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私立明倫学園高校 第2章-2

 2年生授業最終日を迎えたSクラスの教室は、担任教師の来室を待つ25名の「女子生徒」のおしゃべりに包まれていた。
 みんなの話題の中心は3年生をどういう形で迎えるのかにあった。
今日を迎えるに当たって、不安を抱えている者もいたが、それも宮永裕樹の「女子生徒としてFクラスに編入されるはず」という言葉に、その不安も消えていた。
 ただ明彦には、もしFクラスに編入されたら、美穂との再会はどんな形になるのだろう。美穂は自分を理解してくれるだろうかという、不安が消えてはいなかったが。

 数分後、担任教師が2名のカウンセラーと4名の見慣れない男を伴って教室に入ってきた。
 教師もカウンセラーにも男達にも笑顔はない。
 4名の男たちは一様に体格に恵まれ、屈強そのものというイメージで、それが厳つい顔つきと妙にマッチしていた。
 彼らを見た教室の「女子生徒」たちは一斉におしゃべりを止め、視線を教壇に向けた。

「今日は、大切な話があるので、よく聞いて欲しい。これは君たちの今後を決める大事な話だ。説明中の私語はもちろん、質問も受け付けない。違反した者には罰則があるのでそのつもりで。」
 Sクラス生全員からも笑顔が消えた。ただならぬ雰囲気に不安を隠せない者もいた。
「君たちは、それぞれ自分が『性同一性障害』であり、心は女だと信じているね?」
 全員が大きく頷いた。
 教師の口許に初めて笑みが浮かんだ。明るい笑みではない。口許をゆがめた冷淡な笑みだった。
「それは、間違いだ。君たちは『性同一性障害』でも何でもない。君たちは正真正銘、心も体も男子である。それなのに、なぜ心の中は女子だと思い、今のような化粧をしたり、セーラー服を着るのが自然だと思うようになったのか?それはこの寮での『精神操作』によるものだ。まあ、一種の催眠状態に君たちはいるということだ。ここにいるカウンセラーの先生たちによってなされたことだ。」
 教師は教壇脇に立っているカウンセラーに視線を送った。

「そ、そんなわけないわ。だって、私たちみんな、身体だって・・・」
 最後列に座っていた北田晃一が席を立ち、胸を張って見せた。
 それは目立つほどの胸の膨らみではないが、それでも胸を張ってみせればブラウスの奥に小さな丘があることは容易に見て取れた。
 教師は晃一の突然の発言にも動じるそぶりを見せず、変わりに教室後方に立っている4人の男たちに目配せをした。
 男の一人が北田晃一の席に近づき、右手を振り上げたと思った直後、激しい勢いで晃一の頬を張った。
 ピシィーという湿った破裂音が無音の教室に鳴り響いた。同時に晃一の細い身体が崩れ落ちた。
 頬を打たれた痛みからか、あまりに突然の出来事だったからなのか、晃一の目には涙が溢れれ、口許からは嗚咽が漏れ始めた。
「先ほども言ったはずだ。私語も質問も禁止だと。違反したら罰則が待っているということも。」
 みんなの視線が晃一に向けられた。晃一の嗚咽だけが教室中に響いていた。

「まあ、北田の言いたいこともわかる。自分たちは身体も女性的になっているのだから、女であると言いたいんだろう。ハハハ・・・だが、それはおかしい。例え性同一性障害だとしても、それは精神の問題であり、肉体まで女性化するわけはないからだ。では、お前たちの身体はどうして女性化したのか。それは・・・食事の時に与えられてきた『スペシャルドリンク』と呼ばれるもののせいだ。あの主成分は高濃度の『エストロゲン』だと言ってある。その『エストロゲン』がどのようなものか、調べた者はいるか?」
 教師の質問に誰一人手を挙げる者はいなかった。
 呼びかけもいつしか「君」から「お前」に変わっていた。そのことが彼らの緊張感をより一層高めていた。
「ハハハ・・・いないだろうな。 お前たちには、未知な物を調べようとする意欲も知恵もないだろうからな。なぜならこれまで2年間の学習でお前たちの能力は小学校低学年並のレベルに落ちているのだから。仕方がないので、教えておいてやるが、『エストロゲン』とは、女性ホルモンのことだ。お前たちはこれまで高濃度の女性ホルモンをずっと摂取してきたということだ。お前たちの身体が女性化したのはそのためだ。」
 教師の言葉に誰一人反論しようとする者はいなかった。
 それは、反論したときに北田晃一と同じ罰則を受けるのを恐れたからだけではない。
 教師の言っていることが全く信じられなかいものだったからだ。いったい何を言っているのか、まるで別世界のことのように思えたのだ。
 自分が男であるわけはない。だって、自分は間違いなく女なんだから。
 それが生徒達の本心だった。
「ハハハ・・・みんな信じられないような顔をしているな。それは仕方がないことだ。なぜならお前たちは皆催眠状態にいるのだから。よろしい。これからその催眠状態を解くことにする。」
 教師は教卓に二人のカウンセラーを手招きした。

 その後、約2時間をかけて、Sクラス生たちの催眠状態は徐々に解かれていった。
 なぜ、それほどまでの長時間が必要だったのか。
 それは、ただ単に生徒たちの意識を男子生徒として入学した時点に戻すというだけではなかったからだ。
 一部の催眠状態は保持したまま、大部分を元に戻すという極めて繊細なものだったのである。
 その保持した部分とは、これまでの洗脳教育で植え付けた、強者に対する卑屈なまで従順さと従属性だった。
 この点さえ保持しておけば、体内を支配し始めた高濃度のエストロゲンとの相乗効果により、今後の計画が進めやすいと考えたからである。
 だが、そうまでして、せっかくの催眠状態を解くことにどんな意味があるのだろうか。
 そこには学園側の極めて冷酷な奸計があったのである。

 学園側には彼らSクラス生を女子Fクラスへ編入させる考えなど最初から持っていなかった。
 学園側は彼らを明倫学園生としてではなく、特別クラス生として残り一年の「特殊指導」を行うこととを計画していた。
 それには保護者からも世間からも明倫学園生としての彼らの存在を消す必要がある。
 もし、仮に彼らが「性同一性障害」であることを理由に女子生徒として正当な権利を主張するようなことがあれば、一部の理解ある保護者はその意見に賛同し、世間をも巻き込んだ論争に発展する恐れもある。
 学園としてはどうしてもそれを避ける必要があった。
 それには彼らを、保護者にとって正当な権利を主張するには及ばない「疎ましい」存在、つまり昔風に言うなら「勘当」するにふさわしい「息子」にすることである。
「自分の息子は、男でありながら女装趣味があり、しかも女子になりたくて、進んで女性ホルモンまで摂取することをカウンセラーに相談し、実行した。そんな「変態息子」を何とか学校の力で教育し直して欲しい。」という思いを保護者に抱かせることが必要だった。
 それが学園側が、わざわざ彼らの催眠状態を解いた理由だった。

 その夜、Sクラス寮ではすべての部屋から咽び泣きが響いていた。
 催眠状態が解かれ、改めて変わり果てた自分の姿を目の前にした絶望の悲しみによる涙だった。
 明彦も例外ではなかった。
 せめて少しでも男としての自分に戻りたい。
 そんな思いからメイクを落とし、男性用の下着を着て鏡の前に立った。
 異様な光景だった。
 スッピンの美少女が男物のトランクスとTシャツを身につけ、鏡の前に立っている。
 Tシャツの胸の部分にはあるはずのない豊かな柔らかい膨らみが、これでもかと主張している。
 袖から伸びる、白くか細い腕はあまりにも儚い。
 ずっと意識していなかったことだが、トランクスを履いてみると股間の盛り上がりがほとんど認められない。いつからこれほどまでにペニスが矮小化していたのか、明彦にはまったく思い出すことができなかった。
明彦の目には拭っても拭いきれないほどの涙が溢れてきた。
 それは、取り返しが付かない段階まで変わり果てた自分の姿に対する絶望感と共に、明日から始まる「特殊指導」への不安感とが重なり合った感情によるものだった。

 (第3章へ続く)

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コメント

§

いい展開になってきましたね。続きが楽しみです。明彦たちの受ける男へ戻れない絶望とか女性化させられる屈辱とかが今後の展開でしょうか。

§ Re: タイトルなし

>まる 様
コメントありがとうございます。
楽しんでいただければ幸いです。

> 明彦たちの受ける男へ戻れない絶望とか女性化させられる屈辱とかが今後の展開でしょうか。
 
 ネタばれになるのであまり詳しくは言えませんが、それに近い展開になる予定です。
 「屈辱」は絶対的なキーワードです^^

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プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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