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ある性転者の告白 第14章-2

 私たちは住宅街を駅に向かって歩いて行きました。彼らは、あえて車ではなく電車での移動を選んだのです。もちろん、それにも計画された企みがあったからですが。
 幸い屋敷の近くは閑静な住宅街だったため、行き交う人は多くはありませんが、決して皆無というわけではなく、時折何人かの男女とすれ違うことはありました。
 その中には、私の姿を見て、あからさまに好奇なまなざしを向ける男や嫌悪感を示す女の顔があり、ひそひそと噂しあうグループもいました。そのたび、私の心の中の羞恥心はいやが応にも高められ、下をうつむきながら歩くことしかできませんでした。私の目には、細く伸びたノーストッキングの脚と純白のハイヒールのミュールだけが映っていました。
(ああ・・・恥ずかしい・・・死にたいくらい・・・恥ずかしい・・・)
 
やがて駅に着くと、うつむく私の紅潮した耳に、涼子が囁きました。
「さあ、ここからは一人よ。私たちは遠くから、指示するから・・・。わかったわね。最後のテストだからね。」
 私の耳にあの小型のイヤホンが差し込まれ、白い小さなハンドバックの中には、受信器らしい黒い機器が入れられました。
「ま、待って、ひ、一人に・・・一人にしないで・・・」
 私は、離れていく涼子たちの背中に向かって蚊の鳴くようなか細い声で呼びかけました。
 午前十時を迎える駅の構内はラッシュアワーもピークが過ぎ、混雑も収まっていました。けれども、一人ぽっちにされて、改めて周囲を眺めてみると、行き交う人々の私に向けられる視線がそれまでの遠慮がちなものから、無遠慮なものに変っていくのがわかりました。
 見るからに「そのスジ」風の村井たちがそばにいたときは、私のことを彼らの情婦くらいに見ていたのでしょう。だから、もしも露骨な視線を向ければ、どんな因縁をつけられるかわかったものではないという心理が働いていたのだと思います。けれども、彼らと離れ一人だけになれば話は別です。見るからにおとなしそうな女の子が、その顔に不釣り合いな濃いめのメイクをし、立ちすくんでいるのです。しかも、大胆にもウエストの大半を露出し、今にも下着が顔を出しそうな超マイクロミニという、めったに見ることができない挑発的な服装をしているのです。それは、朝の駅の構内には全くそぐわない姿です。もしも、3ヶ月前に、私自身がこんな姿の女の子を駅で見かけたら、きっと男を欲しがっている淫乱で変態な女の子だと思い、ジロジロと露骨な視線を浴びせたことでしょう。

「すっげー、見てみろよ。あれ・・・ほら、ほら・・・」
「ん?どれどれ、おっ、すげーな・・・。あんな服着て・・・もしかしてあれか? 痴女ってやつか?」
「いや、でも、それにしちゃ、可愛い顔してるじゃん。それに、すっげーいい身体してるぜ・・。オッパイもでけぇしな・・・。」
「ホントだぜ、それに脚も細くて、足首なんかきゅっと締まってて・・・うまそうー」
「なんか、俺、おったっちまったよ・・・」
「お、俺もだよ・・・。」
 私を見て噂しあう男の声が聞こえてきます。
(は、恥ずかしい・・・お願い・・・そんな目で・・・見ないで・・・)
 私は下をうつむいて聞き流すしかありません。本当は、その場で身を屈め、彼らの視線を避けたい思いでしたが、そんな姿勢を取れば、純白のスカートの裾からピンクのスキャンティが露わになってしまうのがわかっていたからです。
 その時です。数人の女子大生らしいグループが私を見ると、一斉に辛辣な言葉を言い合っているのが聞こえてきたのです。
「な、なに、あれ・・・痴女よ、痴女・・・。」
「え?すごいわね・・・、チョー変態って感じぃ・・・」
「男が欲しくてあんな格好してるのかなぁ・・・?」
「決まってるじゃない、男にヤられたくて、あんな格好してるのよ。」
「でもさ、結構可愛い顔してるじゃない。普通の格好してても、モテるんじゃない?」
「ばかね、ああいうのって病気なんだって。普通のエッチじゃ、物足りないのよ、きっと・・・。」
「そうよね、いつも、あそこ濡れ濡れになって、誰か入れてーっなんて・・・アハハ」
「うわっ、すごい露骨ぅー・・・でも、よく恥ずかしくないわね、同性として、ちょっと許せなくない?」
 私は心の中で叫びました。
(違うんです。これは、仕方なく・・・だから、そんなこと言わないでぇ・・。)
 新宿の時もそうでしたが、聞こえよがしに発する言葉は、女性の方が露骨だとわかりました。そこには、きっと女性特有の嫉妬と羨望の思いが込められているからナノでしょう。 
 女子大生のグループがようやく姿を消した時、耳元から涼子の声が聞こえました。
『フフ・・・どう、みんなに見られている気分は? みんな、奈緒美ちゃんのこと、変態の露出狂女だと思ってるわよ。そりゃそうよね、そんな格好してるんだもの。じゃ、テスト始めるわよ、いいわね、最終テストだからね、がんばってねぇ。フフフ・・・』
 私は、黙って頷きました。
 そうです。この地獄のような羞恥の時が過ぎれば、すべては夢の出来事になるのです。完全に自由の身になって解放されるのです。私は覚悟を決めて、涼子からの指示を待ちました。


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プロフィール

サテンドール

Author:サテンドール
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女性化小説なら国内・海外を問わず大好きです。

特に屈辱系・羞恥系・強制系・寝取られ系・立場逆転系・年齢退行系・SISSY系などなど・・・。

happy よりは、unhappy ending が好み。
(ちょっと、性格がゆがんでるのかも^^)

私事ですが、以前某サイトに 
「高野奈緒美」のペンネームで
『ある性転者の告白』という拙い小説を掲載させて頂いておりました。事情があって途中で掲載を止めましたが、その完結編も当ブログでご紹介できればと思っています。

それとランキングにも参加させていただきますので、
ポチッとクリックいただければ幸いです。

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