屋を調べるふりをした。当たり前のように発見される紗英の口紅とアイシャドウ。
「え?なに?まさか、お兄ちゃん、女装趣味あるの?」
 美津子の顔に落胆の色が浮かんだ。
 必死にいいわけをする貴史に、
「もう、二度とこんなことしないで。お母さんを悲しませないで。お願い。」
 母の涙でその日は終わった。 

 一週間後、少しほとぼりが冷めてきたのを見計らって、紗英は再び行動に出る。
 事前に調べておいた「女装」「強制女性化」「男の娘」「Sissy」関係のサイトに貴史のPCでアクセスを繰り返しのである。そして掲示板の一つに予め用意した画像をアップした。その画像は貴史の顔を女性の身体につけたアイコラで、題名に「僕の夢~いつかこんな女の子に~」と付けられていた。
 その夜帰宅する美津子を待って、紗英は涙を浮かべながら言う。
「お母さん、私PCで、変なもの見つけちゃったんだけど・・・」 
 紗英のノートPCにアイコラ画像が映し出される。美津子の顔から血の気が引いていく。
 彼女は何かを確かめようと貴史の部屋に入り、PCの電源を入れる。
 アクセス履歴に残る、信じられないサイト名の数々。

「この変態! もうお前はお母さんの子じゃないわ。 これまでお母さんが一人でどんな苦労してきたと思ってるの? 」
 帰宅した貴史に、美津子の涙の怒声が飛んだ。その後ろでは冷笑を浮かべる紗英がいた。

 それから一週間、貴史は何度も何度も弁明を繰り返したが、信じていた息子に裏切られた思いの強い美津子は決して許そうとはしなかった。
 さらに一週間後、すこし落ち着きを取り戻しかけた美津子に紗英が語りかける。目の前のノートPCには『Sissy Academy Japan』のサイトが開かれている。
「ねえ、お母さん、お兄ちゃんがもし本当に女の子になりたいなら理解してあげようよ。お母さんもお兄ちゃんのこと愛してるなら、そうしてあげよう。たとえ、外見が女の子になったって、お兄ちゃんはお兄ちゃんじゃない。」
 もちろん、美津子はそんなこと、すぐに納得できるはずもない。だが、信頼できる息子に裏切られた以上、唯一の頼れる身内は紗英しかいない。その思いが紗英の説得に段々傾いていく要因となったのだろう。
 美津子は、貴史の最大の長所である「優秀な頭脳」と、強引なまでの「リーダーシップ」といった内面が変わらないなら、と紗英の説得を受け入れた。
 
 『Sissy Academy Japan』での面接は3時間にも及んだ。
 「受け入れ許可」の結果が届いたのはそれから一週間後のことである。
 後は、依頼人(美津子)の具体的かつ詳細な希望を伝えるための『要望書』が受理されれば即時に受け入れが始まることとなる。
 美津子は紗英と二人だけで話し合いながら要望書を記入した。
 貴史はそこにはいない。何度説得しても、「本当は女の子になりたい」という「正直な」気持ちを言おうとはしないから、黙って進めましょうと紗英は美津子に言ったのだった。

『要望書』は、「女性化」後の、身長・体重・スタイル・髪型・容貌などといった外的要素と、性格・くせ・話し方・声・振る舞いなどといった内的要素が詳細に渡り、書き込める形になっている。そして最後に「特記事項」として特に強調したい希望を書き込む欄が設けられてある。
 提出後の変更は一切認められないので記入は慎重に、と書かれているのを見て、美津子は5時間もかけて記入を終えた。できあがった内容を総合してみると、可愛く性格も良く、理想的な女子大生といったイメージが想像できる。そして「特記事項」欄には「優秀な頭脳」の維持を強く希望する旨、記入されている。
 だが美津子から『要望書』の提出を任された紗英は、その夜、密かに内容の訂正をした。
 それは、以下のようなものだった。

(訂正前)               (訂正後)
(身長)   現状のまま        →     10センチ低く
(メイク)  コスメを使用      →     タトゥーによる永久メイク
(くせ)   特になし         → 常に口を半開きに
(話し方)  知的           →     オバカアイドル風  
(声)    少し低めで理知的     →     甲高く鼻にかかったアニメ声
(バスト)  Bカップ         →     Eカップ
(男性器)  現状のまま        →     去勢・ペニス短小化
(性格)   積極的リーダーシップ   →     消極的・卑屈・内気

 そして最後の『特記事項』欄は、大きく訂正の×印をした上で「IQ低下」と朱書された。
 この書き直された『要望書』がアカデミーに届いた3日後、アカデミーから5人の屈強な男性職員を乗せたバンが貴史を「迎え」にやって来たのだった。


 貴史の「処置」完了の知らせが届いたのは、9か月後のことだった。
 紗英はこの時点で、美津子に初めて『要望書』を訂正して提出したことを涙ながらに告白する。
「ごめんなさい。お母さん。でも、これ全部お兄ちゃんの希望だったの。『要望書』提出する前、お兄ちゃんが私にどうしてもお願いがあるって泣きながら言ったわ。お兄ちゃんが本当に望んでいるのは、りっぱで優秀でリーダーシップのある男性じゃないって。そんな重荷から解放されて、オバカだけど可愛いくて従順な女の子になりたいんだって。そしてね、本当はお兄ちゃんじゃなくて、甘えられる妹になりたいって。だから私より背の低い女の子にして欲しいって・・・泣きながら、何度も何度も言うの だから・・だから・・・・・(泣)」
 美津子は紗英の告白の内容に一瞬気を失いそうになったが、すでに紗英を信頼の置ける身内と認識していたし、それが貴史の本心なら仕方がない、それに何より今更もう手遅れだという気持ちもあって、無断で行った紗英の行動を許すしかなかった。紗英の涙の芝居は完璧だったのである。


 3日後、「迎え」の時とは異なり、一人の女性スタッフと二人の男性スタッフと共に、貴史は帰宅した。

「え?た、貴史・・本当に・・・貴史・・・なの?」
 バンの後部座席から降りてきたのは、紗英とほぼ同じ位の身長の、ホッソリとした少女だった。大きめの花柄プリントが印象的なベージュのワンピースをフルフルと震わせながら、じっと下を俯いている少女。ミニ丈から伸びる整った美脚にオフオワイトのミュールがよく似合っている。
「さあ、いつまでも黙ってないで、ママとお姉さんにご挨拶なさい。」
 黒いパンツスーツの女性職員が少女の華奢な背中を押す。8センチ位のヒールのためか、少女の身体が一瞬ぐらつく。このヒールを脱いだら自分よりかなり背が低いんだということが紗英にもわかった。 
 少女がゆっくりと顔を上げる。紗英はドキッとする。
 軽くウェーブの入ったミディアムヘアに覆われた小顔の美少女が、ローズピンクの唇をフルフルと震わせながらこちらに視線を送ってくる。瞳は緊張のためか幾分濡れているのがわかる。クルッと上向きにカールした長い睫がとても印象的だ。
「あ、あの・・・ま、ママ・・・お、お姉様・・・ただいま・・」
 外見の美少女ぶりとはあまりにかけ離れた、間の抜けたアニメ声のアンバランスさに美津子も紗英も思わす吹き出しそうになる。
「んん? それだけ? 先生達に教わったんじゃないかしら? ご挨拶を」
 女性スタッフの射るような視線が貴史に向けられる。
「えっと・・あの・・アカデミーの先生たちの・・・せ、せいで・・・あの・・」
『『せいで』じゃなくて『おかげで』でしょ?」
「あ、お、おかげで・・・女の子になれました。これからは・・・ママの娘として・・育ってほしい・・・」
「『育ててほしい』でしょっ!」
「あ、育てて欲しいです。 それから、お姉様・・オバカな妹だけど・・可愛いくてください。」
「『可愛がってください』でしょ!」
「かわ、可愛がってください。 もしも、悪い子だったら、えんじょなく・・」
「『遠慮無く』っ!」
「あ、遠慮無く・・・お仕置きして・・ください」
「もう、本当におバカはこれだから困るのよ。挨拶もできないだから。」
 女性スタッフの言葉に紗英は大きな声で笑った。 

(これがあの聡明だった貴史なの?こんなバカな女の子になることが望みだったの?それが望みだとしたら、もう私にはどうすることもできないわ。)
 美津子は心の中で何かが切れるのがわかった。

 その夜、生まれ変わった貴史に新たな名前が授けられた。
 「姉」の紗英と貴史の一文字をとって「紗貴」と名付けられた。
 紗貴は自分を呼ぶ時、必ず「紗貴」と名前で言うことが命じられた。
 そして、美津子を呼ぶときは、「ママ」、紗英を呼ぶときは「お姉ちゃん」または「お姉ちゃま」とすることも決められた。

「普通、女の子でもこのくらいの歳になればそんな呼び方恥ずかしくてしないけど、おバカキャラの紗貴には、その方がお似合いでしょ?」
 紗英の意地の悪い言葉が、紗貴の心に刺さってくる。
 以前の「貴史」ならそんな言葉を言われたら、すぐに殴りつけたに違いない。いや、今だってそういう気持ちはある。でも、そうすることができない。それはセンターでの長期間にわたる洗脳によるものだった。暴力的なこと、反抗的なこと、積極的なこと、そういったことを行おうとすると必ず身体的苦痛がわき上がってくるのだった。それは耐え難い苦しみだった。だから、自然とそういう感情を持たないように自己抑制がかかるようになったのである。
 ちなみにIQに関しては洗脳によるものではない。もっと恐ろしい処置、つまり脳に対する直接の外科的処置によるものだった。 


 いよいよ紗英の紗貴に対する復讐の時がやってきた。
 紗英は紗貴が帰宅することが決まってから、いろいろな案を練った。
 そして、たどり着いたのはやはり紗貴が「貴史」時代に最もプライドを持っていた「優秀な頭脳」に関する復讐案だった。

 彼らの家の隣には小学校2年生と3年生の兄弟が住んでいる。学年の割に身体も大きくやんちゃ盛りの男の子である。
 紗貴も「貴史」時代には、頼まれて勉強を見てやったり、遊んでやったりしたこともあった。
 紗英は勉強を教えてあげると言って、二人を招待した。

 リビングルームでの勉強会が始まる。どうやら算数らしかった。
 紗英が二人のノートに書き込みながら何やら説明している。
(いったい何を言ってるんだろう?)
 紗貴にはチンプンカンプンだった。アカデミーで身につけられた「唇半開き」の表情と小首を傾げる動作が紗貴の新たなキャラクターに似合いすぎている。
 紗英はそんな紗貴に時折視線を送りながら、こみ上げてくる笑いを必死に抑えた。

「ねえ、あのお姉ちゃんだれ?」
 弟の方が紗貴を指さして尋ねる。
「ああ、あのお姉ちゃんね。あれは親戚のお姉ちゃんだよ。紗貴ちゃんっていうのよ。」
「ふーん、ねえ、紗貴お姉ちゃんは勉強教えてくれないの?」
「あ、うん、大丈夫よ。だって紗貴お姉ちゃん、小学校時代、すごくお勉強できたんだから。ね? 紗貴ちゃん」
 紗貴は、紗英の射るような視線にただ小さく頷くしかなかった。 

 やがて、紗英はある計画を実行に移す。
「ごめんね、お姉ちゃん、ちょっとだけ二階で用事があるから、その間あの紗貴お姉ちゃんに勉強見てもらってね。」
「え?そ、そんな・・・」
 紗貴の顔が赤くなる。
 紗英が口元に冷たい笑みを浮かべて部屋を出て行くと、子供たちの矢継ぎ早の質問が飛ぶ。
「ねえ、これどうやるの? これ何て読むの? 早く教えてよぉ」
「え、えっとね・・・あのね・・・」
 チンプンカンプンだった。文字も数字も何を意味してるのかわからない。  
 実は紗貴は自分が「おバカ」なんだという認識はある。それは、周囲の人が何度もその言葉を口にするからだ。でも、「おバカ」とはどういう人のことを言うのかわからない。
 自分ではただ普通にしているだけなのに、あの「手術の日」以降、周りの人が頻繁にそう呼ぶようになった。今となっては何となくニックネームのようにも感じられるくらいだ。

「ねえ、どうしたの? 小学校の時、お勉強できたんでしょ? もうー、嘘だっだんだ?本当は『おバカ』だったんだね。 だってなんかそんな顔してるもん。」
 何も答えられない紗貴の様子に業を煮やしたのか、兄の方が遠慮無く言い放った。
「嘘つき、嘘つき、嘘つき・・・」
 兄の言葉を受けて、弟が手を叩きながらはやし立てる。  
 騒ぎを聞きつけ、紗英がリビングに戻ってくる。
「どうしたの?二人とも?」
 紗英は、紗貴が恥ずかしそうに真っ赤になって下を俯いている姿を見て、ゾクゾクした快感が走るのを感じた。
「あのね、このお姉ちゃん、嘘つきなんだ。本当はおバカなのに、勉強できるなんて言って。」
「そ、それは・・・紗英が勝手に・・・」
 紗英がキッと睨み付ける。
「あ、さ、紗英おねえちゃまが・・勝手に・・・」
 言い直そうとしたが遅かった。
「アハハハ・・・お姉ちゃまだって。なんか赤ちゃんみたいだ。」
 弟が手を叩いて笑うと、兄も釣られて手を叩く。

「そう、本当に悪いお姉ちゃんよね。 紗貴お姉ちゃんは。 嘘つくなんてね?  ねえ?二人は嘘ついたりしたらお父さんやお母さんに怒られる?」
 紗英は何か思いついたのか、目がきらきら輝かしている。
「うん、すごく怒られるよ。」
「ふぅん、どうやって怒られるの?」
「あのね、パンツ脱がされて、お尻叩かれるよ。」
「へぇ、お尻叩かれるのぉ・・・」
 紗英が紗貴の目を見つめながら言った。
 紗貴は目で哀願した。
(お願い・・そんなことやめて・・・)


 30分後、紗貴はソファに上半身だけ腹這いになり、膝はフロアに付けたままの姿勢で、こみ上げる涙を拭いもせず、声を殺して泣いていた。
 白いフレアミニの裾がめくれ上がり、真っ赤に腫れたお尻が痛々しい。その赤さこそ、この屈辱的な出来事が夢でなかったことの証だった。
 20発・・・兄が5発。弟が5発・・・そして最後に紗英が10発・・・

「紗英おねえちゃま・・・お願い、許して・・、紗貴はいけない子でした。もう嘘はつきません。おねえちゃまのいいつけも守りますからぁ・・・」
 紗貴の涙ながらの屈辱的な言葉を最後にその日の紗英の「復讐」は終わった。
いくら涙を流しても、流れ落ちないのは永久メイクのおかげである。

 紗英の復讐はその後も止まることを知らなかった。
 例えばわざと難しい家事を言いつけて、結果として失敗すると、美津子の前でもお尻たたきである。しかもその後、感謝の言葉まで言わされるのだ。
 またある時はEカップの美乳とスラリとした脚線を強調するような大胆なミニのワンピースで買い物に行かされ、購入した商品の一つ一つの金額を記憶してくるという課題が与えられた。ただでさえ記憶力が低下しているのに、その上好奇の視線に晒されて緊張しているのだ。金額など覚えられるものではない。もちろん、帰宅後の計算で金額は合わない。すると、もう一度確認のため店に戻らなければならないのだ。その日、Eカップの美乳をユサユサさせながら、口を半開きにして走り過ぎるおバカっぽい女の子を見た人は、その町には大勢いたにちがいない。


 そしてついに紗英の用意した最大の復讐の日がやって来た。
その日紗貴は紗英から一枚の地図とA4大の封筒を預けられる。
 地図を頼りにある家を尋ね、封筒を手渡して来ること。それが紗英からの命令だった。
 地図を見るのは大変だけど、計算したり難しい漢字を読んだりするよりはずっと楽だ。
 紗貴はそう思った。
 ほっとした笑顔を見せる紗貴に、ライトイエローのタンクトップとサイドラインの入ったデニムのマイクロミニが手渡された。
 このところ、連日のように大胆な服を着せられているとは言え、そう簡単に慣れるものではない。
 紗貴は羞恥心に耐えながら命じられたまま服を着ると、地図を頼りに目的地に向かった。
途中、何度も道に迷いながらも何とか辿り着けたのは、露出度の高い服のおかげだったかもしれない。紗貴が地図を片手に首を傾げながら、半開きの唇を突き出していると、不思議なくらい男の人が親切に声をかけてくる。そして彼らは一様に優しく説明してくれるが、その視線も一様だった。それは胸の開いたタンクトップから覗く深い胸の谷間や、マイクロミニから伸びるスラリとした長い脚に向けられるものだった。
 
1005.jpg

 ほぼ約束通りの時間に到着した紗貴は、インターフォンのボタンを押す。
「こんにちは、紗貴です。お届けもの・・・です。」
「ああ、悪いけど、通用口に回って。人目に付くと困るから。」
 インターフォン越しに相手の男の声が聞こえる。すこし冷たそうな声だ。
 言われるまま、通用口に回ると鉄製のドアが見えた。
 ドアは重かったが、鍵はかかっていなかった。恐らく、インターフォンの男が予め開けておいたのだろう。
 そのまま中に入り、メモに書いてある部屋番号に向かう。
 
 部屋の前のインターフォンを押す。
 数秒の後、ドアがゆっくりと開く。
 中から眼鏡をかけた中年男が顔を出す。すこし神経質そうな印象を受ける。
「あの、お届け物・・・です。」
 紗貴は、預かっているA4大の封筒を差し出す。
 男はそれを左手で受け取ると、そのまま右手で紗貴のか細い左の二の腕をつかみ強引に部屋の中へ引きずり込んだ。
「きゃっ、な、なにを・・するの?」
 紗貴の高いアニメ声が部屋の中に響く。
「あはは・・本当だ。なかなかいいお芝居するじゃないか。」
 男は下品な笑みを浮かべて、なおも紗貴の身体を部屋の奥へと引っ張っていく。
「お、おねがい・・やめて・・・」
 紗貴の顔から血の気が引いていく。
 その表情を見て、男の顔の笑顔がますます深くなる。
 
 奥のベッドルームには木目のダブルベッドがあった。
 男は紗貴を強引に押し倒すと、予め用意していたロープで手首を縛り上げようとする。「い、いたっ・・・やめてぇ・・・」
 紗貴が大声を上げた時、男は一瞬ひるんだが、何故かすぐに納得の笑顔を見せ、右手で紗貴の左頬を張った。
 咄嗟のことに言葉を失ったが、次の瞬間、紗貴の心に言いようのない恐怖がわき上がってきて涙が一気に溢れてきた。
「ほう、うまいもんだねぇ。なんか燃えてきたぞ」
 男はそんな紗貴の恐怖心などお構いなしに、大胆な行動を取っていく。
 縛り上げた両手をベッドの端に縛り付け、タンクトップの裾を一気にめくり上げたのだ。
 紗貴のノーブラのEカップのバストがブルブルンと小刻みに揺れる。
 男は右手で形のいい美乳を鷲づかみにすると、荒々しく揉みしだいた。
「んんっ・・・」
 紗貴の半開きの唇から思わず吐息が漏れる。敏感な乳首はアカデミーでのレッスンの「賜物」だった。
 
 その後男はマイクロミニを引きずり下ろすと、黒のTバックをも引き抜いた。
「あ、イヤ・・」
 紗貴の小指の先ほどのピンクの突起が姿を現す。それはまるで肥大化したクリトリスと見まがうほどの大きさしかないが、明らかに少女の真の「性」を表すものだった。
 だが、男はそれになんらの驚きをも示さなかった。むしろ笑顔を浮かべながら、小さな突起を弄ぶのだった。
 やがて男は自分のズボンを脱ぎ捨てると、紺色のトランクスも脚から引き抜いていく。男のペニスがすでに興奮状態にあることを示している。
「ほら、これが男のペニスだよ。でも紗貴ちゃんは女の子だから、クリちゃんだね。ハハハ」
 男はベッドの端のロープを解くと、紗貴の上半身を起こし、そのまま跪かせる。
 そして半開きになった唇に固く膨張したペニスを押しつけてくる。
 紗貴は思わず、顔を背ける。アカデミーでも本当のペニスを口にしたことはなかった。 紗貴に行われたレッスンではリアルなディルドウまでだったのだ。
「なるほど、ここでも演技するわけね。いいねぇ・・。」
 男はそう言うと、また右手に力を込め、紗貴の左頬を張った。
 逃れようのない恐怖感が紗貴の心に戻ってきた。
 アカデミーでのレッスンを思い出し、唇をペニスの先に触れさせると、チュッチュツと音をたてながらキスをした。それが男を喜ばすテクニックの一つだとアカデミーでは教え込まれていた。
 次に舌先を出しチロチロとペニスの先端をさするように愛撫し、それがやがて肉茎に沿って舐め上げるような技巧へと移っていった。それはあどけない少女のような面立ちとは似つかわしくないテクニックだった。

 紗貴によるフェラチオは、やがて男のくぐもったうなり声と共に終焉を迎える。
「う、うう、い、く・・・」
 男は紗貴の頭を引きつけるようにすると、のど奥まで届けとばかりに腰をグイと突き出した。
 窒息するのではという圧迫感を感じた直後、熱い迸りが喉奥に届く。 
 紗貴は繰り返す嘔吐感に襲われながらも、男の欲情の証を嚥下した。
 一筋の涙が紗貴の頬を伝うと同時に、一本の白い筋が左の口元から滴り流れていった。


 その後呆然とした感覚の中で、もう一度タンクトップとマイクロミニを身につけた紗貴はゆっくり寝室を離れた。
 男はすでにシャワーを浴び、ソファに腰掛けている。
 寝室から出てきた紗貴に気づいた男は、おもむろに財布を取り出すと、一万円札を数枚取り出し、紗貴に手渡そうとした。
 紗貴が一体何のことだか理解できないでいると、そのまま無言で胸の谷間に押し込んだ。
そしてニコリと微笑むと、どこかのチラシらしい紙片を紗貴に手渡した。
「本当に、そこ書いてある通りだったよ。久しぶりに楽しんだなぁ。」
 男はそう言うと、もう一度ソファに腰掛けると、ビールの缶を開けた。
 紗貴はチラシに目を落とした。派手な色彩がいかにもピンクチラシらしいが、どこか素人がPCで作ったような粗雑さも感じられる。
『 可愛い男の娘専科   Mッ娘倶楽部 
  当店は可愛い真性Mの男の娘しかおりません。どんなハードなことでもOKです。
  プレイのご希望は予約の際のお尋ねください。
    尚、現在オープンキャンペーン中につき、プレゼント進呈中
       *プレイが終わってから見てね! 』
 
 チラシを持つ紗貴の手が震えている。
 紗英が自分に客を取らせたということはすぐにわかった。いくらおバカになったとしてもそれくらいはわかる。難しくて読めない漢字も入っているけど、それでもわかる。
 紗貴の目に涙が溢れてきた。拭っても拭っても溢れてくる。
滲む視界の中で紗貴は玄関の方に向かって歩き出した。

「ああ、そうだ・・・プレゼントってのがあったんだよね。あの封筒でしょ? 」
 男の声に一瞬脚が止まる。紗貴は、何故か妙な胸騒ぎを覚えた。
 男は、おもむろに封筒を開くと中身を取り出した。
 数枚の写真の束と一枚の紙片だった。一番上の写真は、一昨日紗英が写したピンクのベビードール姿の紗貴だった。
「なるほど、生写真ってことか。ハハハ」
 男はそう言うと紙片の方を広げた。中にはきっちりと文字が書き込まれている。
 男はニヤニヤしながら、文字を追っていく。
 やがて、笑顔が消え、目を丸くしたかと思うと、残りの写真を手早く捲っていった。慌てているため手元がおぼつかない。
 そして次の瞬間、紗貴の方に目をやると、
「そ、そんなこと・・・」
 と一言だけ言って、頭を抱え込んだ。男の身体がブルブルと震えているのが紗貴にもわかった。

 男のそばに近づいた紗貴の目に、散乱した数枚の「生写真」が飛び込んでくる。
 扇情的なランジェリーを身に纏った紗貴の写真に、何故か「貴史」時代の写真が混じっている。 
 「胸騒ぎ」が「恐怖」へと変わっていった。
 紗貴は、男が落とした紙片を取り上げ読み始めた。
 紗貴にも読める平仮名主体の手紙だった。
 すぐに紗貴の顔からも血の気が引き、目の前の男と同じように震えが襲ってきた。
「い、いやぁー」
 紗貴の甲高い悲鳴が部屋中に響き渡った。



****************************************
 
 紗英と母親の美津子は、二人きりでリビングのソファに腰掛けている。
 紗貴が地図と封筒を手に家を出てから2時間ほど経っている。
「ねえ、紗英、今年くらいお誕生日プレゼントあげたら?お父さんに。」
 美津子の質問に紗英はただ黙って微笑んでいる。
「いつまでも仲たがいしててもしょうがないでしょ?私たちが離婚してたって、親子なんだから、ね?」
 紗英は静かに視線を美津子に向ける。口元には微かな笑みが浮かんでいる。
「ええ、言われなくてもそうするつもりよ。お母さん。」
「あ、そうなの?よかった。で、何にするかもう決めた?」
「『父親と娘の劇的な再会』っていうのはどう?」
「あら、いいじゃない。紗英、もう長くお父さんと会ってないものね?」
 紗英はティーカップを口に運ぶと、一口紅茶を啜った。
 そしてふっと微笑むと、
「フフッ・・ 違うわ お母さん。 私じゃないわよ。 それにもう『父親と娘の劇的な再会』は終わってる頃よ。フフフ」

(THE END)



スポンサーサイト
[PR]

コメント

§

この小説いいですね。特にラストはドキドキ感もあって最高です。恥ずかしながら抜かしてもらいました

§ Re: タイトルなし

>名無しの太郎様

コメントありがとうございます。
やはり書いている側としてはこうしてお褒めのコメント頂けるとうれしくなります。
このシリーズはこれからも何作か、書いていこうと思っていますので、
よかったら、またコメントください。(できれば、お褒めの^^)



この小説いいですね。特にラストはドキドキ感もあって最高です。恥ずかしながら抜かしてもらいました

§

面白く読ませていただきました、これからも期待しています

§ Re: タイトルなし

>タオカ様

気に入って頂いて幸いです。これからも暇を見つけては書いていこうと思っていますので、気長にお待ちください。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
オンラインカウンター
現在の閲覧者数:
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。