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私立明倫学園高校 第10章-1

 9年後の2月某日・・・・・

 私立明倫学園高校の学園長室に、2名の男女が訪れていた。
 入学試験や卒業式といったイベントの準備に追われ、学園全体が慌ただしい雰囲気のなかでの来室であったが、何しろ元成績優秀者同士の婚約の報告であり、結婚式への主賓としての出席の要請でもあるというのだから、学園長自身は迷惑より喜びの方が大きかった。
 来訪者の名は兵藤良介と村瀬美穂。
 9年前に卒業した成績優秀者同士である。

 二人は、まだ少し早いのですが、と前置きした上で6月に予定されている結婚式への主賓としての出席と挨拶を依頼した。
 もちろん、学園長に欠席する理由はない。喜んで出席させてもらうよ、と返事をし、話題は近況報告へと移っていった。

「ところで、兵藤君は大学を卒業してからお父様の会社に就職したんだったね?しかももうすでに取締役になっているそうじゃないか、大したものだね。」
「いえいえ、血縁入社というだけですから、自分の力ではないですよ。」
「いや、噂では聞いているよ。君が入社して以来、会社の業績も右肩上がりだというじゃないか。それでこそ、学園の卒業生だよ。私も鼻が高い。アハハハ」
「まあ、たまたま私が関与したプロジェクトが成功続きなだけで、明日はどうなるかわかりませんよ。ハハハ」
 良介は、言葉こそ謙虚に聞こえるが、その話しぶり、態度には傲慢さと自信に溢れていて、その点も学園長から見れば好ましく見えたのである。

「そう言えば、村瀬さんも大学現役中に司法試験にパスして、今では優秀な弁護士として活躍していると聞いているよ。美人な上に優秀なんだから、依頼も殺到しているんじゃないかね?」
「ええ、まあ、おかげさまで。かなり忙しくさせてもらってます。」
「こりゃあ、二人の間にできる子はさぞかし頭のいい子になるだろうな。ぜひとも、我が明倫学園高校に入学させてもらいたいものだね。ハハハ」
 学園長の言葉が誘い水になったのか、良介が声を低めて言った。
「実は先生、今日は先生にお願いがあってやって来ました。」
「うん?お願いって、結婚式の件とは別のことか?」
「ええ、先生のお力で一人入学を許可して頂きたい生徒がいるんです。」
「ほう、誰だね、それは?」
「はい、私の妹なんですが。」
「ほう、兵藤君の妹さんね。だったら成績も優秀だろうし、私の力など不要ではないのかね?」
「いえ、それがひどい成績でして、普通に入学試験を受けたところで、とても合格できるような力はないんですよ。」
 良介が美穂に目配せをすると、美穂はそれに応えてバックから折りたたんだ紙片を取り出すと、テーブルに広げて見せた。そこには最近5回の模擬試験の結果がデータとして掲載されていた。

「いやぁ 言っては何だが、これはちょっとひどすぎるね。兵藤君の妹さんとは思えないな。」
 学園長の感想は決して言い過ぎではなかった。
 英語・国語の2教科はそのほとんどがひと桁、選択問題のない数学は5回中4回が零点で、後の一回が4点、という信じがたいものだった。
「この成績では、我が明倫学園高校はもちろん、日本中を探しても入学できる学校はないのではないか?」
「ええ、だから先生にお願いしているのです。どうぞ先生のお力で入学させてください。」「ううむ、そうは言われてもなぁ・・・。第一、君の家のような裕福な家庭なら、無理して高校など行かせずに、花嫁修業でもさせて、いいお婿さんでも探した方がいいのではないか?」
「いや、そうはいきませんよ。兵藤家に中卒がいたんでは世間体が悪すぎます。」
「ううむ、それもわからんでもないが・・・、いや、しかしこの成績ではどうにも・・・」
「どうしても無理でしょうか?」
「うん、君たちの頼みなので何とかしてやりたいのはやまやまだが・・・・」
 学園長の言い訳めいた言葉を聞いて、良介は美穂に目配せをした。
 美穂は小さく頷くと、バックから数枚の紙片をクリップ留めした資料らしきものを取り出し、テーブルに置いた。
「うん?何だね?これは・・・?」
「これは、ある方面から私に依頼のあった事案に関する証拠資料の一部です。これをご覧になれば、先生は私たちの要求を受け入れて頂けるのではないかと思いますが。」
 美穂は頬に微かな笑みを浮かべながら学園長の顔を見つめた。
 
 資料を読み進める内に、それを持つ学園長の手は激しく痙攣を始めた。同時に額には汗が浮かび、顔色も蒼白になっていった。
 資料は、学園がSクラス生に対して行ってきた様々な「処置」内容が、詳細に渡り記されていた。誇張も歪曲もなく事実のみが記された文体に、かえってその行為の残虐性が強調されているように思えた。
 いずれにせよ、この資料が外部に漏れれば、学園はもちろん自分自身にも取り返しのつかない災禍が振りかかることは目に見えている。
 学園長の声が恐怖に震えたのは当然だった。
「こ、これは・・・い、一体、誰から・・・・?」
「それは、今は申し上げられません。ただ、私たちはこの資料をいつでも外部に流す準備ができているということだけは覚えておいてください。」
「き、君たちは・・・私を脅迫しようというのか?」
 学園長の恐怖にひきつった顔が良介に向けられた。
「いえ、脅迫しようなどとは思っていません。ただ、ちょっと取引をさせて頂こうと思いまして・・・。妹の件はそのうちの一つです。」
「と、取引・・・?」
 学園長はもう一度資料に視線を向けた。
 考えてみれば、この資料の重要性から見て、たかが一人の出来の悪い生徒を入学させるくらいのことで釣り合うわけがなかった。
 現に学園長は、この資料の外部への漏洩が避けられるのなら、一人と言わず、二人でも三人でも、たとえ自分の名前さえ書けないような生徒だって入学させる覚悟ができていたくらいである。
「実は、私と彼女は、今、ある事業を共同で始める計画を立てているのです。すでに土地・建物その他の準備は整いつつありますし、法律上のことは、何しろ強い味方がおりますので滞りなく進んでおります。」
 良介はそう言うと、隣の美穂に微笑みかけた。
「じ、事業というのは・・・一体・・・?」
 学園長の声にはまだ動揺が残っていた。
「まあ・・・『特殊会員制クラブ』とでも言ったらいいのでしょうか。そこにはある特殊な性的嗜好を持った男女が、顧客として集まります。むろん会員制ですので資格を得たVIP会員のみですが、もう一つ会員資格として必要な要素は、いわゆるニューハーフ、レディボーイ、シーメールといった者に対する性的嗜好を持っていることです。したがって、彼らの欲求を満たすための魅力的なニューハーフやレディボーイ達が必要で、現在それを各地でスカウトしている最中です。ここまでだと単なる会員制のニューハーフクラブと同じように感じるかもしれませんが、実は私にはもう一つ計画していることがあるんです。
それは、まだ完成していないレディボーイの卵のような子を、自分好みに育てていきたいという欲望を持っている客のためのものです。客はその子の人生を金で買い取ります。オークションですので相当な高額になるでしょう。ただ、ひとたび落札したら後は欲望次第です。豊胸手術や整形手術も、場合によっては性転換手術や、もっと過激な肉体改造手術だって思いのままです。これは相当な呼び物になるでしょう。ただ問題はその子たちをどのように集めるかです。秘密裏に行わなければなりませんし、家族からも見捨てられてしまったような子でなくてはなりません。そこで・・・・・」
 良介は学園長の目を見た。学園長は小さく頷いた。良介の話ですでに見当はついていたのだ。
「Sクラス生を斡旋しろってことだな?」
「ハハハ・・さすが察しがいいですね。切れ者学園長と言われただけのことはありますね。」
 良介の皮肉を込めた物言いに多少イラッとはしたが、学園長にはそれに反応しているゆとりはなかった。
 学園長は良介の申し出を大筋で受け入れた。いや、受け入れざるを得なかったのである。
 斡旋する人数、その他詳細については後日詰めることとし、「取引」は成立した。
 もはや些細なことになっていた、出来の悪い妹への入学許可もついでのように合意した。

  (続く)

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サテンドール

Author:サテンドール
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女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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