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私立明倫学園高校 第8章-1

 明倫学園高校敷地内には、卒業式の前後数日しか使用しない建物がある。
以前、まだ学園が少数精鋭主義の教育方針に移行する前には、れっきとした学生寮として用いられていたその建物は、今でこそ外観はやや古びているが、元来建材を吟味し、しっかりした造りであったため今でも十分使用に耐えられる。
 部屋数は約30の個室と食堂、集会場、教室などからなっているが、現在使用されるのは主に各個室のみである。個室内部は小さめのソファとテーブル、ベッドとドレッサー、そして衣装ダンスが配置されている。学生寮の個室に当然あるべき、学生机とか本棚の類は一切置かれてはいない。一言で言えば、生活感のないホテルの一室のようである。カーテンは薄手のレース生地と厚手の遮光性生地の組み合わせで、閉めることで外光をすべて遮断できるようになっている。
 今このカーテンを閉め、ベッド脇の照明だけを灯せば、その照明のピンクの光と壁面のダークピンクの色合い、そして部屋中に充満する妖艶な香水の香りが相まって、雰囲気はまるで一昔前の洋画で見る「売春宿」である。
 いや、実は雰囲気だけではない。そこがまさに「売春宿」そのものであるのは、ベッドがダブルであること、大きめのドレッサーには夥しい数の化粧品類が並べられてあること、そして巨大な衣装ダンスの中にはありとあらゆる女性用コスチュームが揃っていることを見れば明らかである。

 今日は正に卒業式である。
 卒業生たちは今、式後のパーティーで談笑したり、コンパをしたり、記念撮影をしたりと思い思いに過ごしている。
 そのパーティに先ほどまで25名のウェイトレスが飲食物を運んだり、卒業生の注文に対応したりと甲斐甲斐しく働いていた。
 彼女たちの姿はもうパーティ会場にはない。彼女たちは思い思いの衣装に着替え、今まさに「売春宿」の住人になっている。身につけている衣装は彼女たちの選択によるものではない。いや、衣装だけでなくメイクもそうだ。それはこの後、迎える「客」の好みや注文に合わせたものである。
 
 建物2階端の角部屋に明彦はいた。
 黒サテン地のフレンチメイドユニホームと、アダルトでヘビーなフルメイクでのセクシーなサービス・・・・それが「客」である良介の注文だった。
 準備はすべて整っている。後は良介を迎え入れるだけだ。
 
 明彦はメイクの途中で何度も自分を見失いそうになった。
 緊張、恐怖、不安、罪悪感、自己嫌悪が次々に形を変えて襲ってきた。
 その度にメイクする手が震え、何度やり直したかわからない。
 いつもならフルメイクでも40分もあればこなせるテクニックをすでに身につけているにも関わらず、今日は90分近くかかった。
 
 それでも仕上がった自分の顔を鏡に映してみると、不思議なことに安堵感が広がった。
 手間取った割にそこそこの出来映えだったこともあるが、それ以上に良介の注文がヘビーなフルメイクだったことが結果的にプラスに作用したのだ。
 メイクが厚ければそれだけ素顔から離れることができ、明彦を捨て明菜になりきることができる。そして明菜になりきれれば、良介を親友として意識する必要がなくなり、単に今日初めて知り合った一人の男性として見ることができるようになる。そう思うと、気持ちがいくぶん楽になってくるのだった。
 
 明彦は姿見の前に立ち、ポーズを作ってみた。
 左手を腰に置いて斜に構え、唇を突き出して、上目遣いでじっと見つめるポーズ。  
 両足を揃えて、少し前屈みになって、胸の谷間を強調しながら、悪戯っぽく微笑むポーズ。
 鏡に背を向け、斜めに振り返り、少しだけお尻を突き出して、誘うような視線を送るポーズ。
 いずれのポーズも完璧だった。画に描いたようなセクシーフレンチメイドを表現しきっていた。
 次にテーブルの上に置かれたロリポップキャンディを手に取って、唇に近づけてみる。 舌先を出して思わせぶりに舐めながら、揺れるような流し目を送る。
 キャンディを唇に銜えてみる。そして銜えながら、時折舌をのぞかせる。
 完璧な「擬似フェラ」のポーズだ。セクシーフレンチメイドが「娼婦明菜」に変わっていた。
 
 明彦は鏡に映る「娼婦明菜」に語りかける。
「どうしたの、明菜? そんな心配そうな顔して。初めてのお客様だから? 大丈夫、あなたは完璧、とてもセクシーだわ。あなたは娼婦なの。お客様を満足させること、それがあなたの役目。お客様の望みを叶えること、それがあなたの喜び。いい?あなたは娼婦なのよ。」

 明彦のセクシーポーズはその後も続いた。
 心の中を「娼婦明菜」が占有したのだろう。ベッドサイドで休憩している時も扇情的な表情は消えていない。
 もしも、ここに高岡真希がいれば満足そうな笑みを浮かべて、こう言うだろう。
「うん、完璧、どこから見てもセクシーで魅力的な娼婦よ。これならどんなお客様だって満足なさるわ。」

 だが、それは明彦の想像だけの出来事ではなかった。
 確かにこの時、高岡真希は明彦の姿を見つめながら、ほとんど同じセリフを口にしていたのだった。

****************************************

 真希の視線の先には40インチのテレビモニターがあった。
 そこに流れている映像は「明菜」のリアルタイム映像だ。
 小型ながらも精密な監視カメラとマイクによる鮮明な映像と音声が送られてきていた。 
 真希は今、学園長室にいる。
 真希の近くで、モニターを好色そうな笑顔で見つめているのは、学園長その人である。 さらに、学園長の隣には幹部職員の一人である片桐幸夫が立っている。

「それにしても真希先生たちのおかげで、彼らもすっかり変わりましたね。特にこの山本明彦・・いや、明菜の変わりようは驚異的です。見てご覧なさい。あの色っぽい表情。もう売れっ子娼婦そのものじゃないですか。」
 学園長は視線をモニターに向けながら、真希に言葉をかけた。
「ええ、おかげさまで。でもこの子は特別でしたわ。私がこのお仕事を担当して5年になりますけど、これだけの子は他にはいません。外見の美しさもそうですが、精神操作も催眠療法も、そしてホルモン療法もこれだけはっきり効果が出た子はいません。恐らく潜在的な可能性・・・つまり元々、「素質」があったってことなんでしょうね。」
 真希も視線はモニターを追いながら、学園長の言葉に応えた。

 だが、彼ら3人がこの場に居合わせてる目的は、このような客観的な感想を述べあうことではなかった。
 学園長の病的なまでのS性がもたらした、ある計画の顛末をその目でしっかりと見届けるためだった。もちろん彼のS性に火をつけたのは、「明菜」の儚げな美少女ぶりと嗜虐欲をかき立てる卑屈なまでの従属性だったのだが。

 明彦(明菜)と良介と美穂の関係性を知った学園長が片桐に指示した計画は、次のようなものだった。
 まず、あらゆる手段を尽くして、明菜の客が良介になるように仕向ける。パーティでは、良介と美穂のテーブルの担当に明菜をつける。
学園長の言を借りれば、ここが最初の見せ場だということだ。
 この時点で、相手の本性を認識しているのは、明菜ただ一人である。良介はただの娼婦として明菜を見ているだけで、美穂にいたってはそのことすら気づいていない。
 この三人の織りなす感情の交錯はたまらなく興味深い、ということだった。
 計画は次の段階に進む。
 明菜が客を迎える段階である。明菜はその時初めて、自分を指名した客が良介であることを知る。
 学園長は、この時の明菜の表情はきっと見物になるだろうと言った。 
 しかも、良介であることを知っている明菜と、明菜をただの娼婦だと思っている良介とのからみは、想像するだけで興奮するとも言った。
そして計画は最終段階に進む。
 事前に用意しておいた明菜の告白の手紙を美穂に渡す。もちろん、作り物である。
 それには、「明菜」の本性が「山本明彦」であること。そして「明彦」には昔から女性化願望があり、恋愛対象は男性であり、良介にも恋愛感情を抱いていたこと。だから、美穂から良介を取り戻すために「コンパニオン」になりすまし、良介と身体の関係を持とうと決めたこと・・・などが書かれてある。
 その告白を読んだ美穂が二人のいる部屋にやって来た後のことを想像すると、興奮で夜も眠れなくなるのだ、と学園長は言った。 


 しかし計画は予定通りには進まなかった。
 まず、パーティでのひょんなことがきっかけで、明菜と美穂との間に信頼関係がうまれてしまったことだ。さらに、どういういきさつでそうなったのか、明菜の客が良介であることがパーティ時にわかってしまったことだ。
 そのことを知った片桐は落胆した。
 あれだけ苦労して、不自然にならないよう根回しして、良介を明菜の客になるよう導いたのに、それがすべて台無しではないか、と思った。
 だが、落ちついて考えてみれば、すべての計画が壊れてしまったわけではない。
 台無しだと思ったのは、予め用意しておいた明菜の告白文の内容を基にして判断するからで、その告白文を書き換えれば、若干の計画変更でシナリオは進んでいくのではないか、と片桐は考えた。それは学園長の叱責を恐れるあまり、無理矢理考え出した苦肉の策でもあった。
 問題は告白文の内容だ。パーティ会場での明菜と美穂とのやり取りの詳細を知らない片桐には整合性のある文面が浮かばなかった。そこで、助けとなったのが会場で様子を見ていた真希の力だった。そしてもう一人、二人をもっと身近で見ていた人物、小西詩織のもたらしてくれた情報が大きかった。
 もちろん、詩織はそんな奸計が潜んでいることなど気づいてはいない。ただ、「コンパニオン」たちに強い嫌悪感を持つ彼女が、比較的口の軽い女性だったことが片桐にとっては幸運だったということである。

 片桐は新たに書き直した明菜の告白文を持って、学園長室に急いだ。
 そして、「実は、もっと面白い計画を考えついたのですが・・・」と前置きして、微調整後の計画をまるで自分の手柄のように話し始めた。
 学園長は落胆は示しつつも、片桐の説明を聞く内に、それも面白そうだという思いになり、最終的にはそれに同意した。 
 片桐は自らの「如才なさ」でピンチを乗り切ったことになるのだが、明菜にしてみれば、この「如才なさ」こそが、その後の運命を決めるきっかけになってしまったのである。

 (続く)

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コメント

§ 学園長 くじけませんな

ちょっとお遊びのつもりだけかと思っていましたが、続きますね。

次回作でも良いですから、こういうのはどうですか?
中学の時のいじめっ子といじめられっ子達が入学していて、逆転する。
女装クラスに後から加わったいじめっ子が、(女性化願望のある子以外の)いじめられっ子達のほとんどをご主人様として奉仕させられる。

女性化願望の子が、一番いじめられていたことにすれば、逆転がおおきいなと

§ Re: 学園長 くじけませんな

>森 和正 様

コメントありがとうございます。
なかなか面白そうなアイディアですね。
ありがたくちょうだいしました。
また何か浮かびましたら是非お知らせください。


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プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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