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私立明倫学園高校 最終章-3 〔完結〕

 暗転したモニターの横に立つ兵藤良介が、微笑みを浮かべながら口を開いた。
「みなさん、いかがでしたでしょうか? 性転換した息子、いや娘の実の父親によるロストバージンショーは? ご堪能いただけたでしょうか?」
 一瞬の沈黙の後、一人の中年男性が感想の口火を切った。
「ああ。確かに面白いショーだったよ。ただ、明菜があまりにも美しすぎて元男だったと思えなかったのが玉に瑕かな?」
「う~ん、なるほど・・・しかし、それは難しい問題ですね。美しすぎるとリアリティがなくなるというのは・・・。わかりました。次回の参考にさせて頂きます。」
 別の男から声が掛かった。
「いや、私は十分堪能させてもらったよ。あの明菜って子は本当にすばらしい。今度プライベートでビデオ撮影させてもらえんかね? 金なら糸目はつけないよ。ハハハ」
「ご堪能いただけてよかったです。まあ、プライベートでの件は後日またお話させていただきます。決してご期待を裏切ることはございませんので。」
 ホストを横に侍らした女性客がたばこを片手に口を開いた。
「それにしても、最初、あの父親なかなか手を出さなかったでしょ。このまま何も起きないじゃないかって、私、気が気じゃなかったわ。」
「だが、息子の、いや娘のバージンを奪ってからは人が変わったように、荒々しくなったじゃないか。」
「ああ、確かに。二回戦でのイラマチオは壮絶だったな。明菜の喉奥までつっこんで、明菜も今にも戻しそうだったではないか。」
「そうそう、それに三回戦での顔面シャワーもすごかったな。さすがにあの年齢ではザーメンの量はたいしたことはなかったが、明菜の瞼を開かせて、わざとそこに射精するとはかなりの鬼畜な男だよ。まあ、あまり人のことは言えんがね。ハハハ・・・」
「でもそんなひどい目にあいながらも、明菜はまったく抵抗するそぶりも見せなかったわ。しかも、口元にはいつも笑みを浮かべて。いくら諭されているとは言っても、健気なものだわ。」
「おや、珍しい、Sで有名な女社長さんが、同情ですか?」
「フフフ・・違うわよ。健気だからよけい苛めたくなっちゃうってことじゃない。でしょ?」

「ところで、明菜はほとんどずっと涙を流していたね? あれはやはり君の言ったように、その・・・『明彦』とやらの意識が常にあったと言うことかね?」
 一人の落ちついた初老の男が、他の客の話が途切れたのを見計らって、良介に問いかけた。
「はい、おっしゃる通りです。常に『明彦』としての意識があったということです。涙はそれを物語っています。」
「と言うことは、自分が今父親に犯されているんだと気づいているということだね?」
「ええ、そういうことです。父親のペニスに貫かれる瞬間も、その熱いザーメンを受け止めた瞬間も、しっかりと意識の中にあるはずです。」
「う~む、何とも壮絶な近親相姦図だなぁ。」
 初老男の言葉を受けて、別の男が口を挟んだ。
「いや、壮絶なんてものではないですね。考えてみてください。『明彦』は父親に犯されていることがわかっているだけでなく、表面上はそれを喜んで受け入れている自分自身をも意識しているわけでしょ?しかもそれに抗うこともできない。これはもう壮絶というよりはあまりに残酷なことですよ。」
「うむ、確かに君の言う通りだ。だが、悪いことに我々はその残酷極まりないシーンを目にするのがたまらなく好きときている。性癖ってやつはどうにもならんもんだ。ねえ、皆さん?ハハハ・・・」
 初老男の言葉に客たちは笑い声を出すと、お互いを見て頷きあった。

「そうだ、今思い出したが、君は先ほどの説明で、明菜のロストバージンが終わった後で、父親に明菜の正体を知らせるというようなことを言っていたと思うが・・・。」
「そうそう、私も思い出したわ。ねえ、どうするの?直接言ってしまうの? 明菜は実は『明彦』だと。」
「うわぁ、それは残酷だわ。でも、父親がどんな顔するか見物だけど。」
「いや、わしはそういうやり方より、明菜に告白させる方が面白いと思うがなぁ。」
「いやいや、いっそのこと、これまでの映像記録を父親に見せるというのはどうでしょう?」

「ちょ、ちょっと・・・皆さん、お待ちください。」
 会場に思い思いの意見が飛び交う中、良介が口を挟んだ。
「皆さん、それぞれにお考えもおありでしょうが、ここはこちらにお任せいただけないでしょうか? いや、実は私もどのような展開になるかわかっていないのです。ここから先の展開は妻にすべて任せようと思っています。皆さんのご期待に応えられるかどうかはわかりませんけど、妻もそれなりに考えていると思いますので。」
 会場にいくぶん不満げな空気が流れたが、最終的には先ほどの初老男の「まあ、ここは若いオーナーに任せようじゃないか。」という言葉に皆同意した。


 それから約30分後、良介の呼びかけに客たちは皆席に戻り、モニター画面に注目した。
 程なく画面が明転すると、先ほどまで凄惨な「父子近親相姦ショー」の舞台となっていた部屋が、がらりと雰囲気を変えて画面に現れた。
 もちろん部屋の模様替えなどがなされたわけではない。映し出された人物の雰囲気が様変わりしていたのである。
 恐らくシャワーでも浴びた後なのだろう、こざっぱりとした明正が来室した際の服装に戻り、椅子に腰掛けている。
 その向かいにはチャコールグレーのパンツスーツを着た美穂が座っている。
 そしてその美穂に寄り添うように座っている明菜。
 白い花柄のチュールワンピースと頭につけたオレンジピンクのリボンがとてもガーリーな雰囲気を醸し出している。

 画像の中の美穂がまるで合図を待っていたかのように口を開いた。
「山本様、本当に今日はありがとうございました。明菜もとても喜んでいると思います。」
「あ、は、はい・・・そう言ってもらえれば、お引き受けした甲斐があるというものです。」
「で、いかがでした?山本様はご満足いただけました?」
「そ、それは、ちょっと、ここでは申し上げにくいですね。アハハ」
 明正は美穂の肩に頭を凭せ掛けている明菜を見て言った。
「ああ、大丈夫です。気になさらなくても。明菜はこういう子ですから、何を言われているのかわかりませんから。ね、明菜?」
 美穂は明菜の頭を優しく撫でながら明正に微笑みかけた。
「じゃ、遠慮なく言いますが、もう最高に興奮しましたよ。実は恥ずかしながら、年甲斐もなく3回も・・・ハハハ。」
「まあ、お元気なんですね。フフフ・・・・」
「最初は芝居のつもりでやってたんですけど、この子を見てるとなぜか段々本気になってしまうと言うか、本気でレイプしているような気になってくるんですよ。不思議なものですね。」
「フフフ・・もしかしたら、山本様はサディストなのかもしれませんね。マゾの明菜にはピッタリだわ。これからもよろしかったら時々お相手してくださいね。姉の私からもお願いします。」
「そ、それはもう喜んで。またこの子のすばらしい身体を抱けると思うと、こんばんは眠れそうもありませんよ。ハハハ」
「まあ、それじゃ今晩は、奥様も大変ですね。フフフ・・・。」
「いやぁ、もう妻とは・・・すっかりご無沙汰で・・・」
「ええ?ではそういう時はお一人で? まあ、それはお気の毒に・・・・。そうだわ。山本様ちょっとお待ちください。」
 美穂はそう言うと、ゆっくりと立ち上がり部屋を出て行った。
 立ち上がる際、明菜を驚かせないよう頭を軽くポンポンと叩いて合図した。
 
 戻ってきた美穂の手にはピンク色の布きれと数枚の写真が握られていた。
 美穂はそれらをこれ見よがしに広げて見せた。
 それがモニターカメラに捉えられることを意識した動作であることは明正の角度からはわからなかっただろう。
「こ、これは?」
「フフフ・・見覚えありません? 先ほどまでこの子が身につけていたショーツですわ。それから、写真はこの子の全身と顔のアップ、ちょっと過激なのもありますけど、どうぞお持ち帰りになってください。今日のお礼の代わりです。眠れない夜にでもお使いください。フフフ・・・」
「い、いや・・・これは・・・では、まあ、遠慮なくちょうだいしておきます。しかし自分の子供のような年齢、いやそれよりも下か。そんな娘さんの下着と写真をおかずにオナニーをするなんてちょっと気が引けますねぇ、ハハハ」
「フフフ・・そんなこと、気になさらずに。そりゃ、本当に『自分の娘さん』の下着や写真をお使いになったら、とんでもない変態ですけど、明菜と山本様は『アカの他人』なんですから。フフフ」
美穂はあえて、『自分の娘さん』と『アカの他人』を強調するように言った。
「アハハ・・私だって、そこまで変態ではないですよ。まあ、幸い私には息子しかおりませんしね。」
「あら、息子さんがいらっしゃるんですか? おいくつです? きっとお父様に似てハンサムな方なんでしょうね。」
「あ、いや、いるにはいるんですが・・・・、齢はだいたいあなたと同じくらいでしょうかね。実は今私の家にはいないのですよ。」
「ご結婚されて独立されたのでしょう?」
「いえ、そうではなくて・・・。他家に養子に入っておりまして。」
「あら、そうでしたか。婿養子さんになられたんですね。でも、ご長男では?」
「はい、おっしゃる通り長男です。ただ婿養子ではなく、普通の養子、つまり他家の子供になっております。」
「そうでしたか。何か事情がありそうですね。山本様、折角のご縁です。よろしかったらお話いただけませんか?」
「ええ、まあ・・・そうですね。身内の恥をお話するようで少々気が引けるのですが・・・。実は、明彦・・・あ、私の息子の名前ですが・・・明彦はあなた方と同じように以前、明倫学園に在籍しておりました。」
「明彦さん・・・ああ、午前中に喫茶店でお話しになったお名前ですね?あれは息子さんのことだったのですか?」
「ええ、そうです。・・・・・で、明倫はご存じの通り厳しい寮制度を採っていますので、入学後は一切連絡がなかったのですが、2年ほどした頃でしょうか、学校から重要な話があると連絡がありました。その内容を聞いてびっくりしたのですが、息子の明彦にはどうやら秘密の・・・何と言うんですか? そう、性癖とでもいいますか、そういうものがあるということが判明したと・・・まあそういう連絡でした。」
「秘密の・・・性癖? どういったものです? 差し支えなければお話くださいませんか。」
「ええ・・・あの、つまり・・・女装癖というか、女性になりたい願望があると・・・そういうことです。しかもそれにばかり熱中していて学業が疎かになり、この分ではとても卒業はできないと言われました。いやあ、私も慌てましてね、そのおかしな性癖は家に戻ってから家族の力で何とか治させるので、何とか卒業だけはさせてもらえないだろうかとお願いしました。明彦は我が家の一人息子ですし、高校中退などということはどうしてもさせられませんでしたからね。」
「で、学校は? 卒業させると言ってきましたか?」
「ええ。ただし、明倫学園高校としては無理なので、提携の高校の生徒としてということでした。ただ、それであっても絶対ではなく、今後一年間の明彦のがんばり次第だとも言われました。私は学校に、どんな手段を使ってもいいからがんばらせて欲しいと伝え、指導には一切口を挟まない旨の誓約書まで提出しました。」
「そうでしたか。ずいぶんご苦労されたんですね。でも、良かったじゃないですか、それで卒業できたんでしょ?」
「それが、その・・・ 卒業は・・できませんでした。」
「あら、何故です?」
「何でも、最後の卒業試験とやらに合格できなかったからだと聞きました。要は一年間頑張ることもできなかったということでしょう。実際、私としては家に戻ってくれば後は教育し直す自信がありました。ですから卒業さえしてくれれば家に迎えるつもりだったのです。しかし、それも叶わないとなると、もう私の堪忍袋の緒も切れました。親子の縁を切るから後は好きに生きろと、まあ勘当ということですよ。」
「まあ、それは随分つらいご決断をされましたね。」
「ええ、まあ。でも、それから数年後です。明彦を養子に欲しいという奇特な方が現れましてね。私も勘当したとは言え、気にはなっていましたから、乞われて養子に行くならそれも息子のためだと思って同意したというわけです。」
「そうですか。やっと納得しました。ご長男なのに養子にお出しになった理由が。」
美穂はそこまで言うと、肩に頭を凭せ掛けている明菜を起こし、顔を自分に正対させた。
「明菜ちゃん、聞いた?山本様、大変なご苦労されたのよ。息子の『明彦くん』が男のくせに女の子になりたがって、それで卒業もできなくなったそうよ。本当に親不孝な息子よね、『明彦くん』って。ねえ、明菜ちゃんもそう思うでしょ?」
 明菜の目がわずかに潤み始めた。
「まあ、山本様、明菜をご覧になってください。きっと山本様のご苦労がわかったんですわ。ほら、涙浮かべてますもの。」
「おお、ありがとう、明菜ちゃん。君に泣いてもらえるなんて思わなかったよ。君は本当に優しいんだね。俺もあんな親不孝の変態息子じゃなくて君みたいな優しい娘が欲しかったなぁ。ハハハ」
「それでしたら、山本様、『明彦くん』のことは忘れて、明菜のこと本当の娘だとお思いになられたらどうです?明菜もきっと喜びますわ。ね、明菜ちゃん。」
 美穂は明菜の目を見つめながら、優しく頭を撫でた。明菜の目から一筋の涙がこぼれた。
「ほら、ご覧になって。この子ったら涙流して喜んでいるわ。きっと山本様のこと本当にお父さんだと思っているんだわ。ね、そうよね?」
「オトーサン・・アキナ・・オトーサン・・スキ」
 明菜が小さな声で呟くように言った。
「嬉しいこと言ってくれるね。それじゃ、これからは明菜ちゃんのこと、自分の娘だと思うことにするかな?・・・・ あ、いや、やめとこう。」
「ええ?どうしてです?」
「いやぁ、実の娘の下着とヌード写真でオナニーするわけいかんじゃないですか。それに今度また会ったときに『レイプごっこ』なんてできないでしょう。ハハハハ」
「フフフ・・・そうですわね。実の娘とそんなことしたら、本当の変態ですものね。『明彦くん』のこと変態呼ばわりなんてできませんよね。フフフ・・・」
「ハハハ・・その通りですよ。 ところで、今思い出したんですが、どういうわけか明菜ちゃん、私のこと『お父さん』と呼んでいたんですが、何か特別なわけでもあるんですかね」
「さあ、何故でしょう。きっと明菜の中で山本様のことを『お父さん』と感じる何かがあったんじゃないでしょうか。」
「ううむ・・・それと、盛んに卒業証書を私に渡そうとしたんですけど、それはお姉さんがそうしろとでも?」
「いえ、そんなことは言っていません。 ああ、きっと大好きな『お父さん』に卒業証書を渡して何かを伝えたかったのかもしれません。でも、こういう子ですから、それが何なのかは私にもわかりませんけど。」
「う~ん、そうですか・・・一体何を伝えたかったのかなぁ。」
 明正は明菜の表情を見つめた。その瞳はいまだに涙で潤んでいた。

「ところで、山本様、もし『明彦くん』がその後、どこかの高校を卒業していたとしたら、お許しになりますか?」
「う~ん、もう今となってはそれも・・・。ただ、そうだとしたら『勘当』は取り消そうとは思います。」
「『勘当』は・・・取り消す?」
「はい、親子であることは認めるということです。でも、まあそんなことにはなっていないと思いますがね。」
「そうでしょうか? 案外そんなことになっているかもしれませんよ。いかがです?久ぶりにお会いになって、実際に確かめてみては?」
「ええ、まあ、確かにずっと気にはなっているんですが。ただ・・・」
「ただ?」
「ええ、ただ会うのが少し怖いのです。いまだにその性癖・・・つまり女装したり、女の真似をしたりしているのではないかと。もしそうだとしたら、例え高校を卒業しようと何だろうと許すわけにはいきませんからね。」
「では、事前に養父の方に確認されたらいかがです?いまだにその性癖が続いているなら会うのをやめればよろしいでしょ?」
「ええ、まあそれなら間違いないですが・・・」
「でしょ? そうされるのが一番ですわ。 山本様、善は急げと言います。今ここで連絡されてはどうですか? ね、そうしましょう。」
 美穂にせっつかれ、明正はしぶしぶ携帯を取り出すと、ボタンを押し始めた。
 相手先の電話番号をなかなか見つけ出せないのは、日頃ほとんど疎遠である証だろう。
 ようやく、ボタンを押し終えた明正は電話を耳に当てた。

 
 モニター画面で美穂と明正のやり取りを観ている客達の耳に携帯の着信音が聞こえてきた。
 その音源はモニター横に立っている兵藤良介の携帯電話だった。
 客達はすぐに事情を察知し、お互いに唇に人差し指を当て、「シーッ」のポーズをし合った。
 良介は客席が静まったのを確認すると、携帯電話のボタンを押した。着信音がピタッと止まった。
「はい、もしもし、兵藤ですが・・・」
「あ、ご無沙汰しております。私、山本明正ですが・・・」

 客たちの前で、会場の良介とモニターの明正との電話のやり取りが始まった。
「ああ、山本さんでしたか。初めまして、私、兵藤良介と言います。今、父は所用で電話に出られませんので、私が代わりに電話を取りました。」
「良介さん? 兵藤健作さんの息子さんですか?」
「はい、その通りです。明彦くんの兄ということになります。」
「ああ、そうでしたか。 それは失礼しました。 いつも息子がお世話になっております。」「いえいえ、こちらこそ。」
「今、お父様は電話には出られませんか?」
「ええ、あいにく重要な会議に出席中でして、2時間ほど電話には出られないと思います。用件は私から父に伝えますので、おっしゃってください。」
「そうですか、わかりました・・・あの、実はですね、できれば久しぶりに明彦に会ってみようと思っているんですが・・・」
「ああ、そうですか。それはいい。明彦くんもきっと喜ぶでしょう。いくら養子に出されたとは言え、実の父子ですからね。父も反対はしませんよ。ぜひ会ってあげてください。」
「ありがとうございます。そう言っていただいてなによりです。ただ・・・その前に確かめたいことがありまして・・・」
「確かめたいこと? 何でしょう? 私に答えられる範囲のことなら何でもお答えしますが。」
「ええ、もちろん良介さんならわかることです。きっと明彦の身近におられるのでしょうから。 あの・・・明彦は今でもその・・・女装とか・・・女のまねごととかしていますか?」
「え?女装?女のまねごと? それはつまり『男なのに』女の服を着たり、化粧をしたり、女のように振る舞ったり、ということですか?」
「ええ、それです。息子には高校時代にそういう性癖があったのはご存じだと思うのですが。」
「はい、それはうっすらと・・・。」
「どうです?今でも続いているのでしょうか?」
「それは、『男なのに』そういうことをしているかどうかということですね?」
「はい、その通りです。」
「ハハハ・・大丈夫です。そんなことはしていませんよ。ご心配には及びません。」
「そ、そうですか・・それを聞いてホッとしました。一番気にしていたことなんで・・
ではついでにお聞きしたいのですが、明彦はその後、心を入れ替えてどこかの高校を卒業したなどということはあるのでしょうか?」
「ええ、卒業しましたよ。どこかではなく、あの明倫学園高校です。」
「え?明倫ですか? 一度中退した明倫を卒業したのですかっ?」
 明正の顔が綻んだ。明倫学園高校「男子」卒業生が、どれだけ心身共に男らしい姿であり、また将来有望な人物であるかを明正は熟知していたのである。
「ええ、少し時間はかかりましたが、今年卒業しました。お会いになった時に卒業証書をご覧に入れますよ。」
「そうでしたか。いや、もう本当に兵藤家にお世話になったおかげです。本当に感謝しております。いやぁ、そうでしたか、あの明倫を・・・。 では、きっと身体も鍛えられ、見違えるほどでしょうねぇ?」
「『鍛えられ』・・・? ああ そうですね、確かに学校でも我が家でも『鍛えられ』ましたからね、今ではりっぱに成長してますよ。バス・・いや、『胸囲』なんて私よりあるんじゃないでしょうか。それに『腰回り』だってりっぱなものです。ただ、『胴回り』は私ほどではありませんけどね、フフフ・・・」
 良介の言葉に会場からクスクスと笑い声が漏れた。良介はとっさに唇に人差し指を当て、沈黙を促した。
「そうですか、あんなに細かった子がそこまでに・・・」
「ええ、それに容貌も性格もいいので、『異性』にもモテモテなんですよ。ほとんど毎日違う『異性』とデートしてますからね。ハハハ・・・」
「う~ん、それはちょっと困ったものですね。会ったときに注意しておかないと。アハハハ・・・」
「で、山本さん、いつお会いになりますか?」
「ええ、そこまで聞けば、すぐにでも会いたいのですが、そちらのご都合もあるでしょうから・・・。」
「では、ちょうど一週間後、午後1時頃にお越しください。父と私はもちろんですが、妻も、それから『妹』も一家全員でお迎えいたしますので。」
「そうですか、それは恐縮です。 では一週間後必ず伺いますので、どうぞよろしくお願いします。」
「はい、お待ちしております。どうぞ、お気をつけていらしてください。」
 モニターと会場との電話のやり取りは終わった。
 良介と明正が電話を切ったのはほぼ同時だった。

 その途端、会場からはどっと笑い声が漏れた。
「いやぁ、オーナー、君も嘘が上手だねぇ。あれじゃ誰だって騙されるよ。」
 一人の客が良介に声を掛けた。
「いいえ、嘘は言っていませんよ。多少脚色はしましたが。フフフ・・」
「しかし、今、女装も女のまねごともしていないって言ったじゃないか。見てみなさい、明菜の姿。あれは女そのものじゃないか。」
「ええ、ですから嘘は言っていないと申し上げたのです。明菜は性転換手術を受け、戸籍も女性になっています。つまり疑いもなく女性なのです。だから、明菜がしていることは、『女装』でも『女のまねごと』でもありませんよ。フフフ・・・」
「それにしても、バストを胸囲と言い換えた時には、私、吹き出しそうだったわ。『私より、胸囲が大きい』ですって、そりゃまあ、そうかもしれないけど。フフフ・・・」
「そうそう、それに『異性』にモテモテで、毎日違う『異性』とデートしてるっていうものなかなか面白かったわ。フフフ・・・」
「きっとあの父親の頭の中では、筋肉隆々の男らしい息子が、毎日のように美女をとっかえひっかえ遊び回っている場面を想像しているんだろうな。ところが実際に会ったら、筋肉隆々どころか、プルンプルンの巨乳美少女に変わっていて、毎日違った『男』とデートしているっていうんだから、これは驚くだろうねぇ。」
「あら、そんなことないわ。だって明菜とは今日会ってるんだもの。そりゃ、明菜が息子だってわかったら驚くだろうけど、今日のセックスの良さを思い出して、その場でも我慢できずに襲っちゃうんじゃない? ハハハ・・・」
「どちらにしても、これは面白いことになりそうだな。オーナー、当然来週のその劇的再会シーンもここで観ることができるんだろうね?」
「ええ、そのつもりですが・・・。ただ、急なことなので、何名の方にご参加頂けるか・・・。参考までに、お客様方の中で、来週も参加ご希望の方はいらっしゃいますか?」
 良介の言葉に会場中の客から一斉に手が挙がった。
「ありがとうございます。 どうやら予約で満席になったようですね。フフフ・・」



 モニター画面の中では、笑みを浮かべながら携帯電話をしまった明正に美穂がさりげなく問いかける。
「いかがでした? 会うことになったんですか?」
「ええ、会うことにしました。どうやら明彦も明倫学園を卒業して、りっぱな男に成長しているようです。養子に出したことが間違いではなかったということですね。本当に良かった。ハハハ」
「そうですか、それは何よりでしたね。やはり電話をかけてみて良かったですね。」
「ええ、おかげさまで。美穂さんのアドバイスに従って良かったですよ。本当にありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。お力になれて幸いですわ。」
 美穂はそう言うと、じっと目を瞑って肩に頭を凭せ掛けている明菜の顔を上げ、自分に正対させた。そして、頭を撫でながら優しい口調で話しかけた。
「明菜ちゃん、よかったわね。『明彦くん』に会うこと決めたんですって。『明彦くん』、とっても男らしくなっているそうよ。明菜ちゃんも、そんな男らしい『明彦くん』に会ってみたい?」
 美穂の問いかけに明菜は黙ったままで何も応えなかった。
 焦点の定まらない視線とぎこちない笑み、そして止めどなく流れる涙だけが、この時の明菜の取りうる応答手段のすべてだった。
「まあ、明菜ちゃんたら、こんなに泣いちゃって。きっと山本様と『明彦くん』の再会に感激してるんだわ。フフフ・・・」
 美穂は明菜の頭を優しく撫で、もう一度、自分の肩に凭せ掛けた。

 帰り支度も終え、部屋を出て行こうとしする明正に美穂が声をかけた。
「山本様、息子さんと再会したら何をなさりたいですか?」
 明正は、しばらく考え込んでから言った。
「そうですね、逞しく成長した息子と温泉にでも浸かりながら将来の夢でも語り合いますかな?アハハハ」
「フフフ・・それは結構ですわ。 ただ、山本様、それでしたら『混浴』の温泉を予約なさらないと。フフフ・・・」
 明正は一瞬怪訝そうな顔したが、すぐに笑顔になって、
「いや、いくら俺の息子でもそこまではスケベではないでしょ。それに話によると女には不自由してないみたいなんでね。アハハハ」
 と言い残して、部屋を出て行った。
 明正の笑い声は、部屋を出てからも続いていた。
 それは心の底から満足した快心の笑い声だった。
 
「アキナ・・・ミンナ・・・・キライ」
 明菜の消え入るような囁きは誰の耳にも届いてはいなかった。

 〔完結〕

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コメント

§ 確かにUnHappy Endです

確かに明彦としての意識と、淫乱な明奈とのでならこうなりますか

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プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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