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N/Nプロジェクト 第3章

〔第3章〕

「どうぞ、お入りなさい。」
 向山瑞穂は、ドアを叩く小さなノックに答えた。
 カウンセリングルームの白木のドアがゆっくりと開き、小柄な少年が気恥ずかしそうに部屋の中に入ってくる。
「時間通りね。偉いわ。で、今日の課題できたかしら?」
 少年は瑞穂のそばに近づき、二つ折りにした用紙を差し出す。だが、顔はずっと下を向いたままだ。
「うん、感心、感心。 じゃ、これは後でゆっくり見せてもらうとして・・・」
 瑞穂は受け取った用紙をデスクの脇に置くと、目の前の少年の全身に、なめ回すようなねっとりとした視線を送った。
 ライトブルーのパーカーとオフオワイトのハーフパンツ、いや丈の長さから言って、それはレディスのショートパンツと形容した方がいいかもしれない。そして、足下にはヒールこそないが、ワンポイントのデザインが入ったターコイズブルーのサンダルが、無毛のホッソリとした脚に映えている。視線を上に転じると、洗い立てのサラサラのやや長めの髪が、緊張からか気恥ずかしさからなのか、時折フルフルと揺れている。それらが小柄で細身の体躯と相まってユニセックスな雰囲気を醸し出している。
(フフフ・・かわいいわ)
 瑞穂は心の中で囁くと、両手を少年の頬に当て、俯いた顔を正面に向かせた。
「うん、やっぱりこの方がずっと可愛いわ。慶太くんにはお髭は似合わないもの フフフ」

「慶太」・・・そう、このユニセックスな雰囲気を湛えている少年こそ、「水瀬慶太」その人だった。
 すっかり髭も落とし、童顔に戻った顔には、ひと月ほど前に施設に到着した当時の、経営者らしい「自信」も「威厳」も「力強さ」も全て消えていた。そこにあるのは何かに怯え自信の欠片もない脆弱性だけだった。しかも、その脆弱性には、瑞穂の褒め言葉に微かな笑みで応えるような卑屈さまで伴っていたのである。
そんな慶太を年下の瑞穂が「慶太くん」と呼ぶようになったのは自然なことだった。

****************************************

 慶太の「ユニセックス化」は、あの「精神の崩壊」が起こったカウンセリングの翌日から実行された。
 いわゆる「男性性」を消し去るために、カウンセリングを通じて、およそ男性的な印象を受ける事物に対して違和感を生じさせるような意識の誘導を図ったのである。
 もちろん普通の男性に、こういった誘導をカウンセリングのみを通じて行うことは不可能である。
 しかし、すでに前段階として「男らしい男」としての生き方を捨てるよう導かれていた慶太にとっては、それは乾いた砂に水をかけたように、何の障害もなく吸収していったのである。 
 スーツ、ネクタイ、ワイシャツ、靴、時計などといった身につけるものから、慶太の違和感は始まった。それは頭では理解できない感情だった。身につけているだけで、落ち着かないそわそわした気分になり、やがて頭痛・動悸・目眩まで伴うようになっていく。
 慶太はそれを避けるため、当然のように、日一日と少しずつ身体から外していった。最終的に身につけるものなくなった彼は白いガウン姿でカウンセリングを受けることを余儀なくされた。
だが、さらにカウンセリングを続けていると、部屋の中にそれらが残っていること自体に違和感を感じ始めるようになる。そしてその違和感はまた身体的苦痛を伴う段階へと進んでいく。
 慶太はカウンセリングの際、瑞穂にそれらの処分と、何か別の快適な衣類の提供を依頼した。
「ええ、もちろん用意するけど、どんな物がいいの?」
 瑞穂は、カウンセリングの成果が十分に出始めていることに満足の笑みを浮かべながら、慶太に尋ねた。
「あの・・もっと・・その・・」
「男っぽくないもの・・ね?」
 慶太は黙って頷いた。頬が紅潮しているのがわかる。
瑞穂の心にS女性の本能がわき上がってくる。
「うーん、じゃ、スカートとかブラウスとかにする? それとも可愛いキャミソールとか?フフフ・・」
 瑞穂の脳裏に、あの想像上の「慶花」が姿を現していた。
「い、いえ・・・そ、そういうのじゃなくて・・・」
 慶太が真顔で否定する。目にはうっすらと涙が滲んでいる。
 人は精神が壊れると、ここまで脆弱さを見せるものなのか、瑞穂は当事者ながら改めて再確認したのである。
「フフ、冗談よ。男を捨てたからって、女になるわけじゃないものね? いいわ、わかった。準備するから明日まで待ってて。」
 慶太の顔に安堵の色が浮かんだ。 
(いいえ、あなたは女になるのよ。可愛い女の子の『慶花』になるの。それも自分からお願いするようになるの。「お願い、女の子にして」ってね。フフフ・・・)
 瑞穂は部屋を出て行く慶太の後ろ姿に小さな囁きを投げかけた。

 翌日、慶太の部屋には、ヘルパーの後藤と若い女性職員の手により大量の衣類が運び込まれた。
 二人はクローゼットから慶太の男物の衣類一式を段ボールケースに移し替えると、運び込んだ衣類を手際よく並べていった。
 慶太は無言のまま行われる二人の作業を少し遠巻きに眺めていた。
 
 二人が立ち去った後のクローゼットの中は、それまでと景色が一変していた。
 黒・紺といったダークカラー中心だった色合いが、オフホワイト・グリーン・ライトブルー・オレンジ・ピンクといった華やかな色合いに変わり、素材も硬いしっかりとした感触から、柔らかで滑らかな肌触りのものへと変化していた。
 デザインも明らかにユニセックスをコンセプトにしたものばかりが並び、一目で男物と認識できるものはなくなっていた。
 それは下着類にも及んでいた。
 先ほどまでトランクスが収められていた場所に、フィット感のあるボクサータイプやかなり小さなビキニタイプ、Tバックタイプのブリーフが並べられている。しかも、その色合いは赤・ピンク・ベージュ・ラベンダーなどの他、淡いパステルカラーのものもある。
 それらを最初に目にした慶太には、恥ずかしさと戸惑いの感情がわいたが、実際に触れてみるとその繊細な肌触りが心の中に安堵感と癒しをもたらしてくれた。その瞬間、男物の衣類に対する病的なまでの拒否反応は明らかに消えていたのである。

翌朝慶太はクローゼットの中から自ら服を選び、わずかの躊躇いの後に初めて袖を通した。
 白に近いという理由だけで選んだベージュのビキニは、それまでトランクスしか経験のない慶太には初めて感じるフィット感だった。しかも、サイズはかなり小さめでカラーとの兼ね合いで見れば、女性物のショーツにさえ見えるものだった。
 また、これも着慣れているという理由だけで選んだ白いTシャツは、身体にぴったりと張りつき、丈もやたらと短い。
 さらに馴染みがあると思って選んだジーンズは、驚くほどスリムにデザインされていて、細身の慶太でも履くのに苦労する位だった。履いてみるとヒップハンガータイプで裾もかなり短い。Tシャツの短さも手伝って、慶太の臍が顔を出している。
 姿見の前に立ってみると、さすがに恥ずかしさのあまり顔が赤らむのがわかる。
 だが、それも一瞬のことで、独特の柔らかなフィット感は少しずつ充足感へと変わり、やがて幸福感へと繋がっていった。
 もちろん、そのような感覚が、洗脳とも呼ぶべき瑞穂のカウンセリングを通じて植え付けられていることなど慶太にはわからない。
 ただ、新たに用意されたそれらのユニセックスの衣類が欠かすことのできない大切なものであるということだけは慶太にも認識できた。

 その後、慶太の「ユニセックス化」の過程は加速する。
 長年蓄えていた髭をそり落とすことと、手足の脱毛という行為は、その過程の中でごく自然な行為として行われた。ただそのことを慶太自身の意志により行わせるには一つのきっかけが必要だった。
 
 施設内では「Nランク」男性同士の交流は一切禁じられているが、接触することが全くないというわけではなかった。
 それはカウンセリングルームに行き来する時と外気に触れるため時折許可される敷地内の散歩の時である。
 もちろんいずれの場合もそばに担当官が付いているので、他の男性に声をかけることも交流もできない。ただ、お互いの姿は見ることができた。
 ある日、慶太は偶然にも自分と同じような服装をした男性を見かけた。
 身長は慶太より高く体格もいい。年齢も恐らく上だろう。だが、ユニセックスの服に違和感がない。
 慶太はその男の全身に目をやった。そこでふと気づいたのである。
 「髭」がないのである。しかも、よく目を凝らしてみると手足の毛も目立たない。処理されているのかどうかまではわからない。ただ、近くに寄っても存在が認識できないのである。
 もしもこの時、慶太が何の洗脳も受けていなければ、きっとそれだけのことだったに違いない。
 しかし、この時の慶太の心には、それだけで済ますことのできない何かが働いていた。 自分もあんな風に服を着こなせたら・・・という思いが芽生えたのである。それは憧れというよりは嫉妬に近かった。外見に対する嫉妬である。しかも、男らしさに対するものではなく、男性性を消したユニセックスに対する嫉妬なのである。
 このことは、慶太の心にユニセックスという価値観が最も大きなウエイトを占めていることを示すと同時に、同性の外見に対する憧れと嫉妬という女性性の特徴をも表していたと言えるだろう。
 慶太の次の行動は決まった。・・・・それは、ひげ剃りと脱毛クリームを要求することだった。
 
****************************************

 瑞穂はソファに腰掛け、二つ折りの用紙を広げた。
 先ほど慶太が提出してきたものである。
 そこには、およそ100にも及ぶ事物の名称と共に写真が縦に羅列され、横には「憎悪」「嫌悪」「無関心」「好感」「愛着」「渇望」等の感情表現が10項目ほど並んでいる。
 一見するとただのアンケート用紙のようにも見えるが、実はその回答の散らばりにより、回答者の回答時における男性性・女性性・及び中性性への偏りがタイムリーに判断できるものだった。
 慶太には、5日間はカウンセリングは行わないので、毎朝用紙に回答を記入して提出するよう伝えてあった。
 そして、その最終日が今日だったのだ。
 
 瑞穂は今日の回答用紙をデスクに置くと、他の4日分をその横に日付順に並べた。それからゆっくりと専門書を広げると、データの参照作業に没頭した。
 約一時間後、席を立った瑞穂はインターホンのスイッチを押した。
「あ、後藤くん、至急カウンセリングルームに来て・・・うん、早くね。」
 瑞穂の口元はうれしさで弛んでいた。慶太のデータが満足のいくものだったのだ。

 数分後、部屋にやって来た後藤に着席を促すと、瑞穂はすぐに説明を始めた。
「データでは、水瀬慶太には女性性への明らかな兆候が見え始めているわ。このチャンスを逃してはだめよ。明日から次のステップに進むから、準備して。」
 瑞穂の声はやや興奮気味だった。
「あの、常田さんには?連絡は?」
「ええ、私からしておきます。あなたはとにかく準備に専念して。お願いよ。」

 部屋を出た後藤はそのまま地下に向かうエレベーターを待った。
 だが、なかなか到着しないと見るや、エレベーター脇の非常階段を急ぎ足で駆け下りた。 後藤はどちらかと言えばせっかちな性分であった。なかなか来ないエレベーターを待つくらいなら階段を利用した方がいい。体力には自信があった。
 
 地下フロアは、廊下を隔ててほぼ左右均等に5つずつの部屋が配置されてある。それぞれの部屋のドアの間隔から、一部屋ごとの広さがかなりであることがわかる。
 後藤は左側の奥から2部屋目、『S-2』と書かれた部屋のドアを開けると静かに中へと消えていった。

****************************************

「慶太くん、慶太くん、起きて 聞こえる?」
 慶太は眠りの奥の微かな声に反応して、うっすらと目を開けた。
「こ、ここは・・・ここはどこ・・・?」
 慶太はまだ焦点の定まらない視線を周囲に向けた。
「ばかね、自分の部屋でしょ?見忘れたの?」
 上から見下ろす瑞穂の笑顔が、はっきりと見えた。
「カウンセリング中に、あなた眠っちゃったのよ。覚えてない?」

 確かに、今朝カウンセリングルームには行った。5日ぶりのカウンセリングだった。
 内容はそれまでとあまり変わらなかった。そして終了後、瑞穂とお茶を飲みながら話をしたのも、ここ最近と変わらない。
 しかし、その後の記憶がはっきりしない。瑞穂の話だとその段階でどうやら眠り込んでしまったらしい。
「ご、ごめんなさい・・・迷惑かけちゃって。」
「ううん、いいのよ。慶太くん、きっと疲れていたのよ。さあ、今日はゆっくりお休みなさい。」
 慶太は、瑞穂の普段あまり見せない優しさが妙に不自然には感じたが、それを深く探ろうとはしなかった。

 その夜、慶太は奇妙な夢を見た。
 
 どことなく見慣れた部屋のベッドに腰掛けている瑞穂がいる。
 いつもの研究者然としたメイクとは違って、かなり濃いめのメイクをしていて、長い髪も束ねることなく流している。
 服装は胸の谷間を強調するかのように胸元を大きく開けたワインレッドのミニワンピースである。全身から妖艶さを醸し出している。
 瑞穂が部屋の片隅に目をやる。そこにはピンクと白を基調としたドレッサーが置かれていた。
 瑞穂はニコリと微笑むと、ゆっくり立ち上がり、ドレッサーに近づいていく。
 よく見ると、ドレッサーの前には小柄で華奢な少女が座っている。後ろ姿なので顔はよく見えないが、着ているワンピースの柄やデザインから見ても、せいぜい20歳前後だろうと思われた。
 瑞穂は少女に小さく耳打ちする。
「さあ、いいのよ。お化粧して・・。初めてだもの。お姉さんがいろいろ教えてあげるから。」
 少女は小さく頷いて、瑞穂から手渡される化粧品を順々に受け取っては試していく。
 ファンデーション、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、チーク・・・・少女は瑞穂の教えたとおりに試していく。そして最後の口紅をひいた後、初めて振り返る。少女には似つかわしくないほど濃いめのメイクだが、それがかえって退廃的な美しさを湛えている。
 瑞穂は少女の顔をじっくりと眺め、満足そうに微笑む。
「綺麗よ。ケイカちゃん・・・。これからは自分でお化粧できるのよ。うれしい?」
「ケイカ」と呼ばれた少女はうれしそうに頷いて見せる。
「さあ、本当の女の子になったかどうか、お姉さんに見せてみて。」
 瑞穂がそう言うと、少女は静かにワンピースのボタンを外し始める。
 スルスルッと衣擦れの音がしてワンピースが落下し、少女の足元に小さな布の固まりを作った。    
 少女らしかぬかなり扇情的な下着姿が現れる。胸の膨らみは豊満と言うほどではないが、形のいい美しい乳房であることがわかる。
 瑞穂はブラ越しにその形のいい乳房に触れ、耳許で囁く。
「本当に、綺麗なオッパイ・・・ お医者様に感謝しなくちゃね。もうこれなら本当の女の子よ。どう?うれしい?ケイカ?」
 少女は瑞穂の手の動きを抗うことなく受け入れている。恥ずかしさからか顔が紅潮している。
「で、でも・・・お姉様・・・ケイカ、あの・・・まだ・・・」
 少女は小さな声でそう言うと、視線を下に落とした。
「ああ、そうね。まだ、下はそのままだったわね。だからまだ本当の女の子じゃないってこと? わかったわ。じゃ、お姉様にお願いして。そうしたら、叶えてあげるわ。ケイカから『ケイタ』の名残を取ってくださいって。それで本当の女の子にしてくださいって。」
「お、おねがい・・・ケイカからミナセケイタの名残・・・オチ○チ○を取って、ホントの女の子に・・・してください。」
(ミナセケイタ?水瀬ケイタ? 水瀬慶太?・・・え?僕なのか?この少女は僕?)
慶太は夢の中で叫んだ。
「わかったわ。お願い叶えてあげる。ケイカちゃんを本当の女の子にしてあげる。」
「うれしい・・・お姉様・・・」

(だめだ、そんなことしちゃ、いけない、だめだぁぁ!)
 慶太は夢から覚めた。全身にグッショリ寝汗をかいていたが、どういうわけか不快感はなかった。
「おかしな夢・・・何でこんな夢を見たんだろう? 僕が女の子になるなんて・・・」
 慶太は全身の汗をシャワーで流すと、もう一度ベッドに入った。
 同時に夢の舞台がこの部屋であることもわかった。今簡易デスクが置かれている場所、そこが夢の中ではドレッサーの置かれた場所だったのだ。
「どうりで見覚えがあったはずだ・・・もういい、忘れよう、夢は夢なんだから・・・。」
 慶太は一人呟くと、ベッドランプのスイッチをオフにした。
 

 だが、同様の奇妙な夢はその後6日間続いた。
 いや、続いたのは夢だけではない。
 朝起きてから寝るまでの行動がほとんど同じ形で繰り返されたのである。
 
 朝食を済ませ、部屋でくつろいでいる慶太を後藤が呼びに来る。
 カウンセリングルームで瑞穂のカウンセリングを受けた後、雑談をしながらお茶を共にする。
 すると、カウンセリングの疲れなのか、決まってうとうとしてしまうのだ。
 そして、気づくと自室のベッドの中にいる。
 気づいた時の気分は決して悪くはない。いや、むしろ快適だとさえ言える。
 疲れを気遣う瑞穂の優しい言葉の中で再び眠りにつく。
 
 すると、あの奇妙な夢が現れるのである。
 夢の中の「ケイカ」は毎日服装と髪型が違っていた。
 だが決まってドレッサーの前に座り、入念にメイクをするところから夢は始まる。
 そしてその脇には必ず、瑞穂がいた。
 姉が妹に抱くような優しさと、その無垢な妹を大人の世界に引きづり込もうとする邪悪な妖艶さとが絡まり合った微笑みを浮かべながら。
「ケイカ」が「慶花」であることは3日目の夢でわかった。
 ドレッサーの横に置かれたピンク色の化粧ポーチに「慶花」と漢字が記されていたからである。
 慶花の化粧の技術は日に日に磨かれていっていることがわかる。
 慶花は嬉々として化粧をする。それは大人への階段を上り始めた少女の美に対する限りない興味と欲求の発露に見えた。
 そんな慶花を瑞穂は優しく抱きしめ、そっと唇を重ねる。そしてその唇は慶花のホッソリとした首筋から華奢な肩のライン、さらに形のいい胸の膨らみに達する。
「んん、んんぅ・・」
 慶花の微かな声が漏れる。
「フフフ・・・感じてるのね?可愛い娘。慶花は毎日綺麗になっていくのね。もうすっかり女の子。でも・・・」
 瑞穂の手が慶花のスカートの裾に伸びる。
「だ、だめ・・」
 慶花が微かな抵抗を見せるが、強引な瑞穂の手の動きは止まらない。
 次の瞬間、瑞穂の手のひらが慶花のかろうじて残っている「男」の部分に触れる。
「でも、これが・・邪魔ね? 慶花には、これ似合わないと思うけどなぁ・・・」
 瑞穂がからかうように言う。
 黙って俯く慶花。
 その後夢はまるでルールが決まっているかのように同じ方向へと向かう。
 慶花は瑞穂に哀願する。
「お願い、お姉様、慶花を・・慶花をホントの女の子にして・・・早く、オチ○チ○取って女の子にしてぇ・・・」
 そして現実の世界の慶太は必ずこの場面で目が覚めるのである。
「ダメだ、ダメだぁ そんなことしちゃぁ・・・」という自分の叫び声に驚いて。

   
****************************************

 施設の地下にある『S-2』と呼ばれる部屋の中で、瑞穂と後藤、さらに昨日から施設を訪れている常田の3人の男女が顔を合わせていた。
 そこは40平方メートル程の空間のほぼ中央に、大きなリクライニングシートがぽつんと一台だけ置かれた殺風景な部屋だった。
 リクライニングシートの横にはキャビネット形の装置が置かれていて、数本のコード類が伸びているのがわかる。
 リクライニングシートの左方の壁には縦1メートル、横2メートル程の鏡が貼り付けられていて、シートの左側面を映し出している。
 そしてこの部屋の中で最も奇妙に映る部分が、シートの前方上方の壁に埋め込まれた60インチほどの大きなモニター画面だった。しかもそれは一台だけでなくが左右に2台設置されている。
 その2台のモニター画面に今、意味不明の映像がチラチラと明滅しながら映し出されている。

 常田はシートに身を任せながら、その映像に目をやっている。
「それにしても、先生、この、サブリ・・・ええと、サブリミナル・・・映像ってやつは、そんなに効果があるものなんですか?」
 常田は近くにいない瑞穂に向かって大きめの声で言った。
 一瞬の間があって、カチャッという音と共に、左方に貼り付けられた鏡の一部が開き、そこから瑞穂と後藤が現れた。
 鏡と思われたその部分は、実はマジックミラーになっていて奥には様々な機材で溢れた空間があった。
「ええ、確実に効果があります。もうすでにある程度は出かかっているのですが、あと数日もすれば水瀬慶太の行動に劇的な変化が見られるはずです。」
「うーん、先生を信じないわけじゃありませんが、今こうして見ていても、おかしな映像がチラチラしながら映るだけで何にも感じませんがねぇ。」
「フフフ・・・それはそうです。これは水瀬慶太のデータを基に作成されたものですから、他の人にはただの無意味な映像です。」
「ということは、ここには約150人分の違った映像があるってことですか?」
「いいえ、『ある』というのは間違いです。個人個人のプロジェクトの進行状況に照らし合わせて、適切なものを『作る』といった方が正しいでしょう。 まあ、いずれにしても、この水瀬慶太のサブリミナル映像は水瀬慶太だけのものです。」
「では、私用に作られた映像なら、私も・・えー、女性化することが可能ってことですか?」
「アハハ・・それは想像したくないことですねぇ。」
 瑞穂は柄にもなく大きな声で笑った。
「まあ、それは理論的には可能だと言えるでしょう。ただし、『Nランク』男性のようにすんなりとはいかないでしょうが。それに、この映像をただ見るだけでは効果はありません。水瀬慶太はカウンセリングを通じて、すでに精神のユニセックス化という段階に入っていました。それにこの映像を見る際の精神状態が半ば睡眠状態であることも必要です。」
「睡眠状態? 眠っているってことですか?」
「ええ。ただし完全な睡眠状態ではありません。半ば意識の働いた半眠状態とでも言ったらいいのでしょうか?」
「それは・・・どうやって?」
「当然、薬物を使用します。一種の睡眠導入剤ですが、適量を飲ませるだけで半眠状態を作り出すことができます。水瀬慶太の場合は、カウンセリングの最後のティータイムにちょっと・・・」
 瑞穂はいたずらっぽく笑った。飲み物に密かに薬物を混入させるなどというおよそ研究者らしからぬ行為に、我ながらくすぐったい思いもあったのだろう。

「その状態だと、この映像を見たことは覚えていないのですか?」
「ええ、映像そのものの記憶は残らないはずです。もしかしたら、この部屋に連れて来られたことと部屋の様子などは微かに残る可能性はありますが。」
「ふぅーん、そんなものなんですかぁ。」
 常田は再び視線をモニターに移した。
「ところで、このチカチカとフラッシュする間に、一瞬見える人物は誰なんですか?」
「フフフ・・ご興味おありですか? ちょっと後藤くん、スロー再生にして最初から流して。」
 瑞穂は、いつの間にかマジックミラー奥の空間に、準備のため戻っていた後藤に声をかけた。
 モニターの画像が消え、一瞬の間を開けてから、ゆっくりと映像が流れていった。
 聞き覚えのあるクラシックの旋律にのせて、左右のモニターに同じ山間の美しい高原の風景が映し出される。清流の流れ、雲のゆったりとした動き、鳥の枝を飛び渡る姿、花、草木と映像は静かに流れていく。
 
 チラチラッっと画面に明滅が入る。一瞬一人の男の姿が映る。
 通常の速度ではわからなかったが、それは明らかに水瀬慶太の姿だった。水瀬慶太がまだ施設に来る前の髭を生やし、スーツを着た、会社経営者の姿だった。
 映像はすぐに元の美しい光景に戻る。
 再び、明滅と共に、慶太の姿が現れた。
 その後は、「ゆったり流れる美しい光景」→「明滅」→「慶太の姿」という映像が繰り返されていく。
 ただ、挿入的に映し出される慶太の姿が徐々に変化していく。
 スーツを着て、髭を生やした会社経営者からスーツを脱いで普段着になった姿へ、そしてその普段着が柔らかな素材のものに変わり、色合いもカラフルになる。やがて服装も今のユニセックス系のものへと変わっていく。そしてついに髭を落とし、手足も脱毛した現在の慶太の姿になった。
 
 この段階で2面のモニター画面にそれぞれ異なる映像が流れ始める。
 向かって左側の画面には美しいままの光景が流れているが、右側の画面は少し様相が変わり出す。流れている風景の中の天気が怪しくなり、雲が厚くかかり始める。やがてその雲が黒くなり、ポツリポツリと雨粒が落ち始める。[明滅]慶太の姿が現れる。どういうわけか、現在の姿から少し前の慶太の姿に戻っている。そして画面が暗転する。
 
 一方左側の画面は美しい光景のままである。その季節だけが夏から秋へと変わる。色づく紅葉が美しい。〔明滅〕慶太の姿が現れる。不思議なことに、こちらも現在の慶太ではない。だからと言って、右側のように少し前のものでもない。そこにはまだ見ぬ慶太の姿があった。髪の毛が今よりも少し長く、驚いたことに、うっすらとメイクまでしている。
そして画面が暗転する。
 
 右画面が明るくなる。雨はますますひどくなり、山の急斜面に地滑りが起こり始める。美しい花々は押し流され、鳥は逃げまどう。〔明滅〕さらに以前の慶太に戻っている。そして画面暗転。
 
 左画面が明るくなる。季節が秋から冬へ移っている。チラチラと舞い散る雪が光に映えて美しく輝いている。高山の樹氷が映し出される。ダイヤモンドダスト。〔明滅〕慶太の姿。だが画面下部に「慶花」の文字が入っている。髪の毛はすでに肩の長さまで伸びナチュラルボブにカットされている。メイクは一段と洗練され、明るい表情を作っている。そして画面暗転。

 右画面が明転する。泥だらけの花畑。倒れた大木。流れ出る汚物。川に流される子猫。逃げ遅れた犬の死骸。泣き叫ぶ子供の声。その他、凄惨な光景〔明滅〕髭を生やした慶太。スーツ姿に戻っている。そして画面暗転。

 左画面が明転する。季節が冬から春に。雪が解け、明るい日差しにリスが走り回る。鳥がさえずる。美しく開花した桜。〔明滅〕明るく微笑む慶太。いや、もう慶太とは言えない。「慶花」の文字に何の違和感も感じない美しい女性の姿。よく見ると胸にもふっくらと豊かな膨らみがある。身体の線もすっかり女性になっている。そして画面暗転・・・・・・・・・
 
「よ、よくわかりました。もう結構です。止めてください。」
 常田が、うんざりしたような表情で言った。右画面の凄惨な映像がよほどこたえたのだろう。
 瑞穂はマジックミラーに向かって合図を送った。
 そして左右のモニターが同時に暗転した。
「つまり、男性化イコール『悪・醜』 女性化イコール『善・美』という関連づけがなされています。さらにもっと見ていただければわかりますが、男性に戻った水瀬慶太は事故に巻き込まれ、非業な最期を迎えます。一方、さらに女性としての美しさを増した彼は、至福の中で『慶花』としての人生を歩んでいきます。もちろん、『慶花』の姿はCGによって作成されたものですし、『慶花』という名もフィクションですが、そのことは大きな意味を持ちません。つまり半眠状態の慶太にとっては連日繰り返し見ている映像こそが現実として認識されるようになるのです。現在彼の潜在意識には女性化への思いがどんどん大きくなっているに違いありません。恐らく彼が次にとる行動は、無意識の内に女性特有な、たとえば女物の服を選ぶとか化粧をするとかといった行動だと考えられます。」
 瑞穂は、あえて「慶花」という名前がどうして出てきたのか、説明をさけた。
(まさか、慶太の女性化した姿を想像してオナニーしていた時に出てきた名前だなんて言えないもの。フフフ・・)瑞穂は心の中でそう言いながら、顔を赤らめた。
 現実に映像に触れ、さらに自信に溢れた瑞穂の説明を聞いた常田の心からは、映像のもたらす効果に対する疑念は完全に消えていた。   
     
****************************************

 慶太が奇妙な夢を見るようになってからちょうど10日目の朝、それは突然起こった。 不思議なことにその日は夢を見ることなく、ぐっすりと熟睡することができた。
 だが、目覚めた慶太の心にこれまで味わったことない種類の不安、欠落、空虚の感覚が一斉に襲ってきたのだった。そのどこから来るのかわからない意味不明の感覚は、やがて悪寒・頭痛・発汗・動悸という身体的現象に繋がっていった。
 慶太は逃げ出したい衝動に駆られた。それは施設からの逃亡ではない。この精神状態からの逃亡である。
 慶太は鏡に映る自らの顔に目をやった。不安に戦いた表情には全く生気がない。
「どうして・・どうしてこんな・・・」
 そう呟いた途端、慶太に電流のような衝撃が走った。
「欠落」「空虚」の原因がわかったのだ。
 それは、その日あの「慶花」と逢えなかったことだ。
 いつしか、慶太は夢の中の自分、つまり「慶花」に逢うことを待ち望むようになっていたのだ。
 だが、原因がわかっても慶太の心の不安定さは全く消えない。
 いや、むしろ増しているとさえ感じる。しかも頭痛と動悸という身体的現象は、その激しさを倍加している。
 
 この「欠落」「空虚」を埋めるために何をしなければならないか。
 慶太にはすぐにわかった。
 しかし行動には移せない。それは後戻りできない道へ一歩を踏み出してしまいそうに思えるからだ。
 慶太は、冷静さを取り戻そうとして、大きく深呼吸をした。
 一瞬、心の安定が甦るが、すぐにドキドキと動悸が高鳴り、前よりも一層強い不安感となって戻ってくる。慶太にはもう抗う術は残っていなかった。


 15分後、瑞穂は期待感に胸を高鳴らせながら、慶太の来室を待っていた。
 誰にも言えない秘密の相談事がある、と慶太が連絡してきたのだ。
 程なく入室してきた慶太の顔は、これまで見たこともないほど憔悴しきっていた。足取りも妙にぎこちない。
 瑞穂はその姿に一瞬不安がよぎったが、できる限り平静を保とうとした。
「うん?どうしたの?何かあった?」
 瑞穂は、なかなか席に着こうとしない慶太に、いつもにも増して穏やかな口調で語りかけた。
「あ、あの、先生・・・実は・・・」
 促されるままやっとソファに腰を下ろした慶太が重い口を開いた。その声は消え入るほどの微かな囁きだった。
「うん?相談事があるんでしょ?何かしら?」 
 慶太は黙ったまま頷いた。いつの間にか頬が真っ赤になっている。
 その姿は、童顔の面立ちと華奢な体躯と相まって、すっかり内気な少年のイメージを醸し出している。本来の会社経営者としての面影は全く感じられない。
「あの、僕・・・なんか変なんです・・・」
 慶太は思い切って口を開いた。
「うん?変?変って何が?」
「あの・・変な夢見るんです 最近」
「変な夢? ふーん、で、どんな?」
「あの・・夢の中で、僕・・・お、女の子・・になってるんです。」
 瑞穂の心臓が高鳴った。一瞬、期待外れに終わるかもしれないと思った不安は一気に消し飛び、大きな期待感に満たされたのだ。

「へー、それはおかしいわね。でも、毎日ってことじゃないんでしょ?」
 瑞穂は興奮を悟られないよう、できる限り冷静な対応に努めた。
 慶太は黙って首を振った。
「え?毎日?毎日慶太くんが女の子になってる夢を見るの?それはちょっと心配ね。」
「で、でも・・今日は・・・見ませんでした。」
「そう、なら良かったじゃない。」
 瑞穂の顔に微かに落胆の色が滲む。
「でも、そうしたら今度は・・・あの、心臓がドキドキしてきて、気分が悪くなって・・・不安で、不安で・・」
「ふぅん、そうなの?それはおかしいわね。見たくない夢を見なくてすんだのに、かえって不安になるなんて。うーん、先生にはどうしたらいいか、よくわからないわ。」
 もちろん瑞穂は嘘をついている。彼女にはこの先慶太が口にするであろう言葉はわかっていたのだ。瑞穂は期待感で胸が高鳴った。
「ぼ・・・僕には・・・わかるんです。どうしたらいいかが・・・」
「そう?どうしたらそのおかしな不安がなくなると思うの? 慶太くんは?」
「あ、あの・・・ぼ、僕が・・・お、女の子の・・・か、代わりに・・・」
「ん?代わりに・・・どうするの?」
「か、代わりに・・・お、女の子に・・・なれば・・・」
「ええ?慶太くんが?本当に女の子になるってこと?」
 慶太は羞恥心に押しつぶされそうになった。下を俯いたまま、小さく頷くだけだった。
「驚いたわ。そんなこと言うなんて。先生も男としての重荷を捨てて生きればいいとは言ったけど、女の子になったらとは言わなかったわ。それって、もしかしたら性転換手術とかを受けたいってことかしら?」
「い、いえ、そ、そうじゃありませんっ」
 慶太は我を忘れて声を上げた。
「そうじゃなくて、ただ、夢の中の女の子みたいに・・・お化粧したり・・可愛い服着たり・・・そうすれば、きっとこの気持ちが落ちつくと思うし・・・」
 瑞穂の脳裏にまた、「慶花」の姿が浮かぶ。それに反応したかのようにジュンとした湿り気が白レースのパンティに滲んでいくのがわかった。
「そう、よくわかったわ。それが慶太くんの希望なのね?先生はあまり賛成しないけど、ここでは自由意志が尊重されるから、慶太くんがそういう意志なら、先生たちも協力するわ。2,3日待ってて。すぐに準備させるから。」
「で、でも、先生・・・僕、少し心配なんだ。」
「ん?何が?」
「もし、お化粧したり、女の子の洋服着たりしてたら、そのまま本当の女の子になっちゃうんじゃないかって。」
 瑞穂がこみ上げてくる笑いを必死で押さえた。
「バカね。そんなことはないわ。だって、慶太くんにはそのつもりはないんでしょ?」
 慶太は、小さく何度も頷く。
「ね、それだったら心配ないわ。自分の不安を取り除くための一種の治療だと思えばいいのよ。気持ちが落ちついたら、また元に戻ればいいでしょ?」
 慶太の顔に安堵の色が浮かんだ。押しつぶされそうな不安感が少しずつ和らいでいくのがわかった。

 慶太がカウンセリングルームを出た後、一人になった瑞穂は声を出して笑った。もしも防音設備がしっかりしていなければ、その笑い声は廊下にまで響いたであろう。
「アハハ・・・バカね、慶太。あなたに今その気がなくたって、すぐに女の子になりたくなるわ。だって私がそうさせるんだから。アハハ・・・」
 そして、満足感に満たされた笑い声はやがて、くぐもった喘ぎ声に変わっていた。
 瑞穂の白く長い指は、いつのまにか白いレースのパンティに導かれていた。
「アアンン・・慶花 先生があなたを誰よりも可愛い女の子にしてあげるわ。そう誰よりも・・・待ってなさい・・・アンンぅ・・・」 

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コメント

§

素晴らしいです、ドキドキしながら続き待ってます!

§ Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。
ご期待に応えられれば幸いです。

> 素晴らしいです、ドキドキしながら続き待ってます!

§ お久しぶりです

ついにN/Nプロジェクトも本編がスタートですか
楽しんでいます

§ Re: お久しぶりです

>森 和正 様
コメントありがとうございます。
お楽しみいただければ幸いです。

> ついにN/Nプロジェクトも本編がスタートですか
> 楽しんでいます

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プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
=============================================
女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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