FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

私立明倫学園高校 第3章-1

教室のプレートは「3年Sクラス」と書き換えられてあった。
 傍目からは2年Sクラス生が、進級の日を迎え3年Sクラス生となったことを示している。
 明彦は真新しいプレートを涙で潤んだ瞳で見つめている。
 昨日までなら、教室のドア付近に立てば、中からクラスメートの明るい会話が聞こえてきていた。しかし、今はそんな声は聞こえてこない。時折耳に入るのは、むせび泣くような声だけだった。
 明彦は思いきってドアを開けた。 
 教室の中にはすでに10名ほどが、昨日までと同じ席に着いていた。
 彼らの目は一瞬、明彦の方に向けられたが、次の瞬間には視線を落とし、ただ机の上を呆然と眺めるだけだった。
 昨日までの彼らの表情とは全く違っている。
 それはもちろん、昨日教師から告げられた残酷な事実、つまり自分を女の子だと思いこんでいたのは、単に精神操作という洗脳によるものであるという事実に、精神的ショックを隠しきれないためだったが、実はもう一つの理由があった。
 彼らの表情が違って見える最大の理由は、メイクをしていないということだった。
 恐らく彼らは今朝起きて着替えをする際に、自分は本当は男なんだということを思い出したに違いない。昨日まであれだけ楽しかったメイクが嫌悪の対象になったのである。
 それでも彼らはセーラー服の着用を拒むことはできない。恐らく下着も女性ものを身につけているに違いない。
 なぜなら、彼らの部屋には、ひとかけらの男性物も残っていないはずだからである。
 それは明彦も同様だった。本当は男なのだという事実を知らされた今、ブラやショーツなど身につけたくもない。しかしショーツを履かずにスカートを履くことなどできない。
 それならせめてブラはしないでおこうとも思った。だが、ブラなしでBカップのふっくらとした膨らみを支えることはできないし、はっきりと突起した乳首の摺れを防ぐこともできない。
 明彦は顔から火の出る思いで、ブラとショーツを身につけたのだった。

 その後、教室は、順次生徒で満たされていった。セーラー服にノーメイクというのが、すべての生徒の共通項だった。
 中には、あえて男子としての自分を意識しようと、外股で大きな足取りで席に向かう者もあった。だが悲しいかな、その姿には滑稽な程の違和感があった。
 長期間に渡る指導により身に付いた女性としての仕草が無意識にうちに現れ出てしまうのである。少女が慣れない男の子のまねをしている、それが傍目から見た素直な印象だった。

「ちきしょう、俺をこんな目にあわせやがって。 絶対に許さないからなっ」
 明彦の後方から声が聞こえてきた。声の主は後藤亮太だった。
 本人は、自分の悔しさをぶつけようと、意識して声を低めて、すごんでみたのかもしれない。だが端から聞いていると、少女が男の子の話し方を真似ているようにしか聞こえない。これもまた長期間にわたる女性としての話し方指導による結果であった。
 明彦はハッとした。きっと今自分が同じような言動をとれば同じ結果になるのだろう。
 そう思いは明彦だけではなかったようだ。と言うのも、後藤亮太の声に積極的な反応を示す者は誰一人としていなかったからである。
 いくら男としての言動を意識して取ってみても、その結果は滑稽な演技にしか見えない、自分にもたらされた変化はそこまで達しているのだという冷徹な事実を、彼らは一様に感じ取っていたのである。
 最後に教室に入ってきたのは親友の宮永裕樹だった。
 裕樹の目は腫れていた。きっと直前まで泣いていたに違いない。
 明彦は裕樹に視線を送った。裕樹もそれに返したが、言葉を発しないまま隣の席に着いた。

 
 10分ほどして、担任教師は前日と同様に、二名のカウンセラーと四名のSP風の男たちを伴って教室に入ってきた。ただ、前日と違っていたのは、今日はもう一人の同行者がいたことである。
 同行者は学園長であった。
 実は彼らにとって学園長の姿を直接目にするのは、入学式以来、約2年ぶりのことであった。
 学園長の来室という予想外の出来事に、教室に流れる緊張感は一気に高まった。
 しかも、彼の顔には入学式で見せたような凛とした雰囲気は消えていて、口許には奇妙な笑みさえ浮かんでいる。それは教育者としての笑みと言うよりははむしろ、25名のおとなしく、従順そうなセーラー服の「女子生徒」を前にした、どこか卑猥で好色な笑みに感じられた。
 明彦は学園長の教室中をなめ回すような視線が自分を捉えたとき、背筋に寒気が走り、思わずセーラー服のスカートの裾を押さえ、ブラウスの胸元に右手を添えた。

 学園長は、担任教師に促され教卓の前に歩み出ると、もう一度教室全体に視線を送り、相変わらず好色な笑みを浮かべながらゆっくりと口を開いた。
「今日から、お前たちも3年生だ。まずはおめでとう。今、男子Dクラス生、女子Fクラス生にも挨拶をして来たところだが、彼らは皆希望に溢れた表情をしていた。お前たちもきっと希望に満ちあふれていることと思う。残念ながら表情からは、そんな様子は見えないが・・・。」
 学園長の言葉には明らかな皮肉が込められていた。彼もまた担任教師と同様、呼びかけの言葉は「お前」であった。
「今日は3年生初日として、お前達に言っておくことがある。とても大事なことだから、きちんと聞くように。説明中の私語は一切禁止する。違反した場合の罰則は・・・・もう言う必要なないだろうな。フフフ」
 学園長は、教室後方に無表情のまま直立している4人のSP男たちに視線を送った。
 教室中に冷たい恐怖感が走った。昨日の出来事を忘れている者は一人もいなかった。
 その上、彼らの心には強者に対する卑屈なまでの従属性が残ったままである。厳しいカロリー計算とスポーツ禁止とによって、哀れなほど華奢な体格に変化している彼らにとってSP男たちはまさに「強者」以外の何者でもなかった。
 現に明彦は彼らの射るような視線を一瞬たりとも正視できなかった。いや正視しようと試みることさえできなかったのである。

「まず第一に、お前達は正式には、我が明倫学園高校3年生になったわけではないということを覚えておきなさい。お前達の学籍は昨日の段階で抹消されている。つまり現在、明倫学園高校3年生と言えば、それは男子Dクラス生と女子Fクラス生のみを指しているということだ。」
 生徒全員の視線が学園長に注がれるが、誰一人言葉を発しようとする者はいない。
 それは、罰則が怖いからではない。学園長の言っていることの趣旨が全く理解できないからである。
「ハハハ・・・お前達何を言ってるのかわからないようだな。では、具体的に説明しよう。お前達がこの2年間で学んだ高校履修単位は0である。つまり形式的には2年間一度も高校の授業には出席していないことになっている。従って、単位不足によって退学処分とするというのが学園の方針であり、そのことはすでにお前達の保護者にも連絡済みである。当然ながら、保護者からは事情説明を求められたので、すべてを説明してある。その内容は、『お前達には特別な性癖、つまり女になりたいという願望があり、寮内では女装して過ごしている。恐らく家にいては発散できなかった願望を、寮の中でなら果たすことができると思ったのだろう。そのため願望を満たすことに時間を費やして授業どころではなかったようだ。学園側としてはご子息を退学させる以外に方法がない。』というものである。もちろん、保護者達は最初、我々の言葉を信じようとしなかった。だが、私たちがお前達の直近の姿を画像に収め、送付したことでその問題は解決した。その後の保護者たちの反応は程度の差こそあれ、ほぼ一様だった。何とか卒業だけはさせて欲しい。そのためにはどんな手段でもかまわない。場合によっては寄付金の増額で何とかならないか、と。それはそれは、涙ぐましい親心だ。ハハハ・・・。」
 学園長の顔には遠慮のない笑みが溢れていた。
 生徒達はその笑顔に邪悪な心を感じ取り身体を一層固くした。
「そこで、我々は保護者達にお前達の卒業を約束する代わりに、学園が行うあらゆる『処置』に対して一切の異論を挟ないこと、またどういう結果になろうとも責任を追及しない旨を唱った新たな誓約書を提出してもらっている。つまりお前達にこれから行われる『特別指導』という名の『処置』には保護者からの全面的な支持があるということだ。もちろん保護者達は、学園側がお前達『変態息子』を更正させ、その上で卒業に必要な指導が行われると思ってのことだろうがな・・・アハハ」
 

 その後、学園長と担任教師による説明は優に2時間を超えて行われた。
 途中、声を上げて抗議する者、また走って逃げ出そうとする者もいたが、その度にSPによって強引に抑えつけられ、それでも抵抗を続ける者には容赦のない平手打ちの洗礼が待っていた。
 見せしめというにはあまりに凄惨な光景に、ほとんどの生徒は無言のまま震えるしかなかった。彼らの心の中にある「強者に対する卑屈なまでの服従性」が教室全体を覆いつくしていたのである。
 もちろん、それは明彦とて例外ではなかった。
 もしかして洗脳教育を受ける前の彼だったら、無駄だとわかっていても抵抗し、平手打ちを浴び、机に泣き伏している3名の生徒の中に加わっていたかもしれない。
 だが、今の彼にはその片鱗すら見ることができなかった。
 恐ろしい光景に身体を震わせ、こぼれ落ちる涙を拭おうともせずにじっと瞳を閉じるしかなかったのである。

 学園長の説明が終わった時、教室全体を満たしていたのは、絶望に打ちひしがれた生徒達の声にならない嗚咽だけだった。
 明彦は隣の裕樹に目を向けたが、声をかけることはできなかった。呆然と前方の一点を見つめるその顔は、恐怖からか、絶望からか、病的な程蒼白だった。

 Sクラス生たちをそこまでの思いに追い込んだ学園長の説明とは、どのようなものだったのか。
 その要点は次の通りである。

 まず、前提として彼らSクラス生の明倫学園高校における学籍を削除し、代わりに姉妹校である恭純女子学園特別生としての学籍を与える。
 無論書類上のことであり、「特別指導」はそのまま現学生寮内で行う。
 今後、一年間で高校卒業に必要な単位を「書類上」付与するが、実際に高校の授業を行うわけではなく、その時間をすべて「特別指導」に費やす。
 そこには一人の脱落者も許さない。すべての生徒が習得するよう徹底的な指導を行う。その点は、我々明倫学園のモットーだから。
 学園長は最後に皮肉を込めてそう言うと、大きな笑顔を見せた。

「では、肝腎な『特別指導』の内容だが・・・、これは、一言で言って実生活に関わる内容と言っていいだろう。つまり、お前たちのような小学生並みの知能と体力しかない者たちが今後生きていくために必要な知識と技能の習得、それが目的だ。」
 学園長は、生徒たちの顔に『特別指導』という聞き慣れない言葉に対する疑問の色が浮かんでいるのを感じ取って、そう言った。
「それが、具体的にどのようなものかわかる者はいるか?」
 学園長は初めて生徒たちに問いかけた。
 しかしその顔には、学問的な興味からではなく、目の前の「女子高生」達をからかいながら楽しんでいる様子が見て取れた。 
「うむ・・・やはりお前達のように知能が低い者には無理だったかな。」
 学園長は、誰一人として反応がないのを見て嘲笑気味に言った。
 そんな嘲笑にさえ、誰一人として反発を示そうとしなかったのは、言うまでもなく、意識の底を流れている強者に対する従属性と、SP男たちによる厳しい処罰に対する恐怖心からだった。
  
「では、質問を変える。知能もない、体力もない、そんな人間が生きていくにはどうしたらいいと思う?」
 学園長はそう言うと、教卓に置かれた座席表を頼りに一人の生徒を指さした。
 指さされた生徒は、一瞬ビクッとしたが、何とかゆっくりと立ち上がり口を開いた。
「べ、勉強して・・・知能を高め・・・運動して・・・体力をつければいいと・・・思います。」
「ハハハ、そんなことをしても間に合わない。小学生なみの学習しかしていないお前たちが大学に進学するのは不可能だ。一年後には自ら生きる術を身につけていなければならない。少なくとも『女子高生』になった『変態息子』の帰りを迎えてくれる家はないだろうからな。だが、心配することはない。お前たちは知能と体力を失いはしたが、代わりに得た貴重な財産がある。それをうまく使いこなせば、すぐに幸せな生活を送れるようになる。『特別指導』はそれを教えるのが目的だ。  では、次の質問をする。その貴重な財産とは何だ?」
 学園長は、先ほどの生徒の後ろの座席を指さした。
 指名された生徒はゆっくりと立ち上がったが、無言のまま前を見つめるだけだった。
「わかった、着席しろ。本当にお前達の頭の悪さにはあきれてしまうな。お前達が持っている貴重な財産は、今までに指導で身に付いた女としての知識、振る舞い、話し方。そして女性ホルモンによって作られたその女らしい身体だ。それを十分に活用して幸せな生活を送ることを考えろ。 では、次、それをどのように活用したらいいと思う?」
 学園長は北田晃一を指さした。昨日、説明中に私語をしてSP男に平手打ちの洗礼を受けた生徒である。
 晃一は、昨日のことを思い出したのか、卑屈なほどの恐怖心を露わにしながら、ゆっくりと起立した。
「・・・わ、わかりません・・・」
 蚊の泣くようなという形容が正にピタリとするか細い声だった。
 だが、学園長は着席を許可しなかった。恐らく昨日の私語の見せしめをするつもりなのだろう。晃一を立たせたまま質問を続けた。
「では、質問を変える。女らしい振る舞いや、女らしい身体に魅力を感じ、本能的に求めるのは誰だ?女性か?男性か?」
「だ、男性・・・だと思います。」
 晃一はやや声を大きくして答えた。当然の質問だと思ったからである。
「うむ。その通りだな。お前達のように頭は悪いが、その分振る舞いも体つきも女らしい者を好む男は多い。しかもそういった男たちの多くは支配的で攻撃的な傾向がある。従ってお前達のように強者への服従性を持ち合わせた者は、彼らにとっては魅力的な存在であるということだ。つまりお前達はそんな男たちに従属し、より気に入られるよう努力することで幸せな生活を送ることができるというわけだ。『特別指導』はそのための具体的指導を行うためのものだ。」
 
 学園長の説明が進むにつれ、自分の置かれた状況の深刻さに気づいていった生徒達は、一様に蒼白な顔色になり、遠慮なく声を上げて泣き出す者もいた。
 男でありながら、他の強い男に従属し、しかもより気に入られるよう「女」として努力する生活・・・それはあまりにも屈辱的な姿に思えた。
 そんな思いが教室中に溢れつつあるのがわかったのか、学園長はさらに言葉を続けた。
「お前達の中には、男でありながら、なぜそんな惨めな生き方をしなければならないのかと思っている者もいるかもしれない。だが心配する必要はない。女性ホルモンによってもたらされる変化は身体だけではない。お前達の心も女性的意識に変えつつある。それに加えて精神操作までされているのだから、『男でありながら』などという意識は間もなく消えてなくなるだろう。それにこの説明終了後に行われるカウンセリングではそんなお前達の心の悩みも解消されるだろう。」
 学園長は口許に意味ありげな笑みを浮かべて言った。 
 
 学園長は説明の最後にと一言付け加え、
「お前達にもそろそろ、クラス名、つまりなぜ『S』クラスという名称だったのかを知らせる時が来たようだな。『S』は『Subservience』つまり『従属、卑屈』を表す英単語の頭文字だ。まあ、お前達では誰も知らない単語だろうが、それももう知る必要もないことだ。3年『Sクラス』はもう存在しないからな。アハハハ」
 明彦は、学園長の言葉には、もはや何の驚きも感じなかった。
 クラス名など今更何になるのか、そんなことよりこれから先への不安と恐怖心が心を占有していたのだった。
 ただそれでも微かに心によぎったのは、「だったら、『Dクラス』の『D』は一体何を意味しているんだろう」という思いだった。その思いは同時に、Dクラスに在籍している親友、兵藤良介と女子Fクラスに在籍している恋人、村瀬美穂を思い出させることにも繋がった。

 (続く)
スポンサーサイト
[PR]

[PR]

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
オンラインカウンター
現在の閲覧者数:
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。